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りゃんさん のコメント

ヒトビトは忘れてそうなので、ときどきわたしは、欧州大戦は独のみではじめたのではなく、独露(ソ)の侵略ではじまったと事実を書く。もし独露が協力すれば(ずっと協力できるのかという問題はあるが)欧州の覇権がとれる。フランスはあっというまにヴィシー体制になった。

ちなみに、露(ソ)のポーランド侵略理由のひとつは、ポーランドに居住していたウクライナ人やベラルーシ人がいじめられているので保護するというものだ。「いつものやりかた」なのだが、こういうのは陰謀論珍サヨクは知らないのだろうなと感じる。

話を戻すと、そのころ米国では欧州の戦争に関与すべきでないという議論のほうがむしろ優勢だった。これは以前わたしがよく書いた America First Comittee やチャールズ・リンドバーグのことを思い出せば良い(トランプとの類似を見いだすひともいる)。

そこへ大日本帝国が真珠湾攻撃をおこない、米国は参戦に統一された。真珠湾攻撃をチャーチルが小躍りして喜んだはなしは孫崎さんもときどきお書きになるところだ。大日本帝国がなんとか真珠湾攻撃を我慢できていれば、欧州大戦の帰趨はかなり変わっていた可能性はある。

こういう歴史を仏からみるとどう見えるか。仏だって露のガスに全面的に依存するという選択肢がないわけではない。しかし、しない。仏が原子力発電にこだわるのは、他にも理由はあるだろうが、エネルギー自立という面も大きいであろう。自立というのは文字通り自立で、米にも露にも依存しないということだ。それは仏なりの安全保障の一環なのである。

マクロンが米と違う路線をクチにすれば喜ぶヒトビトは、ここを見ようとしない。というか気づかないのだろう。仏は歴史的に露と同盟を結んでいた時期もあるのだが、EUをその中心国として発展させようとしている現在は、そういう時期ではないことはあきらかだ。

独の立ち位置はどうあるべきと独の指導者層は考えるか。露とEUとがうまくやっているうちは、独はEUと露とのいいとこ取りができる。しかし、今回のように露がその侵略性をあらわにした場合、独は、露かそれとも仏をはじめとするEUか、どちらかをとるしかない。まして今のEUは東欧をとりこんでおり、独はそこからも利益を得ている。どっちつかずは、仏も東欧も許さない。

露かそれとも仏をはじめとするEUか、独の指導者層にとっての答えは明らかだろう。露をとれば、比喩的に言えば、独は帰るところがなくなる。一時的に経済が停滞しても、帰るところがなくなるよりはマシだ。

ヒトビトは米のことばかりしかアタマに浮かばないようだが、独はそれほど米のことばかり考えているわけではないだろうとおもっている。
No.6
17ヶ月前
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孫崎享のつぶやき
元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。