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p_fさん のコメント

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p_f
RT 28 Apr, 2023

益々熱狂的になる外交工作が、如何に世界秩序を再構築しつつあるか
https://www.rt.com/russia/575484-increasingly-frenetic-diplomatic-maneuvering/

このような傾向は特に西側諸国の行動に特に顕著だが、他の殆どの国も例外ではない-

ティモフェイ・ボルダチェフ記
バルダイクラブ プログラムディレクター

世界が大きな変革期を迎えていることは間違いない。恐らく現在の変化は、過去数百年間で最も大きなものだろう。国際政治の歴史において、歴史的・文化的背景の異なるこれほど多くの主体が関与したことはかつてなかったのだから、尚更である。つまり、限られた国家間の力の再分配ではなく、より広範な現象が起こっているのだ。

しかし実際には、このような大きな変化が非常に矛盾した状況を引き起こしている: 外交は、戦略的な考慮よりも戦術的な作戦に大きく影響される。これは特に西側の行動に顕著であるが、他の殆どの国も例外ではない。多くの点で外交保守主義の真の例である中国やロシアのような大国の行動でさえ、文脈に配慮した兆候が見られる。しかし、中小国、特に曖昧な国際情勢を最大限に利用する巧みな戦術で知られるようになった国々についてはどうだろうか。

言い換えれば、新たな世界秩序の構図を決定するのは、主要国だけでなく、現在絶え間なく策略を巡らせている中小の日和見主義者たちなのである。

一般的な分析では、地位を争う継続的な能力は現在、地政学的中間の位置を占める中規模国家の特質と見做されているが、このジャンルの真の達人は大国である。 西欧州は、米国との関係で長期的に献身を強いられているにも拘わらず、確かに先頭に立っている。 欧州連合の主要国は、個人的な立場で、あるいは従順な欧州機関を装って行動しつつ、絶えず策略を巡らせている:中国、ロシア、その他のいわゆる世界多数派との関係に加えて、 彼らの強力な庇護者である米国との関係において絶えず駆け引きをしている。

世界の他の国々にとっては、それは、EUがいつの日かワシントンから離れ、比較的独立した船出ができるという幻想を抱かせる。そして米国にとっては、新たな懸念材料は殆どなく、権力の独占を脅かすものは何もない。

4月前半のエマニュエル・マクロン仏大統領の北京訪問は、まさにそのような姿勢の一例だった。フランスの指導者は、少なくとも戦術的には、欧州大陸は米国の利益のための単なる領土的な拠点以上の役割を果たすことができるという認識を、中国側に植付けようと、あらゆる方法で努めた。これは、西欧州諸国との協力が北京と中国経済にとって有益であるという経済的な機会によるところもある。また、ドイツとフランスがロシアに対してこれほどまでに強硬に振る舞っているのは、まさにモスクワとの衝突が劇的な結果をもたらすとは考えていないからだ、という中国側の根強い考えによるものでもある。

EU諸国が英国や米国にそそのかされている中国との対立は、EU圏にとって経済的に自殺行為である。特に、「古い欧州」の大半の社会経済システムが、現在あまり好ましくない状態にあるのだから。EU加盟国が中国との協力のメリットを手放したくないことは、ドイツのオラフ・ショルツ首相が以前北京を訪問した際にも、誰の目にも明らかだった。

更に北京は、西側諸国とロシアの対立は、米国と中国の対立よりもEUにとってより根本的なものだと極めて合理的に考えている。中国の友人たちは、ロシアと西欧州の関係の歴史をよく知っており、欧州圏の首都に敵意が根付いていることを知っている。ロシアが比較的EUに友好的であった時代には、ロシアとの間に幾つかの好意的な経験もあったが、欧州圏の主要国にはモスクワに対する不満があり、それは恐らく米国の同盟国である日本よりも深刻である。

ロシアは客観的にも歴史的にも西欧の敵対国であり、地政学的な立場だけで深刻な懸念材料とは見做されない中国については、そのようなことは言えない。従って、フランス、そしてEU全般の外交的な働きかけは、中国の友人たちから好意的に受け止められ続けるだろう。

ロシアとの戦略的パートナーシップを除けば、中国は全てにおいて策略を巡らせている。ロシアとの戦略的パートナーシップは、わが国の政治指導者と中国との間の独占的な信頼関係によって、その本質が外部の観察者には隠されている。それ以外の全ての問題において、北京は純粋に戦術的に見えるかもしれない決定を通じて、長期的なビジョンを推進している。イランとサウジアラビアの歴史的な和解がそうであるように、万国の生活における主要な特徴は全て、中国外交の成功によって左右されるようになっているのだから尚更だ。北京が、ウクライナ問題を巡って西側諸国とモスクワが直接関与している争いに巻き込まれない限り、この状況は続くだろう。

米国には独自の外交計画があり、それはロシアと同様、自由に使える核兵器の量によって、世界の安全保障にとって非常に深刻なものである。ロシアとの決戦を宣言し、北京とも同様に容赦ない対決を宣言することで、ワシントンは熱心な観察者が「微妙な外交ゲーム」と呼ぶものも試みている。しかし、西欧州諸国が経済力と長い歴史を持つ主権者としての魅力に頼っているのに対し、ワシントンは意図的に残忍な精神で陰謀を企て、パワーゲームを演じて周囲の人間を互いに対立させようとしている。勿論、その成功率は低下しているが、過去50年に亘って蓄積してきた資源は、まだ枯渇していない。

ロシアとしては、西側諸国との「橋を燃やす」ことや世界経済システムの整合性を損なうことを頑なに避け、外交的柔軟性を示してきた。また、キエフに武器を供給している正式には中立の国も含め、ロシア問題に関する米国の要求を考慮する外国のパートナーに対しては、素晴らしい寛容さを示している。実際、モスクワとNATOの首都間の外交対話は完全に停止しているが、それはロシア側の意思によるものではなく、ロシア側はいつでも話し合いの再開に前向きであると強調している。

この文脈において、国際政治学者にとって適切な問題は、一般的な外交的上の衝突が、世界的規模で益々拡散している軍事行動の単なる一部なのか、それとも以前の慣行に取って代わっているのか、ということかもしれない。その両方が同時に起こっていると考えることもできるが、責任ある計算に基づいて平和を築くことができると今でも信じている私たちにとっては、非常に残念なことだ。
No.2
17ヶ月前
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孫崎享のつぶやき
元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。