記事へ戻る p_fさん のコメント p_f > ③マスコミの腰砕け 解説!木原疑惑、大手マスコミ沈黙!その理由とは?旧メディアのトップは出世主義者のヘタレ揃い。報道してるのはネットメディアだけ。元朝日新聞・記者 佐藤章さんと一月万冊(2023/8/5) https://www.youtube.com/watch?v=1dtMJJ71S3A <1971年、アメリカでペンタゴン・ペーパーズ事件があったんです。これはニューヨーク・タイムズが、ベトナム戦争の原因となったことは一体何か―これについて、国防総省、ペンタゴンが調べて分析して、かなり大きいレポートにしたんです。それは部外秘だった。だけども、国防総省のダニエル・エルズバーグという人が、「アメリカ国民は、ベトナム戦争で息子たちを亡くし、物凄い財政赤字になったのだから、アメリカ国民はその真相について知る必要がある」ということで、そのペンタゴン・ペーパーズをニューヨーク・タイムズのニール・シーハンのもとに持ってきたんです。これを報道して欲しいう風にやって来たわけです。僕はその辺りをニール・シーハンから直接聞いてるんです。その時、まさに朝までかけてエルスバーグとニール・シーハンは話し合った―これを報道したら、ニクソン政権は絶対に反撃してくるに違いないと。これは裁判沙汰になるだろうと。これは ずっと戦うことになるだろうと。それでもやるか?と。で、結局、「やろう。これは、お互いの使命だ」と。「アメリカ国民としての使命だ」ということになったわけです。そして、エルズバーグは最高裁まで戦って勝った...その時、ニューヨーク・タイムズの社主、サルツバーガーがニール・シーハンにこう言ったわけです- 「ニューヨーク・タイムズのビルは9階まである。今、輪転機は1階にある。ニクソンがなんかが やって来て、経済的に困ったら1階を売ればいい。そして、輪転機は2階に移せばいい。またやって来たら、2階を売って、輪転機を3階に移せばいい。それで結局、輪転機が9階に行くまでには、もうニクソン政権は終わってるぞ」 いい度胸じゃないですか。これが人生じゃないですか。で、もう一つ、ワシントン・ポスト。ニューヨーク・タイムズの好敵手ですけども、遅れてスタートして、これを報道するかどうかということで、社内で物凄く激論になったんです。ワシントン・ポストは非常に高級紙なんだけども、前から利益率が薄いということで、非常に社内的にも問題になっていたんです。で、ペンタゴン・ペーパーズをやって本当にいいんだろうかと。ニクソンが何かやってくるんじゃないか、という風になったんだけども、社主のキャサリン・グラハムは―これは映画にもなったんですけど―「質が利益を連れてくる」と言った。ワシントン・ポストという高級紙の「質」を報道することによって、ワシントン・ポストとしての成果が高まる、質が良くなる―今までも評価は高いんだけども、更にその質を高めることになる、それが結局は「利益を連れてくる」んだということです。で、見事に持ち堪えた。つまり、なぜ日本のオールド・メディアは木原問題を書かないのか―今言ったことを繰り返せば、このペンタゴン・ペーパーズの時のニューヨーク・タイムズとかワシントン・ポストの社主のような人間が日本のメディアのトップには今一人もいないということなんです...勇気の無い者達は尻すぼみで終わるということです... 僕は朝日新聞のことしか詳しくは知らないんだけども、今、朝日新聞がおかしくなったわけじゃないんです。もう二十数年前からおかしいんです。で、実はここだけの話、僕自身が おかしくなった朝日新聞の犠牲第1号じゃないかと思ってるんです。というのは、1999年、今の みずほ銀行に合併する前の3行(第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行)の不良債権の状況を僕は殆ど掴んだ。銀行にとって不良債権問題ってのは一番重要な問題なんです。銀行は不良債権で倒産する。そして、その全容を掴んで、僕は月刊文春で大々的に書いたことがあるんです。当時の中吊り広告―「第一勧業銀巨額不良債権を暴く140兆円 メガバンクの時限爆弾-佐藤章 金融危機は終わっていない 小誌(月刊文春)は敢えてこの衝撃レポートを掲載する」―これドーンと書いたんです、1999年12月号。で、この時、相手はとにかく巨大な みずほ銀行ですよ。みずほ銀行大変だったんです。その時、みずほ銀行の、この取材の対応した人の言葉が今だに忘れられないですよ―「まあ書いたらいいですよ、裏から手を回しますから」という風に言った。つまり、木原さんの言葉と寸分寸分違わないんです。結局こういうことを言うんです。でね、実際その通りになった。その時の朝日新聞の社長というのは外部からの圧力に実に弱い人だった。直ぐに僕は左遷されました。左遷されて、結局7年間、取材現場、記者には戻れなかった。7年間ですよ、7年間。だけどね、その7年間、結構勉強しました。勉強して、それがね今役に立ってます。まあ、そういう風に、人間というのは、やっぱり何時いかなる時も落胆してはいけない。それを自分の前向きなことに活かせば、必ずそれが活きてくるんです。「糾える縄の如し」って言うじゃないですか...朝日新聞は大体ここからおかしくなったんです。圧力に弱い社長っていうのは、大体こういうことやる。何処でもやるんです。だから、この木原さんがレジェンド刑事、佐藤誠さんに対して、ある時、「お前なんか直ぐに飛ばしてやることもできるんだぞ」と言ったのは、まさにその言葉通りなんです。こういう人は必ずこういう風に言い、そして やるんですよ、実際。そして、今、岸田首相が自らメディア各社の社長に電話を入れて、報道するかしないか様子を伺っているという話です。こんなことをやってるわけですよ... 今、色々読むと、朝日新聞では優秀で将来が有望視されている若い記者が どんどん辞めてるらしい。僕は、まあOBとして憂慮してるんだけど、ちょっと引いて考えれば、当然かなと思ってるんです。記者として自分の使命が果たせない、自分の社会的役割が果たせない、そういう会社に居ても仕方ない、しょうがないだろうと。そういう風に思うのは、やっぱり仕方ないと思う。もう、とにかく自分の保身しか考えない、何とか敵を作らずに上手く立ち回って出世を重ねていく―そういう人間がどんどん出世して、管理職になっていく―これが結局、朝日新聞なんです、寂しいことなんですけど。それは今紹介した僕のケースがあってから、特にその傾向が強くなったと思います。これはまず間違いないと思います。これじゃあ、有望視されている若い記者は辞めてしまいますよ。なので、これは新聞自体、中身は全然面白くなくなりますよ。あるいは、知りたいと思う情報が掲載されていないということです...例えばYouTubeなんかで、今ネットでこの木原さんの問題ってのは凄く見られてるじゃないですか...そういう需要のある木原事件について、とにかく色々なものに怯え切っちゃって、殆ど書かない、ゴーサイン出さない、そうやって、もうとにかく自分の保身ばかり考えて上手く立ち回って出世してきた人達が今経営者になってるわけですから、そうなるのは仕方ないといえば、仕方ないんだけども、これは自ら墓穴掘ってるのと同じことなんですよ。敢えて言えば、そういう人達は、その自ら墓穴掘ってるということにも気が付いていないのかもしれない...これは本当に憂慮すべき問題だと思います。やっぱり、ワシントン・ポストの社主、キャサリン・グラハムの言葉を思い出して欲しい。つまり、「質が利益を連れてくる」ということが基本なんです。そこが無くなったら、もう何をやってもダメ。要するに、商品を作るというのはそういうことじゃないですか。質のいいもの―何でもそうですよ、商品であれば―それを作って初めて次の展開があるわけじゃないですか。> * NYT、WPが果たして今尚、佐藤章氏 紹介のエピソード通り「頼れる」メディアなのかは大いに疑問だが... No.12 16ヶ月前 Post このコメントは以下の記事についています 木原事件まとめ(続)①木原内閣官房副長官が圧力をかけた可能性、②警察庁長官が事件性はない... 孫崎享のつぶやき 元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。 » このブロマガへ
p_f > ③マスコミの腰砕け 解説!木原疑惑、大手マスコミ沈黙!その理由とは?旧メディアのトップは出世主義者のヘタレ揃い。報道してるのはネットメディアだけ。元朝日新聞・記者 佐藤章さんと一月万冊(2023/8/5) https://www.youtube.com/watch?v=1dtMJJ71S3A <1971年、アメリカでペンタゴン・ペーパーズ事件があったんです。これはニューヨーク・タイムズが、ベトナム戦争の原因となったことは一体何か―これについて、国防総省、ペンタゴンが調べて分析して、かなり大きいレポートにしたんです。それは部外秘だった。だけども、国防総省のダニエル・エルズバーグという人が、「アメリカ国民は、ベトナム戦争で息子たちを亡くし、物凄い財政赤字になったのだから、アメリカ国民はその真相について知る必要がある」ということで、そのペンタゴン・ペーパーズをニューヨーク・タイムズのニール・シーハンのもとに持ってきたんです。これを報道して欲しいう風にやって来たわけです。僕はその辺りをニール・シーハンから直接聞いてるんです。その時、まさに朝までかけてエルスバーグとニール・シーハンは話し合った―これを報道したら、ニクソン政権は絶対に反撃してくるに違いないと。これは裁判沙汰になるだろうと。これは ずっと戦うことになるだろうと。それでもやるか?と。で、結局、「やろう。これは、お互いの使命だ」と。「アメリカ国民としての使命だ」ということになったわけです。そして、エルズバーグは最高裁まで戦って勝った...その時、ニューヨーク・タイムズの社主、サルツバーガーがニール・シーハンにこう言ったわけです- 「ニューヨーク・タイムズのビルは9階まである。今、輪転機は1階にある。ニクソンがなんかが やって来て、経済的に困ったら1階を売ればいい。そして、輪転機は2階に移せばいい。またやって来たら、2階を売って、輪転機を3階に移せばいい。それで結局、輪転機が9階に行くまでには、もうニクソン政権は終わってるぞ」 いい度胸じゃないですか。これが人生じゃないですか。で、もう一つ、ワシントン・ポスト。ニューヨーク・タイムズの好敵手ですけども、遅れてスタートして、これを報道するかどうかということで、社内で物凄く激論になったんです。ワシントン・ポストは非常に高級紙なんだけども、前から利益率が薄いということで、非常に社内的にも問題になっていたんです。で、ペンタゴン・ペーパーズをやって本当にいいんだろうかと。ニクソンが何かやってくるんじゃないか、という風になったんだけども、社主のキャサリン・グラハムは―これは映画にもなったんですけど―「質が利益を連れてくる」と言った。ワシントン・ポストという高級紙の「質」を報道することによって、ワシントン・ポストとしての成果が高まる、質が良くなる―今までも評価は高いんだけども、更にその質を高めることになる、それが結局は「利益を連れてくる」んだということです。で、見事に持ち堪えた。つまり、なぜ日本のオールド・メディアは木原問題を書かないのか―今言ったことを繰り返せば、このペンタゴン・ペーパーズの時のニューヨーク・タイムズとかワシントン・ポストの社主のような人間が日本のメディアのトップには今一人もいないということなんです...勇気の無い者達は尻すぼみで終わるということです... 僕は朝日新聞のことしか詳しくは知らないんだけども、今、朝日新聞がおかしくなったわけじゃないんです。もう二十数年前からおかしいんです。で、実はここだけの話、僕自身が おかしくなった朝日新聞の犠牲第1号じゃないかと思ってるんです。というのは、1999年、今の みずほ銀行に合併する前の3行(第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行)の不良債権の状況を僕は殆ど掴んだ。銀行にとって不良債権問題ってのは一番重要な問題なんです。銀行は不良債権で倒産する。そして、その全容を掴んで、僕は月刊文春で大々的に書いたことがあるんです。当時の中吊り広告―「第一勧業銀巨額不良債権を暴く140兆円 メガバンクの時限爆弾-佐藤章 金融危機は終わっていない 小誌(月刊文春)は敢えてこの衝撃レポートを掲載する」―これドーンと書いたんです、1999年12月号。で、この時、相手はとにかく巨大な みずほ銀行ですよ。みずほ銀行大変だったんです。その時、みずほ銀行の、この取材の対応した人の言葉が今だに忘れられないですよ―「まあ書いたらいいですよ、裏から手を回しますから」という風に言った。つまり、木原さんの言葉と寸分寸分違わないんです。結局こういうことを言うんです。でね、実際その通りになった。その時の朝日新聞の社長というのは外部からの圧力に実に弱い人だった。直ぐに僕は左遷されました。左遷されて、結局7年間、取材現場、記者には戻れなかった。7年間ですよ、7年間。だけどね、その7年間、結構勉強しました。勉強して、それがね今役に立ってます。まあ、そういう風に、人間というのは、やっぱり何時いかなる時も落胆してはいけない。それを自分の前向きなことに活かせば、必ずそれが活きてくるんです。「糾える縄の如し」って言うじゃないですか...朝日新聞は大体ここからおかしくなったんです。圧力に弱い社長っていうのは、大体こういうことやる。何処でもやるんです。だから、この木原さんがレジェンド刑事、佐藤誠さんに対して、ある時、「お前なんか直ぐに飛ばしてやることもできるんだぞ」と言ったのは、まさにその言葉通りなんです。こういう人は必ずこういう風に言い、そして やるんですよ、実際。そして、今、岸田首相が自らメディア各社の社長に電話を入れて、報道するかしないか様子を伺っているという話です。こんなことをやってるわけですよ... 今、色々読むと、朝日新聞では優秀で将来が有望視されている若い記者が どんどん辞めてるらしい。僕は、まあOBとして憂慮してるんだけど、ちょっと引いて考えれば、当然かなと思ってるんです。記者として自分の使命が果たせない、自分の社会的役割が果たせない、そういう会社に居ても仕方ない、しょうがないだろうと。そういう風に思うのは、やっぱり仕方ないと思う。もう、とにかく自分の保身しか考えない、何とか敵を作らずに上手く立ち回って出世を重ねていく―そういう人間がどんどん出世して、管理職になっていく―これが結局、朝日新聞なんです、寂しいことなんですけど。それは今紹介した僕のケースがあってから、特にその傾向が強くなったと思います。これはまず間違いないと思います。これじゃあ、有望視されている若い記者は辞めてしまいますよ。なので、これは新聞自体、中身は全然面白くなくなりますよ。あるいは、知りたいと思う情報が掲載されていないということです...例えばYouTubeなんかで、今ネットでこの木原さんの問題ってのは凄く見られてるじゃないですか...そういう需要のある木原事件について、とにかく色々なものに怯え切っちゃって、殆ど書かない、ゴーサイン出さない、そうやって、もうとにかく自分の保身ばかり考えて上手く立ち回って出世してきた人達が今経営者になってるわけですから、そうなるのは仕方ないといえば、仕方ないんだけども、これは自ら墓穴掘ってるのと同じことなんですよ。敢えて言えば、そういう人達は、その自ら墓穴掘ってるということにも気が付いていないのかもしれない...これは本当に憂慮すべき問題だと思います。やっぱり、ワシントン・ポストの社主、キャサリン・グラハムの言葉を思い出して欲しい。つまり、「質が利益を連れてくる」ということが基本なんです。そこが無くなったら、もう何をやってもダメ。要するに、商品を作るというのはそういうことじゃないですか。質のいいもの―何でもそうですよ、商品であれば―それを作って初めて次の展開があるわけじゃないですか。> * NYT、WPが果たして今尚、佐藤章氏 紹介のエピソード通り「頼れる」メディアなのかは大いに疑問だが... No.12 16ヶ月前 Post このコメントは以下の記事についています 木原事件まとめ(続)①木原内閣官房副長官が圧力をかけた可能性、②警察庁長官が事件性はない... 孫崎享のつぶやき 元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。 » このブロマガへ
解説!木原疑惑、大手マスコミ沈黙!その理由とは?旧メディアのトップは出世主義者のヘタレ揃い。報道してるのはネットメディアだけ。元朝日新聞・記者 佐藤章さんと一月万冊(2023/8/5)
https://www.youtube.com/watch?v=1dtMJJ71S3A
<1971年、アメリカでペンタゴン・ペーパーズ事件があったんです。これはニューヨーク・タイムズが、ベトナム戦争の原因となったことは一体何か―これについて、国防総省、ペンタゴンが調べて分析して、かなり大きいレポートにしたんです。それは部外秘だった。だけども、国防総省のダニエル・エルズバーグという人が、「アメリカ国民は、ベトナム戦争で息子たちを亡くし、物凄い財政赤字になったのだから、アメリカ国民はその真相について知る必要がある」ということで、そのペンタゴン・ペーパーズをニューヨーク・タイムズのニール・シーハンのもとに持ってきたんです。これを報道して欲しいう風にやって来たわけです。僕はその辺りをニール・シーハンから直接聞いてるんです。その時、まさに朝までかけてエルスバーグとニール・シーハンは話し合った―これを報道したら、ニクソン政権は絶対に反撃してくるに違いないと。これは裁判沙汰になるだろうと。これは ずっと戦うことになるだろうと。それでもやるか?と。で、結局、「やろう。これは、お互いの使命だ」と。「アメリカ国民としての使命だ」ということになったわけです。そして、エルズバーグは最高裁まで戦って勝った...その時、ニューヨーク・タイムズの社主、サルツバーガーがニール・シーハンにこう言ったわけです-
「ニューヨーク・タイムズのビルは9階まである。今、輪転機は1階にある。ニクソンがなんかが やって来て、経済的に困ったら1階を売ればいい。そして、輪転機は2階に移せばいい。またやって来たら、2階を売って、輪転機を3階に移せばいい。それで結局、輪転機が9階に行くまでには、もうニクソン政権は終わってるぞ」
いい度胸じゃないですか。これが人生じゃないですか。で、もう一つ、ワシントン・ポスト。ニューヨーク・タイムズの好敵手ですけども、遅れてスタートして、これを報道するかどうかということで、社内で物凄く激論になったんです。ワシントン・ポストは非常に高級紙なんだけども、前から利益率が薄いということで、非常に社内的にも問題になっていたんです。で、ペンタゴン・ペーパーズをやって本当にいいんだろうかと。ニクソンが何かやってくるんじゃないか、という風になったんだけども、社主のキャサリン・グラハムは―これは映画にもなったんですけど―「質が利益を連れてくる」と言った。ワシントン・ポストという高級紙の「質」を報道することによって、ワシントン・ポストとしての成果が高まる、質が良くなる―今までも評価は高いんだけども、更にその質を高めることになる、それが結局は「利益を連れてくる」んだということです。で、見事に持ち堪えた。つまり、なぜ日本のオールド・メディアは木原問題を書かないのか―今言ったことを繰り返せば、このペンタゴン・ペーパーズの時のニューヨーク・タイムズとかワシントン・ポストの社主のような人間が日本のメディアのトップには今一人もいないということなんです...勇気の無い者達は尻すぼみで終わるということです...
僕は朝日新聞のことしか詳しくは知らないんだけども、今、朝日新聞がおかしくなったわけじゃないんです。もう二十数年前からおかしいんです。で、実はここだけの話、僕自身が おかしくなった朝日新聞の犠牲第1号じゃないかと思ってるんです。というのは、1999年、今の みずほ銀行に合併する前の3行(第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行)の不良債権の状況を僕は殆ど掴んだ。銀行にとって不良債権問題ってのは一番重要な問題なんです。銀行は不良債権で倒産する。そして、その全容を掴んで、僕は月刊文春で大々的に書いたことがあるんです。当時の中吊り広告―「第一勧業銀巨額不良債権を暴く140兆円 メガバンクの時限爆弾-佐藤章 金融危機は終わっていない 小誌(月刊文春)は敢えてこの衝撃レポートを掲載する」―これドーンと書いたんです、1999年12月号。で、この時、相手はとにかく巨大な みずほ銀行ですよ。みずほ銀行大変だったんです。その時、みずほ銀行の、この取材の対応した人の言葉が今だに忘れられないですよ―「まあ書いたらいいですよ、裏から手を回しますから」という風に言った。つまり、木原さんの言葉と寸分寸分違わないんです。結局こういうことを言うんです。でね、実際その通りになった。その時の朝日新聞の社長というのは外部からの圧力に実に弱い人だった。直ぐに僕は左遷されました。左遷されて、結局7年間、取材現場、記者には戻れなかった。7年間ですよ、7年間。だけどね、その7年間、結構勉強しました。勉強して、それがね今役に立ってます。まあ、そういう風に、人間というのは、やっぱり何時いかなる時も落胆してはいけない。それを自分の前向きなことに活かせば、必ずそれが活きてくるんです。「糾える縄の如し」って言うじゃないですか...朝日新聞は大体ここからおかしくなったんです。圧力に弱い社長っていうのは、大体こういうことやる。何処でもやるんです。だから、この木原さんがレジェンド刑事、佐藤誠さんに対して、ある時、「お前なんか直ぐに飛ばしてやることもできるんだぞ」と言ったのは、まさにその言葉通りなんです。こういう人は必ずこういう風に言い、そして やるんですよ、実際。そして、今、岸田首相が自らメディア各社の社長に電話を入れて、報道するかしないか様子を伺っているという話です。こんなことをやってるわけですよ...
今、色々読むと、朝日新聞では優秀で将来が有望視されている若い記者が どんどん辞めてるらしい。僕は、まあOBとして憂慮してるんだけど、ちょっと引いて考えれば、当然かなと思ってるんです。記者として自分の使命が果たせない、自分の社会的役割が果たせない、そういう会社に居ても仕方ない、しょうがないだろうと。そういう風に思うのは、やっぱり仕方ないと思う。もう、とにかく自分の保身しか考えない、何とか敵を作らずに上手く立ち回って出世を重ねていく―そういう人間がどんどん出世して、管理職になっていく―これが結局、朝日新聞なんです、寂しいことなんですけど。それは今紹介した僕のケースがあってから、特にその傾向が強くなったと思います。これはまず間違いないと思います。これじゃあ、有望視されている若い記者は辞めてしまいますよ。なので、これは新聞自体、中身は全然面白くなくなりますよ。あるいは、知りたいと思う情報が掲載されていないということです...例えばYouTubeなんかで、今ネットでこの木原さんの問題ってのは凄く見られてるじゃないですか...そういう需要のある木原事件について、とにかく色々なものに怯え切っちゃって、殆ど書かない、ゴーサイン出さない、そうやって、もうとにかく自分の保身ばかり考えて上手く立ち回って出世してきた人達が今経営者になってるわけですから、そうなるのは仕方ないといえば、仕方ないんだけども、これは自ら墓穴掘ってるのと同じことなんですよ。敢えて言えば、そういう人達は、その自ら墓穴掘ってるということにも気が付いていないのかもしれない...これは本当に憂慮すべき問題だと思います。やっぱり、ワシントン・ポストの社主、キャサリン・グラハムの言葉を思い出して欲しい。つまり、「質が利益を連れてくる」ということが基本なんです。そこが無くなったら、もう何をやってもダメ。要するに、商品を作るというのはそういうことじゃないですか。質のいいもの―何でもそうですよ、商品であれば―それを作って初めて次の展開があるわけじゃないですか。>
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NYT、WPが果たして今尚、佐藤章氏 紹介のエピソード通り「頼れる」メディアなのかは大いに疑問だが...
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