• このエントリーをはてなブックマークに追加

中庸左派さん のコメント

 私は、日本として二重国籍の問題はまだまだ議論のとば口にも入っていないのではないか、と考えている。

 ただ、個人的に賛否を言うなら、賛成である。

 ①理由は少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少②社会を維持するために必要な農業従事者や建設労働者が減少傾向にある。ということで、率直に言うなら、労働力として外国出身者を必要としている側面は否めない。

 しかし、単なる労働力としての「使い捨て」は、道義的に許されない。従って、日本国民として権利を保障した上で安心して、定住して、働いていただく、ということが必要になる。

 ただし、他国の移民暴動のような先例は教訓にするべきであろうし、社会的に包摂し、社会の構成員として迎え入れるならば、慎重な議論が必要だ。

 とは言え、冒頭の懸念に戻るが、今、日本ではとてもではないが、そんな空気感は無いように見えるのは私だけではあるまい。

 記憶に新しいのは、立民の蓮舫議員の二重国籍問題だが、この時は蓮舫議員は右派保守派から総攻撃を受けていた。しかも、日本の保守派とか右派が「大好きな」台湾との二重国籍だっただけなのに。

 公職選挙法上は、日本国民に限定されていることを金科玉条にして、たまたま二重国籍になってしまっただけのことで総攻撃する心性は、やはり日本の偏狭なナショナリズムというべきであろう。

 公職選挙法で言うなら、外国人参政権は昔から、憲法上或いは行政上の争点であった。

 憲法学の通説は、地方参政権は積極的に保障するわけではないけれど、地方公共団体が条例制定により、認めるならば、選挙に関する権利を認める、というカンジだったと思う。地方参政権なら、理論上は可、みたいなカンジである。

 これは最高裁判決の「傍論」にも示されている。

 ただし、あくまで地方参政権の話で、国政選挙となれば、論外。

 それに、今のところ、定住外国人に地方参政権を認めた地方公共団体はないし、住民投票を認めた自治体があるくらいではないか?

 しかも、こうした姿勢の根底にある考え方は、外国人に地方参政権を認めれば、地域が引いては、日本が乗っ取られるのではないか、という危機感、恐怖感ではないか?

 というのも、この外国人参政権は、地方参政権について言うなら、理論上可能と最初に提唱したのは長尾一紘という憲法学者であったが、この人、中韓との領土問題を理由に自説をアッサリ撤回した。

 長尾氏は外国人参政権は違憲だ、とまで言い出したのである。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%95%B7%E5%B0%BE%E4%B8%80%E7%B4%98

 その意味では、中韓恐怖症による偏狭なナショナリズムに阻まれ、日本における外国人の権利保障は迷走したまま、否、むしろ後退したといったほうが正しい。

 因みに長尾氏が外国人参政権を提唱した際、参考にした学説はドイツの学説であった。その意味では、ドイツが二重国籍を認めるに至る背景には、外国人参政権理論の蓄積や実践があってのことだったのかもしれない。

 となると、やはり日本は偏狭なナショナリズムに囚われすぎではないか?日本における二重国籍はムズカシイのではないか?
No.7
15ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
孫崎享のつぶやき
元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。