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りゃんさん のコメント

最初の部分(A-1より前の部分)は、たぶん孫崎さん自身のお考えなのだろう。
わたしにはこの部分についていくつか疑問点がある。

1,「冬が訪れる前。9月末までに反攻が成果をあげる必要がある」のだろうか。
これは確かにそうかもしれない。だからわたしは反対まではしない。
ただ、これには有力だとおもわれる反論があるので紹介しておこう。
https://agora-web.jp/archives/230903122435.html
この筆者は論拠を示しつつ「2024年夏までには決定的な戦果が確定してアメリカ国民に強い印象づけられている状況」がウクライナの目標だと考えている。
わたしはこの議論に、全面的に賛成するわけではないが、強い説得力を感じる。

なお、戦争の本当の実態把握や予測というのは本当に難しいというのは、今次露宇戦争でよくわかった。
なんせ、現在進行形でおきており、報道もゴマンとあるのに、なにが本当かわからないのだ。
典型的な誤判断をひとつあげておこう。
https://twitter.com/LB05g/status/1628771294606139394
本年2月のこの主張は、本年夏までにはウクライナ全土が軍事占領されると予測している。
結果がどうだったかは誰でも知っている。しかしこの筆者は軍事の専門家なのだ。
非専門家でこの手の予想をして外しているヒトビトも多い。
戦争予測が難しいことを示すとともに、こういうヒトの示す方向「のみ」を信じていたヒトは、ちょっとくらい反省したほうがいい。

2,「極めて異例の措置」なのだろうか。
たしかに通常はこのような人事は極めて異例であることが多いとおもわれる。しかし、いまのウクライナにとっては、戦闘自体よりも、武器の調達などの戦略のほうが上位にたつと考えれば、別に不合理ではない。米国・NATO諸国から円滑に援助を受けるために、腐敗を撲滅しようとしていると素直に受け取れば良いとわたしはおもう。
なお、コロモイスキーも腐敗関連で起訴・拘束されている。コロモイスキーはアゾフ大隊に資金提供されたといわれる富豪で、ゼレンスキーとも近かったとされ、陰謀論のなかで何度も名前が出ていたひとである。
https://www.asahi.com/articles/ASR936CVNR93UHBI00Q.html

作戦に米国やNATOが関与しているだろうことは、いまさら強調する必要もない常識だ。逆に、米国やNATOの思い通りにはすべてはやっていないという兆候がみられる。ロシアへのドローン攻撃、反転攻勢当初の作戦など。

3,「スラブ民族ではない」ことは重要だろうか。
ロシアのショイグ国防大臣も①もともと軍人ではなく、②トゥバ人(父親。なお母親はロシア人とされる)だ。ゲラシモフはタタールスタン共和国出身だ。プーチンの御用メディアであるRTのシモニャンはアルメニア系だ。
ソ連はもともと多民族国家なのであり、ウクライナも含めて非スラブが重要な地位につくことは皆無ではなかった。(なおプーチンになってから、今回のウクライナ侵略でも「ロシア人の物語」に少数民族が無理矢理協力させられている点は異常だ)。

またウメロフは「クリミア・タタール人であり、ロシアによるクリミア半島占領下で迫害されている民族の一員である」とA-2に記されているとおり、クリミア出身者のようだから、その点では、クリミア奪還をかかげるウクライナにとって、適任ともいえる。
なお、クリミア・タタール人のスターリンによる強制移住については、ここではわたしだけが書いてきたとおもう。
No.10
14ヶ月前
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孫崎享のつぶやき
元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。