• このエントリーをはてなブックマークに追加

中庸左派さん のコメント

 今年の重大関心事は11月のアメリカ帝国大統領選挙であるが、兎角トランプ再選の有無に関心が偏っていたかな、と個人的には思うところである。やはり、ウクライナでの戦争の成り行きに影響があることから、個人的にその点でのトランプ再選による停戦和平への期待は大きい。

 しかし、大統領選挙の争点に注目するなら、勿論、ウクライナ問題だけではないだろう。移民問題、これもよく知られている。特にメキシコ国境の問題と言い換えても良いのだろう。

 アメリカ帝国最大の国内問題、或いは大統領選挙の争点は移民問題、メキシコ国境問題なのではないか?

 そして、正直不勉強で最近知ったのだが、この移民問題が人身売買問題と密接に関連しているということらしいのである。

「まず第一に、議員は移民と人身売買を人為的に分離することの問 題を認識すべきである。 移民政策と人身売買を区分けすることで、超党派の支持を得ることができる一方で、「その隙間に入り込んだ人身売買の被害者には、事実上何の保護も与えられないという悲惨な欠点がある」。議会は人身売買のレンズを通して移民政策を捉え、移民政策が人身売買の被害者にどのような影響を与えるかを調査すべきである。」

https://traffickinginstitute.org/u-s-immigration-policy-and-human-trafficking-two-sides-of-the-same-coin/

 これは「人身売買研究所」という機関のレポートである。日本では社会問題として巷間に流布しているテーマということではないように思う。だから、アメリカ帝国での人身売買の問題が日本で報道されることも少ないのではなかろうか?

 人身売買問題を描いた『サウンド・オブ・フリーダム』という映画がアメリカ帝国でヒットしたという。

 ただし、ややこしいのはアメリカ帝国内には人身売買問題はQアノン信奉者、極右の陰謀論だ、というレッテル貼りもあるようだ。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/culture/2023/08/post-102485_1.php

 さて、どちらが真実か?

 少なくとも、「人身売買との戦いを最優先課題に掲げるドナルド・トランプ大統領」ということらしい。「人身売買は、世界で最も急速に成長している犯罪産業の 1 つであり、阻止することが最も困難な犯罪の 1 つです。」
 上記はTIME誌の記事である。ただし、TIMEの論旨は「ドナルド・トランプの移民政策が人身売買との戦いの時間をいかに遅らせたか」という見出しに現れているように、トランプの移民政策批判のようだ。

https://time.com/5905437/human-trafficking-trump-administration/

 TIMEの記事からうかがえるのは、人身売買問題が単なる陰謀論では片付けられない深刻なアメリカ帝国の社会問題だということではないか?

 トランプが何故移民問題に拘るのか、アメリカ帝国において何故移民問題が大問題なのか?その辺の背景が重層的に見えてきた気もする。

 その意味では、アメリカ帝国の腐敗堕落はもはや抜き差しならない臨界点に達しようとしているのではないか?

 戦争、貧富の格差、銃乱射、移民問題、人身売買、人種差別、アメリカ帝国が抱える問題は、あまりに深く、重い。その視点でアメリカ帝国がどのような未来を選択するのか、注目したいと考えている。
 いずれにせよ、より巨視的に見るなら、トランプ再選によりアメリカ帝国の覇権崩壊、自滅という流れが加速するのかどうかも見極めたい。
No.18
9ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
・1月15日共和党の指名争いの初戦となるアイオワ州党員集会でトランプが圧勝した。 ・ デサンティスが大統領選撤退を表明 、(注1月中旬での、各候補への支持率は RCP 平均でトランプ61%、デサンティス11%、 ヘイリー 12%。 ・現段階では民主党はバイデンを候補にする。ではバイデンとトランプが戦った場合はどうなるか。1月中旬で、 RCP 平均はトランプ45.8%、バイデン44.7%である。米国大統領選挙は代議員制度をとり、全取りの州がある。選挙動向を揺るがす州の状況を配慮するとトランプの優位は拡大する。米国では大統領選挙も賭けの対象で、1月中旬、賭けではトランプ 37.6 %、バイデン 29.0 %である。 アメリカ選挙人団;2024年は合計538人、伝統的に中南部は共和党が強く、西部・東北部がとよい。  スイング・ステート(英 : swing state )は、アメリカ合衆国大統領選挙の勝者総取り方式において、共和党・
孫崎享のつぶやき
元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。