• このエントリーをはてなブックマークに追加

中庸左派さん のコメント

日本経済に関して雑感的に思うところをいくつか書いてみたい。

①インフレ率。これはウクライナやガザ地区での戦争により、資源価格・輸入コストが上昇、西側による無駄無益な経済制裁、サプライチェーンの目詰まり等を要因としているため、これら要因が落ち着けば安定するだろう。従って、賃金上昇は弥縫策に過ぎない。だから、賃金上昇から、インフレ、経済活性化、経済成長の好循環にはならないと考えている。

②賃金。連合、芳野氏は胸を張っているのかもしれない。
「連合の春闘賃上げ率33年ぶり5%超え、「ステージ転換」と会長」

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/2HET6W6BNZLPHG6TDHWGYCA4QQ-2024-03-15/

だが、日本の労働組合の組織率は16%で労働者の5人に1人も組織していない上に、6割が大企業だ。

https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2023/03/k_02.html

体力のある大企業は賃上げに踏み切れても、圧倒的多数の中小零細で働く人々に賃上げはほど遠いだろう。

そもそも、重要なことは賃上げより消費である。給料が上がっても、預貯金に廻るだけでは意味はない。私は、庶民感覚として消費拡大はないと思う。

③利上げ。経済学の教科書的には利上げは国債の暴落要因とか償還リスクに直結する。

https://www.jsda.or.jp/jikan/qa/013.html

よく知られてることだが、日本は政府債務残高大国である。ランキングではレバノンに次ぐ世界第二位。

「世界の政府債務残高対GDP比 国別ランキング・推移」

https://www.globalnote.jp/post-12146.html

財政再建不要論者からは、よく「レバノンは外貨建てで、起債しているからデフォルトの危険は高いが、日本は自国通貨、円建てだから問題ない」というハナシを聞く。

そして、こういう論者は、政府の負債は、日本企業等の資産だからバランスシートを想定するなら、全く問題なし、むしろ無から有(資産)を創るから、良いことだ、みたいなことを言っている。

しかし、そもそも、日本国のバランスシートに民間の資産を加えて考えるやり方は、国際標準なのかどうか、私は知らない。単なる架空の皮算用のハナシではないか?と思ってしまう。

また、国債頼みの財政運営でも国の将来的な課税権とバランスしていれば、問題なし、みたいなハナシも聞く。だが、日本は急速に人口減少していくなかで、将来的な納税者の急速な減少を考慮しているのだろうか?

また、自国通貨建ての起債だから心配ない、というが、為替の影響は無いわけがない。また、外国人の投機だって当然ある。

外国や外国人との関係を断ちきった自国完結的経済モデルなどあり得ないのに、政府負債は国内企業の資産だ、みたいな架空のバランスシート議論を展開して財政再建を先送りする勢力は、果たして正しいのか?

そもそも、日本経済の国際的評価は低レベルだ。

「国際格付け会社は、日本経済が2024年に0.6%成長すると予想している。」

https://www.globaltimes.cn/page/202403/1309107.shtml

低成長、人口減少、政府負債の大過ぎる日本の円では、取り引きしない、決済は人民元でしかしない、なんてある日、外国との貿易で言われたらどうなるのだろうか?

孫崎先生の示した本文にも「連邦準備理事会の目標金利は依然として約5ポイント高く、欧州中央銀行の目標金利は4ポイント高い。」多少金利を上げただけでは、円高是正は微々たるものだろう。おカネは金利の高い方に向かうのだから。

そもそも利上げをすれば、庶民生活を直撃する。住宅ローン金利等だ。最近、9割方が変動金利の住宅ローンを利用しているという記事を読んだ。返済金額が上がることは避けられない。

また、最近の株高はやはり景気とはなんの関係もないという指摘。Global Timesの「日本が「失われた30年」から完全に抜け出すにはまだ時間が必要:リチャード・クー氏」より。

https://www.globaltimes.cn/page/202402/1307728.shtml

------- 以下引用 -------

日本は金利を非常に低く抑えてきたが、新型コロナウイルス感染症のパンデミック後に世界はインフレを経験したことだ。他の国々はインフレを抑制するために金利を引き上げました。日銀は金利を上げなかったので、円は急激に下落した。外国から見ると、日本の資産は突然非常に安くなりました。そのため、株式市場を中心に巨額の資金が日本に流入した。だからこそ株式市場は非常に好調なのです。しかし、日本自体はあまり変わっていません。お金の流入は、ある意味日本を良く見せるだけです。

----------引用終わり-----------

私は円安は国富の棄損だから、是正されるべきだと考えている。しかし、その最大の円安原因はドル高だろう。ドルはペトロダラーとか、基軸通貨性を良いことに、好き放題に金融政策が出来る。結局、基軸通貨ドルが崩壊し、ドルとの兼ね合いで円安になる関係性を打破することが大事ではないか?

また、私は今回の日銀の政策は、よい方向には向かわないと懸念している。理由は縷々上記に書いた通り。
No.7
9ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
A-1 .nytimes. 日本、 17 年ぶりに利上げ Japan Raises Interest Rates for First Time in 17 Years インフレ率の上昇と賃金の上昇は、中央銀行によるそのような積極的な刺激策がなくても、この国の経済が成長できることを示唆。 日本の中央銀行は火曜日、 2007 年以来初めて金利を引き上げ、金利をゼロ以上に引き上げ、長らく成長に苦戦してきた 経済を刺激する積極的な取り組みの一章を終えた。 2016 年、日本銀行は借り入れコストをゼロ以下にするという異例の措置を講じ、貸し借りを再開し、停滞する日本経済を刺激しようとした。 マイナス金利(一部の欧州諸国の中央銀行も適用している)は、預金者がお金を払って銀行にお金を預けることを意味し、代わりにお金を使うインセンティブとなる。 しかし、日本経済は最近、力強い成長の兆しを見せ始めている(注?)。インフレ率は長年低水準
孫崎享のつぶやき
元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。