5・31号週刊朝日は私とNYタイムズ東京支局長ファクラー氏の対談を掲載。
冒頭の紹介「成長戦略第2弾を意気揚々と発表した安倍晋三首相は、国内では今や敵なしだ。しかし、側近の電撃訪朝、歴史認識など外交では「米国の国益に害する形で隣国との関係を悪化させる懸念がある」(米議会調査局報告書から)とたたかれっぱなしだ。米国だって間違っていないか?日米の論客が大論争した。(この日、朝、髭をそらずひどい写真になりました)。
私の発言の初めの部分。
孫崎 まず初めに、私は飯島勲秘書官の突然の訪朝に米国は決していい気持ちはしていないと思うんです。中国の国家副主席が習近平になったことで、今までの北朝鮮政策とはうって変わりました。何でも見逃すという立場から、北のわがままは許さないと。ミサイル問題などでも、米国と中国が協力をして北朝鮮に圧力をかけ、抑止した。にも関わらず、安倍首相はそんな空気をまったく読まずに、飯島秘
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孫崎氏のNY Times支局長に対する発言には、孫崎氏の従来の日本政府の政策、たとえば吉田茂による政策を「対米従属」であったと批判する(孫崎著「戦後史の正体」p。008)という主張に基づくと、大いに違和感を感じる。なぜならば、孫崎氏自身が安部首相訪問時の米国政府の扱いを中国の習近平主席や朴大統領に対する扱いと比較して「いかに安倍首相が米国で軽んじられているかが分かります」などと嘆いているから。言うなれば、孫崎氏自身が米国に対して良く思われたいというおもねりの気持ちがあると解釈できるからである。重要なのは、もてなしではない。日本が孫崎氏が主張するように真に独立的であるべきだとするならば、当然ながら米国との間には競争ないし敵対関係が起こり得るのは当然である。いま、オバマ大統領は内外に大変な問題(たとえば今月末の2億ドルdebt ceiling rasing billの成立期限を5月19日に控えていたーLabor Dayまで再延長決定) を抱え、憂鬱な毎日を送っているのは、最近テレビに映る彼の顔から笑みが消え、苦虫を噛み潰したような表情が多くみられることから明らか。そんなオバマにご機嫌をとって貰う必要はない。それより、ヒラリーからケリーに代わっても国務長官が尖閣諸島における日本の権益を米国は支持すると明言しているし、日本の(実質的には円高を狙った)新金融政策について米国は黙視するという態度をとりつけたこと(副島隆彦によれば50兆円の米国債買い入れの約束により)が安部総理訪米の結果であり、日本国民をそれを評価するなり、または批判すれば良い。安部訪米はその点から評価批判すべきで、ちやほやしてくれたかどうかで評価しようとするのは孫崎氏自身の米国に対する特別な意識であり、とても独立独歩の意識とは言えない。総理大臣がいくら変わっても友好国であることが変わらない日本に対しては特別扱いはいらないというのがアメリカ側の勝手な理屈だろう。
安倍首相の経済政策が好調なのは分かる、がなぜ好調なのか、理由が判らない。そんな中、今日5.23株価が大暴落(1100円下落)した。さて日米同盟はどうか。日米両政府は普天間飛行場の辺野古移設推進を唱える。しかし、外堀は在沖海兵隊移設へと動いている。自民党は危険機種オスプレイの購入計画まで明らかにした。孫崎氏の対米追従姿勢は、沖縄の犠牲により成り立ってきたが、もうそれも不可能。日本政府が目を覚ますしかないのだが。