
2015年12月12日に開催された対局を各卓ごとにレポートします。今回は決勝卓です。

優勝予想は最強戦常連のたろうが1位(36.2%)で、これはある意味当然の結果だが、2位の近藤がそれに肉薄する数字(32.7%)。要因はやはり今年の最高位決定戦の勝ちっぷりを見て投票した人が多かったからだろう。
東1局は前田が高め234の三色のフリテンリーチを敢行するが、これはツモれずに流局。続く東2局1本場。ドラは
。親の前田が好配牌を手にする。

一方、北家のたろうの手にピンズが次々と押し寄せ、染め手に向かう。

5巡目に
をチーして残った形がこれ。連続形が維持されていて決まりやすい形だ。
たろうはさらに
ポンをしイーシャンテン。そして
を重ね、ホンイツのみではあるがテンパイ一番乗りを果たす。北家・たろうの手牌










ドラ
さらに、西家・近藤にもテンパイが入る。


ドラ1ある近藤はション牌の
単騎リーチをかけた。
は場には出ておらず、柴田の手に1枚あるだけ。そして配牌イーシャンテンの親・前田がようやく追いついた。

東1局と同じく234の三色の

待ち(ただし今回はフリテンではない)。リーチの近藤の現物が高めである。前田はドラ表示牌の
をすっと切る。前田「先手を取れたら立直して6000オール引きに行こうと思ってました。しかしたろうプロにホンイツテンパイが入り、近藤プロからリーチが入り、後手を踏んだ形です。

が先に埋まればリーチをしようと決めてましたが、逆になり、
は山にいそうですけど、
が厳しそうに思ったので黙テンにしました。それと近藤プロのリーリを受けてたろうプロが一発目の牌を多少躊躇って切ったので、たろうプロは打点がそこまで無いか、愚形待ちかだと感じてたので、もし立直したら
は止められる可能性もあったと思います。以上が、ヤミテンを選択をした理由です」直後、この高めがオリている柴田から出て前田の親満のアガリとなった。


柴田自身も前田の
が強いのは承知の上だが、何せリーチの近藤の現物でピンズ仕掛けのたろうに確実に通るのが
だけ。近藤の捨て牌のスジで前田の現物の
という選択もないわけではないが、近藤に
が通っていない以上、
から捨てるのはやむを得ないか。だが、それが親満という痛恨の一撃を食った形となってしまった。これで前田がまず一歩リードとなった。ここから、トップめ前田に追いつこうとする近藤・たろう鍔迫り合いが熾烈になった。
東3局では近藤がメンピンツモドラ1のアガリ。

続く近藤の親になる東4局では、近藤が

待ちのダブ
ホンイツの親満を入れるが、これをたろうがリーヅモで蹴った。
東場を終えた時点の得点状況は、前田38600、近藤32400、たろう21300、柴田7700という並び。トップ前田の持ち点がそれほど多くないので、全員にまだまだチャンスが残されている。
そして南1局。親のたろうとしては、ここは大きく稼ぎたいところ。


9巡目にタンヤオイーペーコーのテンパイを果たしたたろうはカン
待ちで即リーチをかける。だが、北家・近藤もすぐに追いついて追っかけリーチ。


近藤からはドラの
が4枚見えており、親のたろうに対しても向かいやすい。テンパイの入り目は
だったが、おそらく逆が入っても追っかけリーチをかけていただろう。そして、このめくり合いに柴田も参戦する。


こちらもチャンス手であり、当然の追っかけだ。

最強戦システムの南場では、このように親リーチに対し子が次々に追っかけるシーンが少なくない。親リーチの圧力が効くのはトップ目か手ばらの打ち手だけである。そこそこ戦える形ならそこから退くケースは少ないのである。トップしか価値のない戦いでは、返り討ちを覚悟で数少ないチャンスを掴みにいかないと結局負けてしまうからだ。
この勝負を制したのは近藤だった。

これで近藤はトップ逆転。たろうは二度目の親を満貫放銃で落とし一気に苦しくなる。上位2人・下位2人が明確な構図となり、南2局の前田の親を迎える。
南2局。トップを逆転された前田の親。

この局は先行リーチをかけた前田だったが、1人テンパイのまま流局。そして1本場で再びチャンスを手にした。

このリーチに3人とも押し返すものの、テンパイまで至らない。そして前田が高めの
をツモ。
裏ドラも乗せて6000オール。これでたろう、柴田とは圧倒的な差がつき、そして二番手近藤との差も大きく広げた。前田としては、ここでさらにリードを広げ、来るべきオーラス、近藤との勝負に備えておきたい。だが、次局は近藤の3巡目リーチがかかったために大人しく撤収。近藤はたろうから2600は3200をアガって前田の親を流した。
そしてオーラス。トップめ前田とラス親近藤の点差は19700点差。近藤はハネツモなら一撃でまくるが、無理に高くするよりまずは前田の足を止めたいところ。

その近藤の6巡目の手牌がこの形。

ピンフイーぺーコー絡みのテンパイなら6000オールが狙えなくもない。だが、裏目でテンパイを逃すとその分前田の手も進んでしまう。近藤はここで
を捨てた。即リーチ・ポンテン・フリテンリーチなどあらゆる可能性を残した一打なのか。一方の前田は8巡目にイーシャンテンになった。


ここはいよいよ勝負のとき。まずドラの
を捨てる前田。ここに近藤のポンは入らず、続けて柴田がこれを合わせ打ちしたので、前田にとっては第一段階はクリアした(近藤にアガられても表ドラは絡まない)といえるだろう。だが、12巡目、前田は大いなる決断を迫られることになる。

役なしテンパイになる数少ない
(あと
のみ。それ意外は全て役がつく)を引いた前田。リーチをかければ出アガリも可能だが、そうすると近藤に親満放銃で逆転されてしまう。ヤミテンか、あるいはテンパイ崩しかと思われたが、前田の決断は「リーチ」だった。
前田「
や
が出ても鳴かないと決めていたので、役アリのテンパイを入れたかったのですけど、持ってきたのが
…。ああいう状況での捨て牌読みはあまりあてにはなりませんけど、(たろう・柴田の)2人が四暗刻よりも国士よりの捨て牌だったので、
は山にあるか近藤プロが固めているかだと思ってました。なので近藤プロからの
切りを逃したくはなかったので、ここは勝負だと思いリーチを選択しました。もちろんドラの
が2枚見えていたこともリーチ選択出来た理由の一つでもあります」このリーチを受けた瞬間、近藤は両手を交差させ双方の前腕をさすり始めた。

いよいよ勝負の時が来たという感じなのだろうか。近藤の手も親満の可能性があるイーシャンテン。だが、そこに前田の本命牌の1つ
を持ってきた。

ここで近藤はこの最強戦で一番の長考を入れた。もちろん状況的には
勝負一択なのだろう。だが、その状況に流されて安易に勝負することはしなかった。この牌を切らずにアガれる道があるかを考えたのか。だが、最終的に腹を括って
を押した近藤。だが、その数秒後。前田の手に
が引き寄せられ、新・最強位が決定した。
対局後の一礼を終え、柴田から握手を求められた前田にようやく安堵の表情が浮かぶ。


さらに近藤、たろうとも握手を交わす。


意外なことに最強戦ファイナルではこういうことがあまりないだけに、どこか新鮮味のある光景だった。

表彰式のインタビューでは謙虚にこう語った新最強位。
「今日は本当にツイてました。誰でもアガれる手牌がちゃんと来てくれて。最強位獲得は率直に嬉しいです。
これで麻雀最強戦2015は全日程を終えた。来年も年明け早々に「麻雀最強戦2016女流プロ代表決定戦出場枠争奪戦」が開催される。果たして来年はどんなスターが登場するのか? 激しくドラマチックな戦いをご期待ください!
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