あなたは毎日通勤や通学にどれくらい時間を使っていますか?
それは1ヶ月で何時間になりますか?
1年間になると合計でどれだけの時間になりますか?

そこまでの通勤通学時間を犠牲にしてまで、本当にそれは必要なことですか?


今回は、田舎で幸せに暮らしているけれど、出会いを求めて都会に行きたいという方の相談をもとに、“通勤・通学” の心理学についてまとめてみたいと思います。

Q. 「仕事も順調で田舎で幸せに暮らしていますが、なかなかいい出会いがなく田舎ではアプリでも限界があります。どうすればいいのでしょうか?」


出会いに関しては、ハイスペックな人と出会いたいと思った場合には、どうしても都会が有利にはなります。

ミニマムな形にして都会と地方の行き来をするとか、一時的に都会に住んでみるというのもいいと思います。

今仕事が順調なのであれば、その順調な原因を見極めて、それを担保した状態で週末だけ都会に出るというようなことをして出会うのもいいと思います。


結婚は焦らなくてもいいと思います。結婚しないと幸せになれないというわけでもありませんので、才能の方がはるかに大事だと思います。


この相談者に対してのDaiGo師匠のアドバイスは以上のような内容でした。


今はリモートワークも増えてきて、働き方が変わったことで逆に田舎や郊外に移住を考えている人も多いと思います。

逆に、仕事や人間関係の可能性を広げるために都会に出たいという人もいると思います。

今回は、そんな皆さんが決して忘れてはいけないであろう通勤や通学が与える影響について掘り下げていきたいと思います。


Dラボの時間富豪のシリーズでも、この通勤通学の問題については取り上げていました。

通勤はほぼ毎日することですし、人生の大半において関わってくることです。

様々な先行研究を見てみても、通勤が人生の満足度に対して大きなダメージを与えるということが示されています。


自分が通勤時間を犠牲にしてまで、その場所に住む必要があるのか?


これについて自問自答する必要があるということを師匠は言われていました。

通勤時間に時間をかければかけるほど、僕たちの人生に対するダメージは大きくなってしまいますので、通勤時間を減らすということは絶対に考えるべきことではあります。




通勤通学時間が与えるデメリット


離婚しやすくなる


通勤時間と幸福度の関係を調べた研究は意外と多くあります。例えば2011年にスウェーデンで出た論文では、旦那さんの通勤時間が往復で45分を超えるとその夫婦の離婚率が40%も上がったということが分かっています。日本だと片道45分位の方も結構多いのではないでしょうか。

通勤時間が長くなればなるほど、幸福度が低下してしまうとか夫婦関係が悪くなるということは分かっていましたが、実際の夫婦の離婚率まで変わってしまうということが分かった点がこの研究の興味深いところです。

単純に夫婦間のコミュニケーションが減ったり人間関係に割ける時間が減るからではないのかと考えられています。


不安症になりやすくなる


他にも研究はいくつもあり、統計調査をしているギャラップ社が調べた統計によると、通勤に90分以上かかる人は不安感が強くなってしまったり日常生活に対する満足度が減ってしまうということが分かっています。

ですから、通勤や通学でのストレスにより日々の夫婦関係に限らず人生の満足度を大きく低下させてしまいます。


太りやすくなる


他にもカリフォルニア州立大学が面白い研究をしていて、通勤時間が長いと肥満になりやすくなるということです。

肥満は様々な病気の元になったり人生の満足度を低下させる原因にもなります。

そして、自分のパートナーが太ると自分も太りやすくなるということが分かっていますので、旦那さんが太ってしまうことは奥さんにとっても結構な問題だと言えます。

ですから、旦那さんの通勤時間の長さは奥さんや家族にも結構なダメージを与えてしまうということになります。


運動量と睡眠時間が減る


さらには、 ブラウン大学の研究で通勤時間が増えるごとに、どれぐらい肥満になったり体への悪影響が起きるのかということを分単位で調べたというものがあります。

その結果、通勤時間が1分増えるごとに、運動時間が0.0257分、睡眠時間が0.2205分ずつ減っていくということが分かっています。

日本の場合で考えると、日本の平均通勤時間は1時間17分と言われていますので、それに合わせて換算すると、年間でおよそ73時間の睡眠時間が消えて無くなっているということになります。

そう考えると、体にもメンタルにもよくないということがわかりますし、確かに太るような気もしてきます。


例えば転職を考えるにあたって、通勤時間は増えるけれども給料は増えるからいいかなと考える人もいるかと思いますが、これも結構危険です。

2004年にチューリッヒ大学が発表した論文によると、通勤のつらさは年収が40%程度は上がらないと割に合わないぐらいのデメリットを秘めているということが分かっています。


特に、睡眠時間が減ったり睡眠の質が下がるということはかなり危険なことで、成長ホルモンも出にくくなるので脂肪も燃えにくくなりメンタルも落ち込みやすくなります。睡眠はとても大事です。

睡眠が大事だと言うと、足りない分を電車の中で寝ているから大丈夫という人がいます。これも危険です。

例えば、電車の中で長い通勤時間があり30分以上寝たとします。これが帰り道だったとしたら、夜眠れなくなるか睡眠の質が下がってしまいます。それにより余計に睡眠時間が減ってしまったり睡眠の質がどんどん下がっていくようになってしまいます。

昼寝は昼下がりぐらいに取るのはいいですが帰り道の時間に取ってしまうと デメリットが出ます。

いずれにしても、通勤時間が長いというのはかなり危険という結論になります。




たった30分開始時間を遅らせるだけで 大きな効果 



今は睡眠に関する研究が世界的に重要視されていて、学生も朝早く学校に行かせる意味もないのではないかということが、科学者の中で主流の考えになってきています。

そんな中、JAMAに出されていた論文で、学校の始業時間を30分遅らせるだけで、学生に対して大きな効果を出すことができたという研究があります。


そもそも現代人は睡眠時間が足りていません。既に学生の頃から足りていません。

それにより肥満につながってしまったり、将来的に大学生の頃の飲酒につながるとか喫煙習慣になる、あるいは、海外では、自信がなくなるのでドラッグに手を出してしまうというような様々なネガティブな影響がもたらされているのではないかとされています。


いつもより30分遅く学校に行ったところ、その学生たちはそうでない学生達に比べて大きな3つの変化が起きています。


1. 総睡眠時間が平均で45分増加


30分遅らせたことで何故か睡眠時間が45分増加していました。おそらく、朝起きないといけないというストレスにより眠れなくなることもあるかと思いますので、そのような点が改善されたのではないかと考えられます。


2. 全体の39%の学生が8時間以上の睡眠を確保


朝8時半に学校が開始するグループは、39%の学生が8時間以上寝ていましたが、朝8時に学校が開始するグループは、わずか16%の学生だけが8時間以上寝ていました。

たった30分変えるだけで、理想的な睡眠時間を確保することができる人が倍以上になっていたわけです。


3. 7時間以下しか寝れない学生が27%減少


大人ももちろんですが、学生たちにとっては睡眠時間はとても大事で、7時間以下しか眠れないということは体にもよくありません。

30分遅らせた場合、この7時間以下しか眠ることができない学生が、27%も減少しました。8時に開始の学生たちは34%の学生が7時間以下の睡眠時間でしたが、8時半に開始の学生たちは、わずか7%の学生だけが7時間以下の睡眠でした。7時間以下しか睡眠時間が取れない学生たちが、およそ1/5にもなったわけです。


学生たちの感覚の変化


眠気などの体幹がどのくらい変わったのかということも調べられています。

日中の眠気が、60%改善

日中の疲労感が、24%改善

幸福度が、21%改善


30分学校が始まる時間を遅らせただけで、眠気が60%もなくなり授業に集中できるようになるし、疲労感も24%減りテキパキ動けるようになり、幸福度も21%も上がったということです。

学生のことを考えるのであれば、よくわからない総合の授業や先生がいろいろと工夫するよりは、シンプルに始業時間を30分遅らせるということが効果的なのではないでしょうか。


学生たちの学校が始まる時間をわずか30分遅らせるだけでも大きな変化が起きるわけですから、例えば、リモートワークやフリーランスの方であればすぐにでも出来るでしょうし、普通に会社に通っている人でも、住む場所により通勤時間だけで30分ぐらいであれば変わるので、気にしておいた方がいいのではないでしょうか。

この違いは将来の収入の違いなどにもつながるのではないかと思います。



時間的融通の利く仕事のメリット



自分の裁量で休みを取ることができたり、プライベートな時間を確保することができるということが、仕事での充実感や幸福度の充実につながるということが分かっています。

無駄に残業が多くなったり、働く日が勝手に決まるのではなく、自分の望んだところでできるだけ働くことができて、労働時間は短めの方がやはり良いようです。


無駄に労働時間を長くすれば、成果が出るというものではありません。

にも関わらず、未だに残業ありきで仕事をさせているブラック企業はあります。ブラックなのは経営者の視界で何も見えていないのでしょう。

残業をさせることが目的ではなく、成果を出すことが目的ですから、プライベートが充実したり仕事以外のところで新しい刺激を受けることがなければ、仕事の場面でも新しいことも思いつかないし生産性は落ちてしまいます。そんなことも知らない経営者は辞めた方がいいです。


科学的には、会社に出社して仕事をする意味すらないのではないかと言われています。通勤時間により無駄に時間を削られるぐらいであれば、リモートワークにした方が効率的です。

リモートワークだと集中力が続かないと思われがちですが、会社にいる時と変わらないか、むしろ、上がるということが分かっています。

家だと怠けてしまうという人もいますが、その場合はそもそもシステムがおかしくて、そういう人は会社でも怠けています。会社に行っているから仕事している気分になっているだけで、実際の生産性はゼロだということが多いです。

そういう意味では、言い訳がきかないので、リモートワークの方が効率が良いと言えます。


さらに、ハーバードビジネススクールが行った調査を見てみると、仕事をする場所を自宅に限定して使うシステムや働く時間までガチガチに決めた伝統的な在宅勤務制度を採用した社員よりも、どこでも仕事ができる制度を採用した社員の方が4.4%も生産性が高いというデータが出ています。

同時に、どこでも仕事ができるようになった社員は、自分の時間をコントロールできるようになったことでストレスが減って、そうでない人と全く同じ仕事量で給料も同じなのに幸せを感じるようになったということです。


ですから、会社に社員を縛りつける意味はありません。

リモートワークで家で仕事をしなければいけないと家に縛りつける意味もありません。

企業としては結局のところ数字が出ればいいわけで、ガチガチに縛り付けては能力の高い人の生産性を上げる機会を奪い、それまで仕事をしているフリをしていただけの人をあぶり出すだけです。



科学的に最強の通勤通学の方法とは?



ここまで通勤通学が長くなることによるデメリットについてまとめさせてもらいましたが、ここから先は、とはいえ、どうしても通勤や通学をしなくてはいけないという方が、どのようにすればできるだけデメリットを減らしその時間を上手に使うことができるのかということを紹介していきます。

通勤や通学のデメリットをできるだけ減らして、仕事や人生における幸福度を高めたいという方は、ぜひ続きをチェックしてみてください。