あなたが、最近自然に触れたのはいつですか?
森に行ったりキャンプに行ったりしたのは、子供の頃や学生の頃だという人も少なくないと思います。
DaiGo師匠の質疑応答では、勉強や仕事の相談から子育ての相談まで、様々な相談をいただくことがありますが、そのアドバイスとして「自然の力」を活かすことが結構あります。
今回は 、やる気が出ない時の対処法についての質問をもとに、瞑想を凌駕する自然の力バイオフィリアの効果について解説させてもらいます。
Q. やる気が出ない時はどうしていますか?
僕は、やる気が出ない時には、かなり激しめの運動をしてごまかします。
やる気がないと感じた瞬間に外に出て、自然の中で激しい運動をして、それによってやる気がない状態を吹き飛ばすというようなことをいつもしています。
以上がDaiGo師匠からのアドバイスでした。
バイオフィリア仮説
人類の歴史の中で、こんなにも人が自然に触れない時代はありませんでした。
人間には無意識に自然を求める本能があり、それをバイオフィリアと言います。
週末だけ農業をしたり家庭菜園をする人が増えていますが、これにはとても重要なポイントがあります。
ハーバード大学のエドワード・ウィルソン博士が提唱したバイオフィリア仮説というものがあり、人間には無意識に自然を求める欲求のようなものがあるのではないかと言われています。
実際に、現代では自然欠乏症と呼ばれる問題も取り沙汰されていて、自然に触れる頻度があまりにも少なくなってしまうと、人は不安感が増したり集中力が低下したり、様々なメンタルの問題に結びついてしまうということが確認されています。
皆さんがもし人生の問題を抱えているとしたら、それは自然欠乏症が原因かもしれません。
SDGs が始まって自然環境に配慮する活動が増えました。
自然を守る活動はとても素晴らしいことですが、その自然に触れることをしている人は少ないです。
これは「予測誤差」と呼ばれるものですが、人は自然に触れることにより自分にとってどれだけメリットがあるのかを知っていますし、キャンプに行ったら空気が美味しくて素晴らしい気分になることも知っています。
知っているのにめったに行きません。
トレント大学の研究によると、人間は自然から大きな恩恵を受けるのに、その自然の恩恵を過小評価してしまうバイアスのようなものがあるとされています。
ヒトの根源的欲求:自然と自己決定理論
自己決定理論というのは、人が「自律性」「有能さ」「関係性」の3つの欲求を満たしている時に、人生に満足度を感じて幸せになることができるというものです。
「自律性」
自分の力で決めて物事を判断したり行動することができるかどうかです。
周りに流されて自分で決定できる範囲が少ないと自律性が低くなってしまいます。
「有能さ」
有能さというのは、能力が高いかどうかではなく、自分が持っているスキルなどを使って仕事をすることができたり、周りの人に頼られるかどうかです。
自分の能力の高さを感じられる機会がどれくらいあるかです。
「関係性」
良好な人間関係を保つことができるかどうかですが、もっと言うと、大切な人と一緒に過ごす時間がどれくらいあるかです。
この3つがどれぐらい満たされるかで人間の幸福度は決まるというのが自己決定理論です。
この自己決定理論については様々な研究が行われていますが、皆さんもなんとなくそうだろうということは感じると思います。
この3つを自然が満たしてくれるという研究があります。
自然自体が持っている力もとても大きなものですが、人は自然の中で行動することによって、最も自ら幸せになる行動を取ることができるということです。
自然欠乏症テスト:自然とのつながり尺度
14の質問に以下の要領で直感で答えていただき、それぞれ採点してください
全くそう思わない=1点
そう思わない=2点
どちらでもない=3点
そう思う=4点
強くそう思う=5点
1.私はよく自分の周りの自然との一体感を感じる
2.自然は自分が属するコミュニティだと感じる
3.他の生物の知性を認め、素晴らしさを評価している
4.自然から切り離されていると感じることが多い★
5.自分の人生はより大きなプロセスの一部であると感じる
6.動物や植物に親近感を覚えることが多い
7.私が地球に所属しているように地球も私の一部だと感じる
8.自分の行動が自然にどんな影響を与えるかを理解している
9.私はしばしば生命の広がりの一部であると感じる
10.人間も人間でない生物も、地球上のすべての生物が共通の「生命力」を共有していると感じる
11.木が森の一部であるように、自分をより広い自然に組み込まれていると感じる
12.地球上で、自分は自然界の順位の上位に位置すると感じる★
13.自分は周りの自然界のほんの一部に過ぎず、地面の草や木の上の鳥よりも重要ではないと感じることがよくある
14.私の個人的な幸福は、自然界の幸福とは関係がない★
それぞれ採点できたでしょうか?
★の付いている質問だけ点数を逆転して、それぞれの点数を合計して最後に14で割って平均点を出します。
平均点は3.65点
平均点は3.65ということですから、これを下回ると自然欠乏気味だと考えてください。
この場合には、これから紹介する自然からの様々なメリットを得ることができていない可能性が高いです。
もっと意識して自然に触れる時間を作るようにしないと、様々な問題が出てくるかもしれません。
自然の力というものは本当に大きなものです。
自然に触れてからわずか0.2秒でポジティブになれたりネガティブなことが気にならなくなります。
これ以外にも人生に大きなインパクトを与えるさまざまなメリットがあります。
これらの効果を知った上で実際に自然に触れていただければ、通勤途中にある公園の木々を眺めたり、週末に海や山に出かけた時も、やはりそこから得られる効果は高くなります。
自然の力を活かすためのおすすめ
自然の力を活かすためのおすすめの本もいくつか紹介しておきます。
NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる―最新科学でわかった創造性と幸福感の高め方
生き物としての力を取り戻す50の自然体験 ―身近な野あそびから森で生きる方法まで (Make: Japan Books)
28のバイオフィリア効果
①速効性:0.2秒でポジティブ、幸福に敏感、ネガティブに鈍感
人は自然に触れるとわずか0.2秒でポジティブ感情が湧いてきます。
人間には自分の感情と近い感情を周りから集める習性があります。
そのため、嫌なことがあったら嫌なことが続くし、良いことがあったら良いことが続くと感じるわけです。
ネガティブな感情を持った人が、どんどんネガティブな状況になって行くことを断ち切ってくれるのが自然です。
わずか0.2秒でポジティブな感情が湧いてきて、人間関係でも幸せな人と付き合う確率が高くなります。
さらに、ネガティブなことに鈍感になります。
つまり、心理的に嫌なものと距離を置いて、ポジティブなものとの距離を近づけることができます。
自然に触れるだけでこれができるということです。
②幸福度:自然=孤独と友人の差、趣味へ没頭
都会で暮らす人の幸福度と自然の中で暮らす人の幸福度の違いは、たくさんの友人に囲まれた人と孤独な人の幸福度の違いに匹敵します。
それぐらい自然に触れない生活というものは、人生に強烈なダメージを与えるということです。
さらに、自然の中にいるだけで、皆さんが大好きな趣味に没頭している時と、病院の待合室で待たされているような退屈な時、この幸福度の差とも同じぐらいだと言われています。
ですから、特に趣味がないという方も多いと思いますが、そんな人も特に何かをするわけでなくとも、自然の中で過ごす時間を増やした方がいいということをサセックス大学の研究が示してくれています。
③創造性:3日のハイキングで1.5倍
新しいアイデアを思いつきたい時や煮詰まった時には自然に触れましょう。
クリエイティビティも上がるので、考え事をする時には森の中が一番です。
3日間のキャンプやハイキングをすることによって、人間の創造性が1.5倍にまで向上するという研究があります。
ということは、ビジネスで新しいアイデアを考えるためにも、人生における逆境を乗り越えるためにも自然の力を使った方がいいのではないかということになります。
④DMN:自然で活性化する脳の癒し、脳の3つのNetwork
DMNは、脳を回復させるぼんやりしている時だけ機能する脳のネットワークで、自然の中にいる時に活性化します。
脳が持つ3つのネットワークは、
・実行:集中作業、刺激への反応と抑制
・空間:自分の位置を把握
・DM:他のネットワークがオフの時に起動
基本的にはどれかひとつしか起動しません。
ですから、集中力を発揮する場所や仕事に専念する場所と同時に、自分の脳を癒す場所が定期的に必要で、そんな自然に触れる場所を大切にするようにしてください。
自然の効果はまだまだあります。
あまりにも多すぎて数えきれないぐらいですが、全部で26の効果について今回は解説させてもらいます。
続きを知って、自然の効果を生活に取り入れて人生を変えたいという方は、ぜひ続きもチェックしてみてください。