あなたの理想の人生を邪魔するものは何ですか?
人間の意思決定は様々なバイアスを帯びています。
今回は、人が変わり成長していくためのバイアス対策を纏めさせてもらいます。
失敗しないための2つの力
以前にDaiGo師匠も「直観力」という本を出させてもらったこともありますが、直観は頼るのではなく、疑って飼い慣らさないといけません。
直観が正しい場合が往々にしてありますが、それは経験豊富な領域のみです。
その領域で経験に裏打ちされている直観であれば意味はありますが、経験もないのに、なんとなくの直観に頼るのは危険です。
つまり、直観は根拠はなくても構いませんが、直観を入手できる可能性があるだけの経験を積んでいないのであれば、それは単なる思い込みに過ぎません。
その場合には、むしろクリティカル・シンキングで多角的な視点を持ったり、バイアス解除をすると正しいインスピレーションを得ることができます。
DaiGo師匠が直観に頼りそうになったときには、クリティカル・シンキングとバイアス解除を必ず行います。
直観で上手くいきそうな気がしたときは、一旦クリティカル・シンキングとバイアス解除を行うと、自分がハマりそうだった罠に気づいて大きな失敗を防ぐことができます。
直観だけに頼る人は、根拠もない「次こそは大丈夫」という直観で、次もまた同じ失敗をしてしまいます。
クリティカル・シンキングとバイアス対策は欠かせません。
人が変われない理由
まず、大抵の人が変わろうと思った時に気をつけなくてはいけないのは「無駄な仕事をなくす」ということです。
自分でビジネスをしている場合でも企業で働いている場合でもこれは同じです。
日常生活の無駄な作業や無駄な仕事に追われないことがとても重要になります。
ところが、人間にはむしろ無駄な作業に追われやすい性質があります。
この人間がもともと持っている性質を理解して、まずは「無駄な仕事に追われる」バイアスへの対策をする必要があります。
人間には元々の変化を嫌う性質があります。
それだけでなく、人間は「努力しない」のに「挑戦もしない」ということもあります。
意味があることに対しては挑戦しないのに、うまくできても意味のないことに対しては何故か時間とお金を使います。
自分の人生を左右する本当に大事なことに、人はなかなか手をつけないのに、それをやらなくても誰も困らないようなことに対して時間やお金を費やしてしまいます。
人生にとって本当に重要なことに手をつけるべきなのに、なぜか1年もずっと触っていなかった棚の整理を始めたりします。
これは挑戦や変化を嫌がる人間の性質があるからです。
このようなバイアスによって影響を受けた時に、どのように対策して自分を奮い立たせればいいのかということも考えておく必要があります。
今回はそんなバイアス対策について大切な13のポイントを纏めています。
ポイント1 :「単純緊急性効果」目の前の仕事に追われすぎる
人間には目の前の仕事に追われやすく重要な仕事に手をつけにくくなる性質があります。
人は重要なことから手をつけるのではなく、時間が迫っている緊急なタスクの方が重要だと考える性質があります。
これが「単純緊急性効果」と呼ばれるもので、人はシンプルに緊急性があることに重要性を感じて手をつけやすくなるということです。
研究者によると、大抵の人間は締め切りが短いだけでタスクを選ぶバイアスがあると言われています。
簡単なタスクはとりあえず手をつければ容易に達成感を得ることができます。
ですが、大きな仕事はインパクトは確かに大きくてもどうしても時間がかかります。
だから、今やらなくてもいいと考えてしまい、いつまでたっても自分を変えることができません。
このバイアスに対する対策はかなり難しく、そのためには「自分の価値観をはっきりさせる」ということ以外にはないと言われています。
それをしない限りはこのバイアスは逃れられないと研究者は言っています。
「自分は何のために仕事をするのか?」
「結果を手に入れたことによりどんなメリットがあるのか?」
このようなことを考えてみてください。
いつまでも変わらない人はやらなくてもいいことにたくさん手をつけています。
それで忙しくなってしまい人生が変わらないだけです。
本当に毎日毎日忙しくて何もできないのであれば、1年それが続けば人生での目標や夢にかなり近づいているはずです。
そうでないのであれば、これまでの自分の選択が全て間違っていたということです。
それをもたらすのが単純緊急性効果の影響です。
ポイント2 :「情熱バイアス」不利な仕事を任される
ブラック企業ややりがい搾取の問題がよくありますが、このようなところで働いている人は一生懸命働く人が多いです。
情熱があって頑張っている人ほど、なぜブラック企業にこき使われたりやりがい搾取の標的になってしまうのでしょうか?
これは人間のバイアスが原因です。
やりがいや情熱を感じている人は、多少無理をさせてもいいと周りに思われてしまいます。
人はその人には情熱があるのだから自分よりも働くのが当然だと考えてしまいます。
だから、このような雰囲気が周りに伝わっている人はブラック企業ややりがい搾取のターゲットになりやすくなります。
その結果、自分がやらなくてもいい無駄な仕事に追われていつまでも変われないということになります。
大抵の人は酷い環境で働くことと情熱を結びつけて考えてしまいます。
あまり情熱をアピールしないようにしてください。
仕事を早くこなしたり完成度を求めるのはいいですが、 情熱をアピールするのではなく割り切って仕事をするようにしてください。
そうしないと搾取されている状況も変わらないし、周りから搾取されても当然だと思われてしまいます。
よほどいい環境であったりいい上司に恵まれれば別ですが、そうでないのであれば効率的に割り切って仕事をしているだけと周りに感じさせた方がいいです。
ポイント3 :「現状維持バイアス」結局何も変わらない
人間は変化を嫌うものです。
特に今うまくいっている人はそうですが、今うまくいっていない人でさえも変化を嫌います。
例えば、今仕事がうまくいっていなくて生活もギリギリという人に、転職に挑戦したりリスクを取る話をすると、「これ以上悪くなったら困る」と大抵の場合答えます。
失うものがない人ほど現状維持してしまいます。
これは仕事だけでなくあらゆる場面で影響を受けます。
今の人生や環境、仕事や人間関係、恋愛関係などの現状がとても悪い状況だったとしても、できるだけ今のままを維持しようと思ってしまう残念な生き物です。
恋愛でも、悪い恋人だとわかっているのにその関係から抜け出せないという人が結構いると思います。
これも現状維持バイアスに陥っている人です。
研究では、自分が悩んでいることを実行に移した人の方がその半年後の幸福度は高かったということです。
結局、悩んでいるのであれば行動した方がいいということになります。
さらに、自分の悩みのレベルが高ければ高いほど、それを実行した方が幸福度は高くなりやすいということもわかっています。
つまり、悩んでいるのであれば実行した方がいいし、その悩みが大きいものであればあるほど実行した方がいいということになります。
僕たちが人生における重要な変化につながる決断や新しい判断をするときに、それはやめておいた方がいいのではと思った時には、一度それを疑ってみてください。
その判断はただ現状維持をしようとしているだけなのではないかと考えてみてください。
人間が狩猟採集民だった頃に、今いる環境や群れの中だけでも十分に生きていけるという状況の中で、わざわざ誰も入ったことがない怪しい森に入ってみようとか誰も思わないわけです。
冒険心を持ってそこに突入すると、それにより謎の病気にかかってしまったり野獣に食べられたりもしたはずです。
ですから、「今の現状で生きていくことができるのであれば、今のままでいいのではないか」と思ってしまうのが人間にもともと備わっている心理であり、それが現状維持バイアスです。
例えば、悪い恋人だとわかっているのにその関係から抜け出せないという人が結構いると思います。
これも現状維持バイアスに陥っている人です。
人間の脳というものは、自分が慣れ親しんだものや、今までと同じ結論になるものに対しては、その結論が悲劇になるものであったとしてもなぜかそちらに進んでしまいます。
人間関係だけでなく、人生における重要な変化につながる決断や新しい判断をする時に、それはやめておいた方がいいのではと思った時には、一度それを疑ってみてください。
「この判断はただ現状維持をしようとしているだけなのではないか?」と考えてみてください。
この現状維持バイアスを振り払うためには、わかりやすく何かを変えるというのがいいと思います。
住んでいる場所や服装の選び方、人間関係などわかりやすい部分を変えるのがいいと思いますが、人間の性格というものは半分以上が付き合う人間関係からの影響を受けるものですから、特に、自分の付き合う友達を変えることによってかなり現状を突破することに繋がりやすくなると思います。
まずは仕事などの自分の生存に関わるものではなく、付き合う友達やよく行く場所などを変えてみるのがいいと思います。
例えば、今までインドア派だったというのであればアウトドアな過ごし方をしてみるなどするのが、現状維持バイアスを突破するためには効果的なのかもしれません。
ポイント4 :「平均以下バイアス」ほとんどの人が挑戦しない理由
人には自分が平均以上だと思い込むバイアスがあります。
それなのに、世の中から見て難しいと判断されやすいタスクに対しては、多くの人が自分は平均よりも下だろうと思い込んでしまう「平均以下バイアス」というバイアスがあります。
普段は大抵のことに対して自分は平均より上だと考えているのに、難しそうな内容だと思った瞬間に、自分は平均よりも下だろうと考え始めるわけです。
だから多くの人が挑戦できません。
心理学でも絶対的に正しいことなんてありません。
人間の心がどこにあるのかなんて誰にもわかりませんし、今正しいとされていることも時代が変われば覆ることも珍しくありません。
ですが、絶対的に正しいことがないのであれば、今暫定的に正しいとされていることから手をつけた方が成功する可能性は高いはずです。
何も見えない中で手探りで進んでいくよりも、優秀な人たちが調べてくれた結果をもとにして、その方法を使って試した方がうまくいく可能性は高くなります。
人間には難しいタスクに対して自分の能力を過小に判断する性質があるということを忘れないでください。
「みんながしないこと」は自分にはできないと思い込んでしまいます。
独立して起業するとか、副業で成功するとか、周りにあまり実践している人がいない行為に対しては、手を付ける前から自分にはできないと思い込んでしまいます。
ポイント5 :「利用バイアス」人の見積もりは甘すぎる
人間には頭の中に真っ先に浮かんだものを発生確率が高いと思い込んでしまう性質があります。
交通事故で死ぬ確率と飛行機事故で死ぬ確率ではどちらの方が大きいと思いますか?
冷静に考えれば、交通事故の方がはるかに確率は大きいわけですが、メディアの影響を受けやすい人は飛行機事故だと答えます。
飛行機事故の方がメディアで報道されやすいしインパクトが大きく感じます。
人は頭の中で想像しやすくて実際に起きる気がすることを事実だと思い込んでしまいます。
身の回りに交通事故にあった人が2人いると、自分も交通事故にあう確率がかなり高いと思い込んでしまうという研究もあるぐらいです。
人は想像しやすいものを実際に起きると思い込んでしまいます。
自分が今まで経験したこともなく想像できないような形で人生が変わると思うことができません。
自分の人生を正しく見積もることができていません。
これは誰にでもあるバイアスです。
DaiGo師匠もニコニコを始めた時には動画配信でこんなにうまくいくとは思いませんでした。
これも身の回りに動画配信をしている人がほとんどいなかったからです。
自分の身の回りで形にしている人がいなければ、ちょっとした好奇心でもない限りは手を付けません。
だから多くの人が変わらないわけです。
自分が興味を持っていることで成功している人が2人以上いないと、自分も成功できるかもしれないと思うことができません。
この対策としては逆の可能性を考えるようにしてください。
現実的な数値に目を向けるために、逆の確率を必ず考えるようにしてください。
「転職して失敗したらどうしようか?」と考えているのであれば、「転職で失敗しなかった人の確率」はどれくらいだろうかと考えてみてください。
そう考えると、結構多くの人が転職で成功しているし、少なくとも現状維持ぐらいの人がほとんどのはずです。
ほとんどの人が食えなくなるのであれば、転職サイトやサービスがこんなにも流行っているはずがありません。
ポイント6 :「後知恵バイアス」人が失敗から学べない理由
後知恵バイアスというのは、無意識のうちに自分の記憶を改ざんして、「こうなることは最初からわかっていた」と思い込むバイアスです。
これによってほとんどの人が同じミスを繰り返してもその失敗から学ぶことができません。
705人の起業家を対象に、自分の事業がうまくいく確率について質問した実験があります。
それによると、平均して77.3%もの確率で自分のビジネスはうまくいくと考えていました。
その後、事業に失敗した起業家だけを集めて、以前に自分の事業が上手くいく確率はどれぐらいだと見積もっていたか質問しています。
そうすると平均で58.8%の確率だったそうです。
つまり、8割近い確率で自分のビジネスはうまくいくと答えていたのに、結果的に失敗した起業家は、自分の記憶を改ざんして5割を超える程度の確率だと考えていたと答えました。
後知恵で自分の判断を記憶として改ざんしています。
この対策としては、後知恵バイアスが起きやすい2つのパターンを覚えておいてください。
①必然性
原因が容易に思いつきやすいものだった場合に後知恵バイアスが起きやすいです。
原因が簡単に説明できるものだった場合には、その原因が事実でなかったとしても、後知恵バイアスが起きてしまい人は失敗から学べなくなります。
簡単に原因を思いつきやすいことほど、それが原因だと決めつけて思い込みます。
決めつけてそれだけが原因だと考えてしまうと、それが本来の原因ではないことも多いので、失敗から学ぶことができずまた同じ失敗を繰り返します。
②予言性
実際に起きることがよくありがちな場合に後知恵バイアスが起きやすいです。
例えば、「治安の悪い地域を歩いていたら絡まれた」など、確かに起きる確率が高そうな気がすることに対しては、人はその理由をあまり深く考えません。
起業したことがない未経験の人がいきなり起業して失敗したと言われると、確かに当然なことのような気がします。
ですが、初めから経験がある人なんていません。
成功する人がいるわけですから、未経験だということが原因ではありません。
ポイント7 :努力と変化を避けてしまう「公平世界仮説」
このバイアスには多くの人がよく引っかかってしまいます。これは人がした行為に対してはそれにともなった結果が返ってくるというものです。
因果応報のような考え方です。
努力は絶対に報われるとか、逆に駄目な人は努力が足りないだけとか、世の中は公平であって、だから努力すれば報われるし、そうでない人は努力が足りないだけだとするものです。
例えば、社会心理学者のメルヴィン・ラーナーによる「ジャスティス・モチベーション理論」では、人が他人に対して行われる報いが公平であると信じることに強いモチベーションを感じると主張しています。
研究では、被験者は他人が受ける報いを目撃しました。報いが公平である場合と不公平である場合の2つの条件で実験が行われ、被験者の反応がチェックされました。
その結果、報いが公平な場合、被験者は報いを受ける人を支持し、その人の行動を肯定的に評価しました。
一方、報いが不公平な場合、被験者は報いを受ける人を非難し、その人の行動を否定的に評価しました。また、不公平な報いを受けた場合、被験者は自分自身を守るために行動を起こす傾向が見られました。
この研究から、人は自分自身や他人に対して行われる報いが公平であることを信じることで、社会の秩序を維持し、自己の安全性を守ろうとするとされています。
また、公平な報いを受けることによって、自尊感情や社会的なつながりが向上するとも考えられています。
これは社会や組織でチームワークを形成するためには役に立ちます。
ですが、実際には、全てのことがこのような単純なことではありません。
もちろん努力は報われないということでもないですが、自分の行為に対して結果が返ってくることと、そうでないことがあります。
それを分けて考えるようにすることがこのバイアスから逃れるための方法です。
全てをこの公平世界仮説で見てしまうと、そこには矛盾や偏りが生まれてバイアスとなってしまいます。
努力は報われるとは限りません。
だから努力しなくてもいいということではなく、だからこそ努力を続けるしかないということです。
公平でもなく努力が必ず報われるという世の中ではないからこそ、ひとつのことで諦めることなくあらゆる方向に努力を重ねていくしかないわけです。
残りのポイント8から13までも把握して、人生の可能性を最大化したい方はぜひ続きもチェックしてみてください。