戦後組織の変遷5◎戦後民主主義

 第一世代組織が腐敗したのは、組織の成立目的と、時代の変化による「社会の目的」が不一致になってきたからである。戦後社会が、流通のシクミを複雑多岐にして、間にピンハネを行う中間業者を増やしてきたのも、それは「社会の全ての人が豊かになる」ことを目的とした社会組織論の流れの中では、ある意味、当然のことであった。一部の人間だけではなく、全ての人に、それなりの豊かさを分配はようというのが、戦後民主主義の基本的な考え方でもあった。日本に導入された資本主義は、単なる個人のアメリカンドリームを夢見ることではなく、社会全体が豊かになるという、コミュニティ型の資本主義であった。企業というコミュニティが相互に調整しながら共存する「業界」という、日本型のソシュアル・コミュニティを成立させた。企業は「家」であり、業界とは「村」であった。

 戦後社会は、資本家と労働者の苛烈な戦いの歴史