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M.S.S.Planet ~古に伝わりし勇者たち~ 4章 【終焉プラネット編】第3話
2014-03-25 00:00楽器屋「ロックまみれ 本店」のショーウィンドウに飾られていた宇宙的ギターを田中店長から受け取った俺は、胸の奥でビッグバンを感じながら大広場へ向かって行く。
タイムリミットは後四時間。時間は無い。
だが今の俺は最強だ! 必ずこの試練を乗り越えてみせる。
あの村人たちを笑わせるために何の曲を演奏しようか……できれば紅白歌合戦のラスボス並みにスポットライトがほしいなあ。あと、サングラスをかけた司会者も。
そんなことを考えていた俺の脳裏に、なぜか幼少期から思い描いている夢のビジョンが浮かんできた。
七色に光るスポットライトがステージを煌びやかに照らす。
大波のように絶え間なく押しよせてくる観客たち。
湧き上がる歓声が会場全体を包み込み俺のハートはさらに熱くなっていく。
これから始まるライブは「伝説」になると誰もが確信していた。
バンドが最初の一音を鳴らした瞬間……感じるのは宇宙のように果てしなく広 -
M.S.S.Planet ~古に伝わりし勇者たち~ 4章 【終焉プラネット編】第2話
2014-03-18 00:00「魔法ブラスト in YOKOHAMA! ファッファッファッ! この超広範囲魔法で小賢しい魔物共を一掃じゃわい! ノスタルジックエコロジー! ホレッ! どんな巨大な魔物も一撃粉砕なのじゃー! この魔法はどうじゃ? ん? 今のはメライガではない……ケアイミじゃ……ッッッ!」
古に伝わりし伝説の魔法使いといえば、このように活躍する姿を思い浮かべるであろう。
俺も中学二年生の頃は、自分が大魔法使いになる想像をよくしていた。
いや想像じゃなくて大魔法使いになる一歩手前だったんだけど。
あーあ、中学二年生があと三カ月長かったら『ダークエターナルマウンテンブラスト』くらいは使えるようになっていたはずなのになー。あー本当に惜しかったわー。才能はあったんだよなー。もったいないわー。三時間しか寝てないわー……。
「何度でも言ってやるわい! 肩たたき券70枚程度がオマケで付属してこようが誰がついていくか、 -
M.S.S.Planet ~古に伝わりし勇者たち~ 4章 【終焉プラネット編】第1話
2014-03-11 00:00「全てを終わらせる終焉の秘術、マダガスカル・アテンションプリーズ・バスターZ!」
俺は両腕を天高く掲げる。
すると、目の前にいた短髪の友人がめんどくさそうに体を傾けながら、実にやる気のない声をあげた。
「ウワーヤラレタワー」
……まあいい。
その勢いのまま、後ろに立っていた残りの二人を煽るように説明じみた台詞を放つ。
「秘術を発動させてもらったぞ! 人類は滅亡する!」
「ナンダッテー」
……全然驚いてない。
背の高い友人の間の抜けた反応に負けじと、再びキメ台詞を叫ぶ。
「貴様ら人類に悪の心がある限り、私は何度でも蘇るのだ!」
「ホントウカーケンター」
……締まらない。
制服を着崩した友人が放った台詞だと、ラスボスが俺そのものになっちゃってるじゃないか。
「おい……なんだよそのノリの悪さはよ。そこはケンタじゃなくて魔王だろ。しかもみんな棒読みじゃん」
「いや、だってさ……。な
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