チャンス、それとも「危機」?
大事に育ててきた子どもが独立・家を去り、生活のリズムがガラリと変わりはじめる、40歳から50歳の中年期と呼ばれる人生のピーク。子ども中心で回っていた毎日から一変、「自分自身のこれからの幸せ」や「夫婦のありかた」などの現実を突きつけられる時期とも言えます。
デリケートな女性のからだの面から言えば、閉経を迎え、ひどい場合には精神的にも不安定に。人により程度は異なるものの、ホルモンの影響からからだが悲鳴をあげる女性の更年期は自分ではどうしようもないほどつらい症状を持つ人もいます。
もちろん男性にもそういった症状を伴う更年期も存在しますが、女性のそれほどまでに認知されていないのが現状。男性の更年期症状を扱うサイトによると、男性の更年期は非常にゆるやかに「気」が低下していくため、「気虚(ききょ)」と呼ばれるそう。集中力の低下・気力がうすれる等の症状が特徴的です。
つらい時ほど夫婦の相互理解が必要なのは当たりまえとはわかっていても、さみしさから極端にパートナーをしばりつけないことも大事。お互いに別の趣味や友人関係を持つなどして、「自分」という世界観を徐々に確立していくことも必要といえるでしょう。
男性のミッドライフ・クライシス
イライラや不満。悲しかったり、空虚感を感じたり。そんな特徴を持つ更年期ですが、女性の更年期は平均44歳で始まり2年から5年で終わるのに対し、男性のそれは平均43歳ではじまり、長いときには10年も続くということが発表されました。長くつづく男性の更年期は「ミッドライフ・クライシス」と呼ばれることもあります。ときに若い女性の元へ不倫に走る中年男性などの例はテレビの見すぎかもしれませんが、一種の「二度目の反抗期」かのようなこの時期。パートナーとよりよい関係を過ごすため、私たち女性はどんなことに気をつけるべきなのでしょうか。
精神科医ゲアノット・ラングス博士の解釈では、更年期は「残りの人生半分をどう生きたいかを真剣に考える良いチャンス」なのだといいます。例として博士のすすめる女性の心得として述べているのは
・いままでどんな苦労をしてきたのかを2人で書き出す時間をとること
・また夫婦でこれから一緒にかなえたい夢があるなら、それらを短期間・中期間・長期間別の「目標」として定め、少なくとも一緒にかなえようと「努力をしてみる」共同作業をすることが大事ということ
・そして何が起きても、決して2人の関係を簡単にあきらめないこと
ということなのだそう。
「子どもはどうなる? 家は? 一緒の思い出は? いままで長いこと一緒だったカップルは、ちがった角度から2人の関係性を見るべきです。先走る目先の感情、その場の情熱にフォーカスするのではない。それよりもむしろ、2人の人間がいままで闘い、長い時間をかけて共に築いてきたものにもっと焦点を当ててください」
(APOTHEKEN Umschauより引用翻訳)
パートナーとの運命を試されているかのような時期。苦しいときほど、お互いの本質が見えるとよく言います。この嵐を抜けたなら、「本当の愛」とは何かがわかりそうな気がします。
[The Telegraph,APOTHEKEN Umschau]
image via Shutterstock