そこで発酵食品の役立つ働きについて、農学者・発酵学者である小泉武夫さんら発酵の専門家たちが監修した『すべてがわかる! 「発酵食品」事典』(世界文化社)を参考に、もう一度おさらいしたいと思います。
おいしさの秘訣は甘みや旨み
発酵食品になくてはならないもの。それは微生物です。
微生物にはカビ、酵母菌、細菌がありますが、なかでもカビのイメージはよくありません。でもじつは味噌や醤油つくりに欠かせない麹菌、鰹節つくりに欠かせないカツオブシカビも「カビ」の一種なのだとか。
このように、日本の調味料は微生物によってつくられていると言っても過言ではありません。
そしてその微生物が、食材に含まれるでんぷん質やたんぱく質を分解することで、アミノ酸や糖分などを生成します。これが甘みや旨みとなるため、発酵食品はおいしいのですね。
ヘルシーをサポートしてくれる
さらに発酵食品は体によい働きがあるとも言われています。健康や若々しさをサポートしてくれる発酵食品には、以下のようなものがあるのだそう。
1.腸内環境を整えて免疫力を高める...ヨーグルト・チーズ・漬物・納豆
2.代謝を上げて太りにくくする...酢・キムチ
3.体内の老廃物を排出する...ヨーグルト・キムチ・味噌・納豆
4.がんや生活習慣病を予防する...納豆・味噌・酒粕・醤油・ワイン
5.アンチエイジング作用...ワイン・味噌・テンペ
6.イライラを抑える...味噌・納豆・テンペ・甘酒・酢
(『すべてがわかる! 「発酵食品」事典』P17~19より引用 )
熊本地震が発生し、あらためて非常食の重要性を実感しました。そういった面でも、保存性と栄養価の高い発酵食品を日ごろから常備しておきたいものです。
たとえば、酒蒸ししたキノコ類を全体の半量くらいの塩麹で漬け込む「塩麹キノコ」。1日1回混ぜるだけで約2週間ほども保存できるだけでなく、トマトや豆腐にトッピングしたり、和えたり、炒めたりと料理の幅も広がります。
このように、さまざまな効果が期待できる発酵食品を毎日上手に使えば、おいしいだけじゃなく、よりヘルシーでバラエティに富んだ食生活が送れそうです。
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