そのため「直感」に従っているつもりが、本当に深いところの声ではないということは多々あります。自分の家を清潔に整頓された状態に保つことが大事ということは前回お話ししましたが、天気や潮の満ち引き、月の満ち欠けなど自然の動きにも、わたしたちは影響を受けています。梅雨どきは、天気が安定しなかったり、雨の日や湿度の高い日が続くため、心身が落ち着かなかったり、重くなったりする方も多いとおもいます。
さて、私たちの身体を含むすべての物質は、徳(サットヴァ)、激情(ラジャス)、無知(タマス)という3つの質(トリグナ)を持っていると、古代インドの智慧は教えています。身体を持ってこの世に存在している以上、これらに影響され、どんな環境にいるか、どんなものを身につけるか、どんなものを食べるかなどに、私たちの心身は左右されるのです。
マインドフルに生きたいと思っているのであれば、望ましいのはサットヴァ優勢の状態です。この状態のときは、与えることに喜びを感じ、意志を持って行動しながらもこだわりすぎず、結果に執着しません。また、物事をあるがままに受け取り、その情報によって心身が影響を受けていることを知っていて、心が激しく揺れ動いたとしてもそれが単なる反応だと知っています。本来の自分とつながりやすくなるのはこの状態です。
ラジャスは程よい分量であれば、行動する力を生みますが、優勢になるとイライラしたり、誰かと比べて競ったり、喜怒哀楽などの感情や嫉妬に支配されたりしてしまいます。
また、タマスが優勢になると、気分が落ち込みがちになったり、向上心がなくなったりして努力を嫌うようになります。短気になり、無知さゆえに暴力的な言動に走ってしまううえ、自分がそんな状態であることに気づけなくなってしまうのが特徴です。
この3つの質に優越はなく、あくまでも「質」です。良い悪いではありません。ただ、これを知っていることは、自分本来の生き方をしようとしたときに、あらゆる場面で応用できるコンパスになるとおもいます。後編ではどんなふうにこのコンパスを使うのかをお伝えします。
今日の1枚:
タマスの質があるおかげで、私たちは眠ることができます。眠りから覚めたあとはタマスが優勢な状態。朝起きたらシャワーを浴びてタマスを流すと、サットヴァが優勢に。アーユルヴェーダでもおすすめされている朝の習慣です。
>>明日の後編に続く
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