ウブドで一番おいしくて、ウブディアンが愛して止まない本気のコーヒー店「セニマン・カフェ」。バリ島キンタマーニ、ジャワ島、スマトラ島アチェ、スラウェシ島トラジャなど、インドネシア中から厳選し仕入れてくるコーヒー豆を、お店でお兄さんがローストし、挽いたばかりの豆で入れるコーヒー。その場でローストするからこその香ばしい香りの中でいただくから、なおさらおいしい、と人気です。

という私、じつはコーヒーを飲みません(苦笑)。それでも私がここに行く理由は、香り、ネット、意識の高い空間、この3つ。

高速インターネットが入っているので、シェアオフィスに行かなくても仕事ができ、この香りの中で仕事ができるのは極上のひととき。人気店なので、朝早く行かないと、すぐ満席になってしまいます。

そしてなぜここが「意識の高い空間」なのかと言うと......。

人気コーヒー店が味以外にこだわるもの

彼らがコーヒーと同じくらいこだわって力を入れるのが、アップサイクル

リサイクルは、ゴミとなったものをもう一度使えるように再生することですが、そこにさらに付加価値をつけ、機能性やデザイン性、ファッション性を高めたものがアップサイクル。近年注目される概念です。

ここセニマン・カフェで使うグラスもほとんどがアップサイクル。ビール瓶を切ってグラスにしたものに、ビール瓶の底だけを切って蓋にしてみたり、四角いウィスキーボトルの底部分は小さなお皿に早変わりしたり......大きな工夫ではないけれど、可愛らしくおしゃれ。商品としても人気を集めています。

最近セニマン・カフェが試みているのが、「意識を洗うFamili Sabun(ファミリー石けん)」。
お父さん用のスクラブ、お母さん用のミルキーなしっとり石けん、赤ちゃんのデリケートな肌や髪の毛にも使えるベビー石けんもあります。

コーヒーかす、スチームに使った後のミルク、オレンジの皮、使用済みのヒマワリ油やココナッツオイル......調理をする中でどうしても出てしまう廃棄物は、どんな風にアップサイクルできるだろうと考えて作られたのが、まるで食べられちゃいそうなこの石けん。なぜこんな形をしているかと言うと、食品や卵、飲みもののプラスティック容器を再利用して、そこにこの石けんを流し込んで形作っているからだそう。

こういったアップサイクル商品に囲まれて暮らしていると、確かに意識は洗われていきます。

ゴミが回収されたその先に目を向けると

私たちの日常の中でふと周りを見渡すと、どこかの途上国の川をひどく汚した染料で染められた服を着て、はるばる外国からたくさんの燃料を使って輸入された、日本では採れないはずの食べものを食べて、たくさん石油を使って大量生産されたペットボトルのジュースを飲み、ゴミ出しをするたびに、「特に贅沢な暮らしをしてるわけじゃないのに、よくこんなにゴミが出るなぁ」と首をかしげる。

ゴミが回収されたらもう自分の手から離れたこととして、考えすらしないけど、「出したゴミが最後の最後はどうなるんだろう」とそこまで考えない社会の結果が、この消費社会を生み出し、大量消費があるから大量生産があり、いま環境問題、気候変動という形で返ってきて、私たちの首を絞めている......。

私もたまに自分が飲んだビールやワインのボトルを自宅でアップサイクルするのですが、そんなことを考えさせてくれるリマインダーとしても、エシカルな商品を身の回りに置くことは、良いことですね。

アップサイクルをもっと身近に

本来地球のためには、リサイクルで充分なのかもしれませんが、リサイクル商品でセンスの良いものは少なく、現代の資本主義社会の中ではあいにく「倫理」だけでは大衆に浸透しないわけで、しかし大衆に浸透しないと世界の状況は変わっていきません。そういう意味では、アップサイクルは非常にポテンシャルが高いと感じています。

そんなアップサイクルが街中で見られ、おしゃれとされ流行り、人が当たり前にアップサイクル商品を買うウブドが私はやっぱり好きです。この概念が外国人コミュニティにしかまだ浸透していないことは課題ですが、いつか、これが、ウブドに限らず、人種関係なく、どこのコミュニティでも当たり前の姿になると、いいなと思うのです。

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