© 2015 / LES PRODUCTIONS DU TRESOR - STUDIOCANAL
3月25日(土)より公開になるフランス映画『モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由』はこれぞフランスの恋愛映画! という究極の大人の物語。スキー事故で大けがを負い、リハビリセンターに入院している女性弁護士のトニーはリハビリに励みながら、心から愛した男、ジョルジオとの波乱に満ちた関係を振り返ります。
10年前、トニーはレストラン経営者のジョルジオと運命的な再会を果たし、ふたりは、すぐに激しい恋に落ちます。電撃的に結婚を決め、トニーは妊娠するのですがジョルジュは女性にもお金にもルーズ。それでも次こそはと彼を信じるトニーをさらに悲しませてしまうジョルジュ。別れようとしても離れることができない彼らが最終的に選んだ道とは......。
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普通に出会って、愛し合って、結婚して、幸せな家庭を築けると思っていたけどそうはいかないのが男女というもの。終始トニーの視点から彼らの10年間を振り返るのですがジェットコースターのように感情がアップダウン。その中でもトニーの感じた「つらさ」や「苦しさ」があまりにもストレートに伝わってくるので、痛さを共有している気分になります。でも、同時に、感情丸出しでぶつかり合う2人はある種の清々しさもあり、もっと、とことん、ぶつかり合え! と思ってしまったほど。道ばたで叫んだりするシーンは、さすがにフランス! その情熱的な国民性には、あこがれすら感じてしまいました。
ダメ男は変わらないけど、キライになれない© 2015 / LES PRODUCTIONS DU TRESOR - STUDIOCANAL
ヴァンサン・カッセル演じるジョルジュは本当にろくでなしだけど、じつに魅力的。客観的に見ると、こんな男は、絶対に付き合いたくないと思ってしまいますが特にやさしく、ユーモアもあって、ミステリアスで何よりもセクシー。自分の行いを改めるどころか「俺が俺だから惹かれたんだろう? 」という身勝手過ぎるセリフを普通に言えてしまうのだから、生まれ持った人たらし。だからといって、詐欺師でもナンパ師はないので、憎めないし、絶対に近くにいたら、女性なら誰しも惹かれてしまうんだろうと思わせます。頭では分かっているのに断ち切れずに、再び、彼を信じてしまう。トニーの気持ちが分かってしまうからこそ、彼女の10年間を一緒に生きているようでした。
相手に対して「もっとこうなって欲しい」とか「ここを直して欲しい」とは思いますが、そう簡単に性格は変わらないもの。相手が変わらないのなら、自分が変わるしかない! トニーが前に進むことで、ふたりが、ひとつ上のステージに行けるんです。
パリジェンヌが世界の女性たちへ贈る© 2015 / LES PRODUCTIONS DU TRESOR - STUDIOCANAL
今作の監督を務めたのは、リュック・ベッソンと結婚していたことでも知られる女優のマイウェン。トニー役を演じたエマニュエル・ベルコは、今作で第68回カンヌ国際映画祭女優賞を受賞するほどその演技が認められていますが、同時に監督としても活躍し、彼女が手がけた『太陽のめざめ』はカンヌ国際映画祭のオープニングを女性監督としては史上2番目、28年ぶりに飾るという快挙を成し遂げたました。ともに女優も監督も務めるふたりの自立したリアル・パリジェンヌ。彼女たちの存在だけでも今のフランス人女性の思いや強さを感じとることができます。
どんなに愛し合っていても"愛"は全てを解決しないと分かりながらもやっぱり"愛"を信じてしまう。そこに確実にあった"愛"を再び、取り戻したいと思ってしまう。とても普遍的でありながらも、ふたりでしか紡げなかった特別で尊い愛の物語になっています。トニーの膝が回復する頃には、彼女の心はどうなっているのか? 最近、甘酸っぱかったり、ほっこりしたり、やさしい恋愛映画では物足りないと感じていた人にはぴったり。"ガツン"と腰と心に響く大人のための作品『モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由』。やっぱりすごい、フランス人と思わせてくれる作品です。
2017年3月25日(土)
YEBISU GARDEN CINEMA、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
第68回 カンヌ国際映画祭 女優賞受賞
第41回 セザール賞 主要8部門ノミネート
監督:マイウェン「パリ警視庁:未成年保護部隊」
出演者:エマニュエル・ベルコ『なぜ彼女は愛しすぎたのか』、ヴァンサン・カッセル『美女と野獣』、ルイ・ガレル『ドリーマーズ』、イジルド・ル・ベスコ『ふたりのヌーヴェルヴァーグ』