一応表面的には大人の対応をしているつもりなのに、「あなたのこと好き」「嫌い」という深層心理は、何となく相手と周りにも伝わってしまうから不思議です。世間ではいわゆる「波長の法則」という名前がついていて、どんな社会においても似た者同士は集まりやすいもの。嫉妬深い人は嫉妬深い人と一緒になって人の悪口で盛り上がり、おっとりとした人ばかりのグループの雰囲気は、どことなくのんびりしているものです。
ポジティブだったりネガティブだったり、大きかったり小さかったり。個人一人一人の持つそんな生命力エネルギーは、私たちの感情そのもの。与えたり、吸い取られたりしています。しかし一方で、人からエネルギーを削り取られているつもりでも、じつは自分自身で勝手に神経をすり減らしているだけの「エネルギー泥棒化」している可能性も。ダライ・ラマ氏いわく、この感情エネルギーは私たちが人間として成長するために不可欠であり、大切に蓄えてポジティブに使うべきだと述べています。
どうやって対処したらいいの?「敵は最良の教師である、という。忍耐、自制、寛容の大切さを学べるのだそうだ。しかしそれらを実際使うとなると、私たちはその機会をうまく利用できていない。敵に出会ったときにこそ実行してみようじゃないか」
(「Gedankenwelt」内、ダライ・ラマの言葉より引用翻訳)
不安になればなるほど、人とは自分の手によってできるだけ全てをコントロールしたくなるもの。悩んでは落ち込み、感情の波が揺れて「エネルギー泥棒」へと変身してしまいます。そんな状況を防ぐために、氏はいくつかのヒントをあげています。
エネルギー泥棒にならないようにするためのヒント4つ01.他人の悪口や噂話、文句や不平・不満の多い人を避けよう。あなたは彼らのゴミを入れられるような「ごみ箱」ではない。
02.健全な精神が宿るよう、健康には十分気を付けること。きちんと食事を摂り、体を休め、メディテーションをすると良い。
03.「人を許す」ということを習慣化しよう。過去にあったことを水に流すことで、あなたは強く前に進み出す。怒り・悲しみ・復讐を目的として生きてはいけない。これらの感情が沸き上がったことをその時理解するだけでよい。将来「手放して良かった」と、あのときの痛みが記憶の中だけに存在することを、きっと実感できるはず。
04.自分からした約束事は決して破ってはいけない。約束事とは自分のハートの一部を誰かにあずけるという「信用」を意味する。また人があなたを信用して話してきた秘密の話も第3者にもらしてはいけない。自分が守れないことは、最初から誰とも約束しないことだ。
彼のメッセージは、仏教のエッセンスが詰まったもの。人にどうしても振り回されてしまう、というやさしい人は、心に留めてみてもいいかもしれません。
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