4月21日公開のディズニー映画『美女と野獣』。呪いによって醜い野獣にされた王子と美しい村の娘・ベルとの物語は、アニメーション映画でご存知の方もいらっしゃるでしょう。実写版では、2人を中心とする登場人物たちの想いがさらに丁寧に描かれており、アニメーション版以上に大人が共感したり、ハッとさせられたりすることが多い作品となっています。

今回はこの映画の監督、ビル・コンドン氏に実写版で描きたかったことやベルを演じたエマ・ワトソンのことなどについて話を聞きました

キャラクターのリアリティを追求した実写版

――実写化するうえで、一番重点を置いたことは何ですか?

「ベルと野獣がどういう経緯で今の状態になったのか、ということをさらに掘り下げたいと思いました。ベルは周囲から変わり者扱いされており、野獣は呪いによって醜い姿にされましたが、2人がそうなった経緯を描き、さらにリアリティに根差したものにしようとしました

――それにより、生き方の多様性や、自分とは違う考え方をする人たちにどう対処していくのかという、今の社会を考える作品にもなったように思います。

「そうですね。作中に登場する曲『夜襲の歌』に"自分が理解できないものは好きではないし、むしろ恐怖さえ感じる"といった歌詞が出てきます。実際の社会のなかでもこういう概念はあるもので、自分と違う考えの人を恐れたり、拒絶したりし、中にはこうした心理を利用して戦いを促そうとする人もいます。

ですから、今作では野獣の複雑な深層心理や、ベルが孤独な存在であることをより詳しく反映させ、いろいろなことが考えられる作品にしました

強さとやさしさを持つベルと彼女を支える存在

© 2017 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

――ところで、ベル役にエマ・ワトソンを起用した理由を教えていただけますか。

キャスティングにあたり、最初に思い浮かんだのがエマでした。彼女は若くして国連で女性問題に取り組む、知性あふれる人物です。また、世の中というものを理解している洗練された女性でもあり、それはベルが目指す人物像とも一致しています。エマが引き受けてくれると聞いたときには、最高の気分でしたよ」

――ベルは強さだけでなく、野獣に寄り添うやさしさも持ち合わせています。

「アニメーション版のベルは純粋な心を持ち、ともすれば見逃しがちな、他人のいいところを見出すことができる女性でした。今回の作品でもそうした人間性と同時に、今の時代を意識した人々を勇気づけられる強さ、そしてやさしさも表現したいと思ったんです。"やさしさ"は甘ったるいものに見えてしまうこともありますが、エマは見る人が共感できるよう演じてくれました」

――もともと城の料理人で、ティーポットに姿を変えられたポット夫人についても伺いたいのですが、彼女はベルの行動に重要な役割を果たしていたと思います。

「そうですね。アニメーション版のポット夫人は単にだれからも愛される存在でしたが、実写版ではさらに、彼女と少年時代の王子との絆にまつわるストーリーを入れています。そして、これがベルの背中を押すことにもつながっていくわけです。今作でも愛されるキャラクターであってほしいと願っていますよ」

衣裳やセットもすばらしく、映画というよりミュージカルの舞台を見ているかのように感じさせてくれる『美女と野獣』。今を生きる大人だからこそ見たい、エンターテイメント作品です。

美女と野獣
公開日:2017年4月21日(金)
監督:ビル・コンドン
出演:エマ・ワトソン、ダン・スティーヴンス、ルーク・エヴァンス
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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