レンタカーの車内はぎゅうぎゅう詰めだった。さながら飛行機のエコノミー座席、またはインドの電車のなかのような密度。分け与えられたひとり分のスペースで、わたしは手足を縮めたり伸ばしたりしながら、いちばん楽な体勢を探す。(その結果、前の座席の背に屈伸させた膝下をぴたっとくっつけ、あごを上向けにするスタイルがベストと判明)

誰かが車酔いしそうだと言えば梅干しを差し出し、びゅんびゅん飛ばす配送のトラックに囲まれながら、北へ北へと向かう。途中のパーキングが何よりのたのしみで、同行者のひとりはよほどのラーメン好きらしく、どこの食堂に入っても「ご当地ラーメン」なるものをオーダー。朝昼晩と3食ラーメンを食べる人をうまれて初めて目の当たりにし、「ラーメン大好き小池さん」で知られる「小池さん」としか形容のしようがない己の表現力の乏しさに苦笑いをした。

それにしても、パーキングってなかなか面白いですね。「わ、柿の葉寿司だ」とか「あ!ここにはもう梨が出てる」「ありました!地場甘酒」など、ひとり密かに盛り上がってしまった

それにしても、みんなの命を預かる(実際には相当なプレッシャーになるので決して口にしてはいけない一文)ふたりのドライバーもすごく頑張っていて、夫に関していえば普段ぜったいに口にしないようなアイテム(「メガシャキーン」という飲料とか「BLACK BLACK」などのガム)に果敢に挑んでいたから、その意気込みは生半可なものではなかっただろう。そのおかげあって、無事に、ほんとに無事に、夜中の三時に実家の那須に到着した。

ノア号を車庫に入れていたら、ぱぱっと実家の電気が灯り、喉から手が出そうなほど孫の到来を心待ちにしていたじいじ&ばあばのまさかのお出迎え。「よく来たねー」と言われたら、なんだか肩のちからが抜けて、思わずほろっときてしまった。用意周到、すでに人数分の布団が敷いてあり、大人はそこに秒殺でダイヴ。子どもたちはそのまま朝までじいじ&ばあばと再会を分かち合いながら団欒

で、寝て起きたら昼だった。

そのままぼんやりしていたらあっという間に夕方になり、みんな揃って夕飯を食べた。そのあと孫のひとりからの熱烈なリクエストで近所のカラオケボックス「メロディーランド」へ。そこでわたしを待ち受けていたものは......。
(つづく)


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