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正しいだしの取り方、保存法。かつお節の基本Q&A
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正しいだしの取り方、保存法。かつお節の基本Q&A

2018-02-10 19:00
    今、あらためて世界から注目されている和食。 味のベースを担うだしの文化はDASHIとして世界に通じる言葉になっています。とはいえ、日本に生まれ暮らしていても、だしを取るのって難しいし、手間がかかるからできないと敬遠している人が多いのも現実。だしをとるのは本当に難しいのでしょうか?

    かつお節の基本、だしの素朴な疑問に答えてもらいました!

    image via shutterstock

    そこで、かつお節(かつおぶし)の基本からその種類、おいしいだしの取り方、だしを活かした新しいレシピやアレンジ、保存法など、素材の持つ美味しさを際立てるだしの魅力を、創業約150年の老舗だしメーカー「マルハチ村松」の大石 央さんに教えてもらいました。

    Q1.かつおだしって何故おいしいの?

    A.かつお節は、素材の味を引き出してくれるからおいしい。

    かつお節には、うま味の成分であるイノシン酸(アミノ酸)が多く含まれており、これが昆布や野菜などが持つ植物性のうま味成分グルタミン酸(アミノ酸)と、1:1で合わさることで味の相乗効果が生まれうま味が2倍ではなくて7~8倍になると言われています。そのため野菜などと合わさると素材のおいしさを引き上げることができるんです。

    Q2.かつお節っていつからあるの?

    A2.諸説あるが今のかつお節ができあがったのは江戸時代。

    諸説あるのですが、かつお節の歴史を紐解けば、古墳時代にさかのぼります。飛鳥・奈良時代になると、かつおを煮て干した「煮堅魚(にかたうお)」が作られるようになり、これがかつお節のその原型と考えられます。もともとは献上品として使われていましたが、保存性に優れ栄養価も高いことから、保存食として、戦国時代は兵糧食としても食べられていました。江戸時代から、カビ付けや乾燥させる技術が発達して土佐ではじめて今のようなかつお節が作られるようになり、最初は上方(大阪)、その後江戸に送られていたようです。当時はまだ高級品だったのですが、製法の発達とともに庶民の食卓でも使われるようになりました。ただ今はだしの素や顆粒だしなどの普及もあり、かつお節そのままをご家庭で使う人は少なくなっているのが残念ですね。

    Q3.かつお節と煮干しの違いは?

    image via shutterstock

    A3.かつお節のイノシン酸以外のうまみの多さ、そして値段は煮干しの方が手軽ですね。

    もともとかつお節は完成までに時間も手間もかかる高級品、上方などの一部で愛用されていました。江戸時代中期頃、高価であったかつお節の代用品として使われるようになったのが煮干しです。それに対して価格も安価でうま味が出る煮干しはかつお節の代用品として発明され、かつお節が行き届かない地域でひろがり、各地で作られるようになりました。煮干しも同じイノシン酸が多く含まれていますが、やはりだしの王様はかつお節と言われる理由は、その燻製香や、それ以外に含まれているうま味の違いがあるからですね。

    Q4.簡単においしいかつおだしをとるコツは?

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    A4.一番簡単なのは、花かつおを沸騰したお湯に入れ、火を止めて3分間(もしくは、ごく弱火で3分間)。量は、水1リットルに対して30gが基本の分量です。時間は、短すぎても長すぎてもおいしく取れません。上限は3分が目安温度はだしがですぎてしまうので、100度以下が目安に。 花かつおの量が少ないとおいしいだしはとれません。たっぷり使うこと。これさえ覚えておけば失敗なくおいしいだしが取れますよ。自分で取るだしがあまりおいしくないと感じたことがある人は、基本が間違っていただけ。特に量が圧倒的に少ないだけという場合もありますね。ただ、天然だしの味に慣れていないとこれでは薄いと感じる人も。その場合はごく少量、薄口しょうゆを足してみてください。うま味の相乗効果で驚くほど味が伸びておいしく感じるようになります。

    Q5.料理別に使いやすい、かつお節の種類は?

    A5.花かつおが和食全般に使えて便利です。蕎麦のめんつゆには厚削りを。

    家庭料理のだしとして使うなら、花かつおがいいでしょうめんつゆには厚削りを使うと濃厚なだしが取れます。一般的に麺が細いほど上品なだしが合いますので、そうめんつゆには花かつおを、そばつゆには厚削りをと意識して使うとよいでしょう。

    Q6.かつお節(花かつお、厚削り)の正しい保存法は?

    A6.直射日光が当たらない冷暗所に保存するか、冷蔵庫保存を。

    花かつおは、封を開けたときから酸化し風味を損ねてしまうので、少量パックを選び、なるべく早く使い切るのがおいしさをキープするコツです。

    Q7.取っただしは、保存できる?

    A7.製氷機に入れて凍らせて、固まったらジップ袋などに入れて保存できます。

    使いたい分だけ少しずつ使えるので便利です。(離乳食用にもおすすめ)。花かつおの状態では、鮮度が長く保てないので、だしを取ってから冷凍保存するほうが手軽においしいだしを楽しめますよ。

    Q8.かつお節の種類と料理の相性を教えて

    A8.かつお節には荒節(あらぶし)と枯節(かれぶし)があります。

    花かつおにも上記の2種類があるので、購入する際に良くチェックして選びましょう。

    Q9.健康維持にも、だしってよいの?

    A9.疲労回復に効果的で栄養の宝庫、まさに無添加の栄養ドリンクです。

    かつおだしには、必須アミノ酸が豊富に含まれており、乳幼児に必要といわれるアミノ酸ヒスチジンが特に多いのがわかっています。ビタミンB群も多く飲む栄養ドリンクのような側面もあるんです。削りたてのかつお節にお湯をかけて飲む郷土料理、鹿児島県の茶節や沖縄のかちゅー湯なども体力回復や栄養補給のために飲まれていますね。

    Q10.さらなるだしの楽しみ方や新しいレシピを教えて

    A10.最近は、飲むだしが注目されています。ポテトサラダやポタージュやグラタンなど普段だしを使わないメニューにプラスしてみてください。新しい美味しさに出会えますよ。ぜひ作ってみてほしいレシピをご紹介します。

    料理研究家・冷水希三子さんのかつおだしレシピ

    マルハチ村松のだし専門ブランド「やいづ善八」の2種類のかつおだし(やきつべのだし 鰹 荒節/やきつべのだし 鰹 枯節)を使った料理研究家・冷水希三子さんによるスペシャルレシピからだしポテサラ」と今の季節みずみずしくておいしい白菜を使った「白菜のだしポタージュ」をご紹介します。

    「だしポテサラ」の作り方

    <材料>(作りやすい分量)

    【A】鰹だし (荒節) 大さじ3 【A】マヨネーズ 大さじ1と1/2 じゃがいも 3個 きゅうり 1本 玉ねぎ 1/8個 ハム 30g ハーブ(パセリ、ディル、バジルなど好みで) 適量 酢 大さじ1/2 塩 適量 ラスク 適量

    <作り方>

    じゃがいもはゆでてから皮をむき、ボウルに入れて粗くつぶす。半量はなめらかになるまでつぶす。 きゅうりは薄切りにし、塩ひとつまみを混ぜて20分おき、水けを絞る。玉ねぎは薄切りにし、塩少々をもみ込んで20分おき、水で洗ってから水けを絞る。ハムは2cm角に切る。 (2)に酢と塩小さじ1/5を加えて混ぜる。 (1)に(3)と【A】を加えて混ぜ、塩で味を調え、みじん切りにしたハーブを加えて混ぜる。器に盛り、好みでラスクやハーブを添える。

    <ワンポイント>

    ハーブ風味のラスクの作り方は、5~7mmの厚さにスライスしたバゲットを140度のオーブンで10分焼き、EXVオリーブ油適量とドライタイムをふりかけ、パルミジャーノのすりおろしを適量かけて、再度150度のオーブンで10~15分焼く。 ハーブはチャイブやミント、しそなどでも。 ハーブをグリーンピースに、ハムをツナに代えてもおいしい。 サンドイッチの具としてもおすすめ。

    やきつべのだし RecipeBook」より

    「白菜のだしポタージュ」の作り方

    <材料>(2~3人分)

    鰹だし(枯節) 300ml 白菜 500g 牛乳 100ml 塩 適量 エクストラバージンオリーブ油 大さじ1 柑橘の皮(柚子、すだちなど) 適量

    <作り方>

    白菜は洗ってひと口大に切り、鍋に入れる。塩小さじ1/4とエクストラバージンオリーブ油を加えて混ぜ、ふたをして弱火で20~30分、蒸し煮にする。 鰹だしを加え、10分ほど煮てミキサーにかける。鍋に戻し入れ、牛乳を加えて弱火にかける。 全体が温まったら塩ひとつまみで味を調え、器に盛る。仕上げに柑橘の皮をすりおろしてかける。

    <ワンポイント>

    かぶ、キャベツ、きのこ、にんじん、ブロッコリー、じゃがいも、えんどう豆など、ほとんどの野菜で作れます。繊維が多い場合は、ブレンダーよりミキサーがおすすめ。 仕上げに使う塩は野菜の種類や水分量、季節によっても異なるので、必ず味をみながら調整して。 おもてなしの際には、生ハムを1枚のせてみて。見た目も味もよそ行きに変身。 白菜は軸が多めだと写真のような白いポタージュに。葉が多めだとほんのりグリーンに。

    やきつべのだし RecipeBook」より

    和食だけではないだしの魅力、あらためて教えていただきました。最近は手軽に使えるだしパックもありますし、花かつおを使ってだしを取るのも覚えてしまえば難しくない。おいしいだけじゃなく本当にヘルシーなかつおだし、もっと積極的に使えば料理のレパートリーをどんどん広げられそうです。

    お話を伺った方:株式会社マルハチ村松 大石 央さん

    大学卒業後、マルハチ村松入社。そば・うどん、各種食品、惣菜、健康食品など幅広分野のダシの開発に関わってきました。最近は、様々な料理研究家とコラボしてだしセミナーを開催しています。 [やいづ善八,マルハチ村松]

    RSSブログ情報:https://www.mylohas.net/2018/02/159611katsuobushi_dashi.html
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