スマホやパソコンを通して常に一方的に流れ込んでくる情報を受け止めている状態がその原因のひとつ。不安や焦りなどのネガティブな感情は、自分の意識が“今、ここ”に集中していないから起きるものなのです。心の安定は意識を自分自身に引き戻すことで得られます。
そんな現代人特有の症状を改善すべく住職の野々部利弘さんが提案しているのが、五感をひらいて気づきを得る「お寺ごはん」。今回は、野々部さんの著書『心のごちそう帖 お寺ごはん』(株式会社アスコム)から、食を通して意識を自分のなかに戻していくお寺ごはんの作法やレシピをご紹介したいと思います。
食材を味わい言葉で表現することで、五感がひらく
心のごちそう帖 お寺ごはん / 1,300円(税別)お寺ごはんの基本は、五感をフルに活用して目の前の食事と向き合うこと。特別なテクニックはいりませんし難しいことは何もありません。ただその食事を口にした際に何を感じたかを自分の中で言葉にしてみましょう。「柔らかくてフワフワしている」「かすかに甘い香りがする」など、五感を通して気がつくことは次から次へと湧いてくるでしょう。
また、お寺ごはんで使う食材は「まあるい食材」、避ける食材は「とんがり食材」と名づけられています。まあるい食材は野菜や豆、天然塩やきび砂糖など。とんがり食材はネギやにんにく、唐辛子などの刺激が強い「五葷(ごくん)」と呼ばれる食材や白砂糖です。肉や魚も推奨されていませんが、お寺ごはんは完全な精進料理ではないので、どうしても体が欲しているときには食べてもいいことになっています。
お寺ごはんは四季折々の旬を味わうお料理でもあります。春はやさしく豊かな甘味の春野菜がおいしい季節。旬の春野菜はシンプルにグリルしてそのまま味わいたい。
素材の味をじっくり味わう万能ソースをぜひ作ってみてください。
<万能ソースのつくりかた>
きび砂糖としょうゆを大さじ2、酒とみりんを小さじ1ずつ小鍋に入れて、弱火にかけます。とろみがついてきたら火をとめましょう。冷めるとかたくなるので少しゆるいくらいがベストです。
『心のごちそう帖 お寺ごはん』には、和食だけでなく甘酒のシャーベットや豆腐のオリーブオイル漬け、精進アップルパイなどの和洋ミックスな創作レシピも紹介されています。また、野々部さんが住職を務める金剛院の境内にあるカフェ「赤門テラスなゆた」でも、栄養たっぷりのお寺ごはんが楽しめます。
旬の食材を使った料理を、五感をひらいて味わう。そうやって日々の食事をすこし見直すことから始めてみるといいかもしれません。
[赤門テラスなゆた]
住所:〒171-0051 東京都豊島区長崎1-9-2 金剛院内
営業時間:10:00~19:00
電話:03-3530-8824
定休日:火曜日