お味噌汁、うどん、蕎麦、煮物など、和食に欠かせない調味料である「だし」。入っていないと何か物足りない味になってしまう、おいしさの大事な要素です。龍谷大学農学部 食品栄養学科教授 食の嗜好研究センター長 伏木亨先生によると、この「だし」が肥満予防にもひと役買ってくれるのだとか。

だしに含まれる「うま味」の正体とは?

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日常的に使う頻度の高いだしといえば、「昆布だし」や「かつおだし」などが挙げられます。鍋の中に入れて放置しておくだけでとれる簡単な作業にもかかわらず、料理の味の決め手になってくれます。そもそも、あのうま味の正体は何なのでしょうか?

うま味はその名称から“おいしい味”と誤解されることもありますが、甘味、塩味、酢味、苦味の基本の味覚に加わる、5番目の味覚のこと。アミノ酸の一種であるグルタミン酸・アスパラギン酸、核酸の一種であるイノシン酸・グアニル酸などが、日本のだしにあるうま味の正体です。

(「太陽笑顔fufufu」より引用)

甘い、辛いでは表現できない、それらをかけ合わせたような味だと思っていたけれど、うま味も味覚の1つでした。だしで取ったうま味があれば、他の味覚は調整程度で味が完成してしまうので、減塩にもつながりそう。

ガマンではなく、おいしさで健康を目指せる

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そんなだしが「肥満予防に効果を発揮する」というのは、どういうことでしょうか?

「だしの成分に、美容や健康と直接つながる機能があるとは思いません。それよりも、だしを使う食生活に、“いいこと”がある。そう考えています。(中略)ガマンの食生活には幸せが足りません。だからこそ、だしの出番。うま味の効いただしは、砂糖や油脂に対抗できる、“おいしさの快楽”をもたらしてくれるのです」(伏木先生)

(「太陽笑顔fufufu」より引用)

国民病になりつつあるといわれる肥満を含めた生活習慣病は、欧米に似た食生活が原因の1つともいわれています。ハンバーガーやポテトフライ、ケーキなどはおいしくて、無性に食べたくなる欲求はあるけれど、その欲求は本当に体が求めているからなのかと考えると疑問です。口の中の味覚がそういった食生活に慣れてしまったために起こしている欲求である可能性が大きいのかも。

「最初は物足りないかもしれませんが、だしの効いた料理を食べるうちに今度はそちらがやみつきになる」と伏木先生。甘いお菓子やこってりした料理がやみつきになっている人でも、だしの力で嗜好を変えることができるのだそうです。

どんな味に慣れるかによって、その後の健康に大きく関わってくるとなると、子どもの頃からの食育が大切だというのも納得。すでに欧米的な味に慣れてしまっている大人でも、諦めずに味覚の嗜好を変える努力をしてみると、肥満に対して根本的な改善につながっていきそうです。

太陽笑顔fufufu

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