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「血流をよくすると疲れがとれる」のはなぜ? 疲労度チェックの方法も
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「血流をよくすると疲れがとれる」のはなぜ? 疲労度チェックの方法も

2018-08-24 20:00
    今年の夏は例年にない暑さとなりました。熱中症にならずなんとか夏を乗りきった人でも、そろそろ夏の疲れが出てくる頃ではないでしょうか。

    疲れを残さず元気な身体でいるための鍵は「血流」です。「血流をよくすると疲れが取れる」とはよく耳にしますが、なぜ血流をよくすると疲れが取れるのでしょうか。

    愛誠病院血管外科、漢方内科の新見正則先生にお話を伺いました。

    そもそも血流とは?

    私たちの身体には、頭からつま先までほとんどの隙間なく血管が張り巡らされており、その長さは、大人でおよそ10万キロ、地球約2周半分にもなると言われています。

    「血管には、血液が心臓から全身に送り出される動脈と、全身から心臓に戻る静脈の2種類があります。動脈を流れる血液は、酸素をたくさん含んでいるため鮮やかな赤い色をしており、静脈は二酸化炭素を多く含んでいるので少し黒っぽい血が流れています。心臓から1分間に約5リットルの血液が送り出され、心臓を出た血液は約20秒という速さで全身をめぐります

    血管は、心臓に近い太い血管から枝分かれし、網の目のように全身を覆っています。この網の目のように細い血管を毛細血管といい、全身の95%を占めています」

    このように全身にくまなくある血管のおかげで、私たちは全身に栄養や酸素を取り入れ、老廃物を体外に排出することができるのです。

    疲れを感じるのはなぜ?

    私たちが疲労を感じるのは、「これ以上活動を続けると身体に悪影響が出ます」というアラームのひとつとされています。

    「身体のアラームには、疲れのほかに、痛みや発熱があります。人間が生命を維持するために、身体の状態や機能を一定に保とうとするホメオシスタス(恒常性)のひとつです」

    そのうちの疲れ(疲労)について、日本疲労学会は下記のように定義しています。

    疲労とは過度の肉体的および精神的活動、または疾病によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴う身体の活動能力の減退状態である

    「長時間の運動や仕事をすると、誰でも疲れを感じます。こうした疲労は、末梢疲労と、中枢性疲労とに大きくわけることができます末梢疲労とは、運動をすると筋肉痛が出るというような筋肉などの疲れのこと。一方で中枢性疲労とは、脳が疲れを感じている状態をいいます。中枢性疲労は、精神的な緊張状態が長く続いたりしたときに、脳の調整能力が十分にはたらかなくなって疲労を感じます」

    これには、自律神経が関係しているそう。自律神経には、活動しているときや緊張しているときにはたらく交感神経と、リラックスしているときにはたらく副交感神経があります。

    「通常、ひとつが優位にはたらいているときは、ひとつは抑える、というようにバランスをとってはたらいているのですが、ストレスなどで緊張状態が続くと負荷が大きくなり、そのバランスが崩れることで、疲労を感じるのです。一日休んで身体も心もスッキリとなればいいのですが、私たちの周りには疲れをもたらすさまざまな原因があるために、なかなか疲労が回復しません。そのため、いつも疲れを感じる人が増えているのです」

    「血流をよくすると疲れがとれる」のはなぜ?

    疲れをとる方法で、よく言われているのが「血流をよくすること」です。お風呂にゆっくり浸かる、軽いストレッチをする、マッサージをするなどの血流をよくする方法は、心身ともにリラックスできるものです。こうした方法でなぜ疲れが取れるのでしょうか。

    「先ほどもお伝えしたとおり、血液は酸素や栄養を全身に行きわたらせ、老廃物を排泄する役割を持っています。疲れが溜まっているとき、私たちの身体は、酸素や栄養が足りず、老廃物が身体に溜まっている状態でもあります。血液自体は、生命に関わるものなので、まったく流れないということはありませんが、通常元気なときよりも、その流れが滞ってしまうと、身体にもさまざまな不調が起きます。

    漢方医学では、この“血液の流れが悪く滞っている状態”を、“瘀血(おけつ)”と呼んでいます。これを改善することで、全身にくまなく栄養を届け、疲れの原因となっている老廃物を排泄できるのです」

    血流が悪いときに起こること

    瘀血は、血がスムーズに流れなくなっている状態で、特に女性に多いものだと言います。

    「瘀血の状態は、血がスムーズに流れないために、肌荒れや身体の冷え、ほてり、生理痛や経血の塊が出るような月経異常などが起こります。それ以外にも、便秘になりやすかったり、身体のだるさを感じる、皮膚のかゆみなどが起こる場合もあります。また、最悪の場合、血流が悪くなると、動脈硬化が起こり、脳梗塞や心筋梗塞を起こす場合もあります。瘀血になる原因としては、ストレスや偏った食事、睡眠不足、過労や運動不足など。

    自分自身の血流が悪いかどうかを調べるには、爪の状態をチェックしてみましょう。最近、爪の伸びが悪くなったり、色や形が変形したりという自覚があるなら、血流が悪くなっている証拠。爪は約半年ですべて入れ替わります。爪の状態が悪くなっているようなら、疲れが溜まっていたり、身体に悪い生活を送ったりしている可能性がありますので、ご自身の生活を見直してみましょう」

    血流をよくするためにできること

    血流をよくするためには、軽い運動をすることも有効だと新見先生は言います。

    身体を温めるのは血流をよくする最善の方法です。自分自身の体力に合わせて少し汗をかくくらいの運動はとても効果的です。一方、サウナは身体の外側だけがあたたまる状態で、芯まで温まっていないことも多いため、あまりおすすめできません。特に、夏は冷たい食べ物や飲み物を口にすることが増えるために、身体の外側はほてっていても、胃腸などは冷えている状態、ということがよくあります。その場合は、あたたかいスープやお茶などを飲んで身体を温めることも大事です。

    身体を動かすこともそうですが、血流をよくする最も大切なポイントは、自分自身から熱を発するようなことを行うことなのです」

    世の中には、多くの血流改善方法があります。どの方法が合うかは、それぞれのライフスタイルなどによっても変わってきます。疲労を回復させるには、自分が気持ちいいと思えてリラックスできるような方法が一番。さまざまな方法を試し、自分に合うものを見つけてみましょう。

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    取材・文/大場真代

    image via Shutterstock

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