絶望的と思えた瞬間を乗り越え、人生を取り戻したエピソードをご紹介します。

ストレスは少しずつ、知らないうちにあなたの心をむしばんでいきます。気づいたときには、なぜその状況に陥ってしまったのかわからないということも。さらには、「普通」への戻り方がわからない、そもそも普通がどういう状態かわからない、という人もいます。

はっと我に返ったとき、深刻で恐ろしい現実に引き戻され、壊れてしまった日常が目に入ってきます。その瞬間というのは人それぞれですが、ひとつ共通していることがあります。それは、その瞬間から、気持ちをいい方向へ切り替えるため、現実を変えなければという意欲が起こるということ。

今回紹介する4人の女性も、それぞれ絶望感を味わいました。厳しい状況を経験した彼女たちですが、どん底に立たされて初めて、ひどい現状に気づきました。彼女たちが目を覚ましたきっかけと、どのように立ち直ったのかを見ていきましょう。

「背中の痛みと離婚が、うつ症状の原因でした」

ヴァル・シルバーさんは、椎間板ヘルニアに苦しめられ、仕事が終わるとベッドに倒れ込む日々を送っていました。そんな身体的な苦痛に加え、長期にわたる離婚協議にも悩まされていました。

数ヶ月間続く椎間板の痛みに耐え、体力も消耗しきった頃、ヴァルさんは自分が絶望のスパイラルに陥っていることに気づきました。そして自分を取り戻すには行動を起こさなければ、と思ったのです。

<ターニング・ポイント>寛大になり、許すこと

「医者たちは自分の症状にうまく対応してくれていないと感じていましたが、その瞬間、彼らを許すことにしました。そして今この瞬間に感謝し、最善を尽くすことにしたんです」と、ヴァルさん。このときから、彼女の状況は一気に改善しはじめました。「仕事後の回復がとても早くなりました。」

「自分自身がわからなくなりました」

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シカゴに住む弁護士のエリン・ジャクソンさんは、10年以上も骨盤底の痛みに苦しみ、不安を抱えていました。自身の結婚式には車いすで参加し、治療費のため何万ドルもの借金をし、友人も失いました。

「辛い痛みのなか、ロースクールを主席で卒業しました。でも、痛みで仕事を辞めざるを得ず、2週間以上同じ会社に勤めたことはありません。ストレスはたまる一方でした」と彼女は話します。

おまけに、彼女の夫が単身赴任となり、1年間ひとりきりで過ごすことになったのです。

<ターニング・ポイント>スケジュールの設定

混沌とした状況のなか、彼女は気づきました。「初めからやり直さないと、と思いました。ずっと体調不良が続いていたので、健康に過ごす方法がわからなくなっていました」とエリンさんは言います。

彼女は予定を埋めるため、ヨガ教室や食材の配送注文など、日常のシンプルな用事をスケジュールに書き込みました。最初はばかげているように感じましたが、スケジュールを作ることが、自分で自分をコントロールできているという統御感と達成感を生み出しました。

翌年地元に帰ってきた彼女の夫は、エリンさんの変わりようを目の当たりにし、あっけにとられたそうです。「病気とそのストレスで失ってしまった自分を、一から立て直す必要があったんです」と説明するエリンさん。「今が、今までで一番幸せです」

「身体が震え、倒れてしまうんじゃないかと心配になりました」

BJ・ダウレンさんは、ハリケーン・サンディによって、家や車、所有物、オフィス、会社の在庫など、すべてを失いました。

FEMA(米国緊急事態管理庁)からは、家を約3メートル底上げする必要があると告げられましたその費用は18万ドル(約2000万円)。その後5年間、彼女はFEMAの洪水保険金や補助金を得るために奔走し、資金繰りを考えながら住宅ローン会社との交渉も行いました。「電話をするたびに泣いていました。さらに、何百枚もの書類を何度も再提出し、毎回涙がこぼれました。少なくとも50回はやり直しましたね」とダウレンさん。

張り詰めた状態が続き、身体的にも精神的にも追い詰められました。ある日、心拍数が上がるほど号泣してしまった彼女。「身体が震え、倒れてしまうんじゃないかと心配になりました」と話します。その時点で、ダウレンさんは諦めが肝心だと気づいたのです。

<ターニング・ポイント>諦めることを、許すこと

ダウレンさんは、再建しようとしていた自宅にこだわるのはやめるべきなのかもしれない、と自分に折り合いをつけました。すべてをかけても、失敗に終わるかもしれないと気づきました。

家を完全に諦めたわけではないですが、ダメかもしれないと受け入れることが彼女の姿勢を変え、終わらない電話のやりとりや書類の処理にも対応するのが楽になったのです。

「ストレスがすべて消えたわけではありません。でも、この戦いに負けるかもと認めることで、ストレスをコントロールできるようになりました」と彼女は話します。

「ベッドから出られず、ノイローゼになりかかっていました」

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クリスティン・ゴールドさんはバーンアウト寸前でした。

ストレスの多い仕事に疲れ果て、自分の時間を作れずに過ごしていた彼女。さらに、6ヶ月間で2回の気管支炎を患い、友人の死という悲痛な出来事にも見舞われました。その間、犬を引き取ったのですが、数日後には自分が犬の世話ができる状態ではないことに気づかされました。「自分がすごく愚かに思えました。」とクリスティンさん。

ある冬の朝、布団をかぶって泣いていたとき、はっと自分はノイローゼになっているのかもと危機感を感じたのです。「頭のなかでいろんな考えが巡りました。どうしてこうなったの? どうしたら変えられる? 自分がひどく惨めに感じる。自分には助けが必要だ」と彼女は話しました。

<ターニング・ポイント>心と体の統合

クリスティンさんは、自分のコントロールを取り戻すため、3ヶ月間のヨガとメディテーションのプログラムに参加することにしました。そこで、セルフケアと自分のために続けることの大切さ、そして何より自分の健康を一番に考えることが重要だと学びました。

3年が経った今でも、メディテーションと運動は、彼女の毎日のルーティンに欠かせません。「深みにはまるのを防いでくれます。」とクリスティンさん。

バーンアウトや深い悲しみに苦しむ人のために、ARISEというセルフケア用のギフトボックスまで作りました。「女性にとって、他の人を支えるにはまず自分自身をしっかり保つことが大事」と説明します。「でも、なかなか実践できないことですよね。」

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Marygrace Taylor/4 Women Reveal How They Untangled Themselves From an Emotional Rock Bottom
訳/Seina Ozawa

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