ポイント1.ダイエット食はバランスが大事
林博之先生が提唱するのは「リバウンドしない一生もののダイエット」。遺伝や体質で“太りやすい人”は確かに存在するものの、自分が持つ肥満遺伝子を検査で調べて対策を立てたり、「無理なく痩せる生活習慣」を身につけることで、太りにくいカラダになれるといいます。まずは食事の見直しから始めましょう。
一般的には成人1人あたりの栄養配分は、たんぱく質15%、脂質25%、糖質60%。しかしダイエットをする場合はたんぱく質25%、脂質15%、糖質60%くらいの配分がベスト。下記に注意して必要な栄養素を確保しつつ、総エネルギー量を抑える工夫が鍵になります。
・たんぱく質
減量するときは、たんぱく質を保持しながら余分な脂肪を減らすことが大切。ダイエット中は特に不足しがちなので、意識して摂ること。
・脂質
脂質はエネルギー量が多いので制限が必要だが、ビタミンA、D、E、Kの脂溶性ビタミンは脂質といっしょに吸収されるので、極端に制限するとビタミン不足になる。不足しがちなビタミンやミネラルは、豆類、牛乳やチーズなどの乳製品、緑黄色野菜をたっぷり食べて補うこと。
・食物繊維
太っているときは便秘になりやすいので、食物繊維の多い食品を選んで便通を整えよう。水溶性(海藻、こんにゃくなど)と不溶性(インゲン豆、おからなど)の食物繊維をバランスよく摂取して
・糖質
糖質を制限しすぎると体内での血糖調節がうまくいかなくなり、低血糖を起こすことがある。糖質は1日に最低でも100gは摂ること。
ポイント2.献立の基本は一汁三菜
栄養素のバランスだけでなく、メニュー構成や食べ方にもコツがあります。“痩せ体質”を作る献立の基本は一汁三菜。食べるときはスープやサラダなど、低カロリーで必要な栄養素がとれるものから食べ始めます。炭水化物(主食)は最後に。最初にごはんなどを食べると血糖値が上がり、体脂肪になりやすくなります。
「早食い、ドカ食いをせず、時間をかけよく噛んで食べることも大事。ひと口ごとに、心の中で『ありがとうございます』と唱えながら20回は噛むようにすると、満腹感も高まります」(林先生)
ポイント3.睡眠不足はダイエット失敗のもと
食事を改善できたら、次は睡眠です。
「私の身近な例では、夜勤や徹夜がある仕事をしている女性は太りやすいと悩んでいる人が多い。1日に最低5~6時間は眠らないと体内時計が狂いやすくなり、痩せないばかりか太ってしまうのです。食事に気を配っているのに痩せない場合は、睡眠不足が原因かもしれません」(林先生)
睡眠不足はストレスの原因となり、ストレスを感じると副腎皮質ホルモン(コルチゾール)が分泌され、脂肪をため込む作用が働きます。コルチゾールは明け方に最大値になるため、徹夜して明け方に眠ると太りやすくなるそう。
また、睡眠時間が短いと食欲を刺激するグレリンというホルモンの分泌量が増えて、食欲を抑えるレプチンというホルモンの分泌量が減ります。さらに、脂肪分解作用を促進する成長ホルモンは、寝ている間、とくに睡眠の最初の3時間に分泌されます。ダイエットするなら、なるべく夜更かしをせず、睡眠のゴールデンタイムである午前0時~6時には寝るのがベストです。
ポイント4.ダイエットのベストタイミング
林先生にうかがった、そのほかの痩せるコツがこちらです。
・湯船につかる
若い女性は時間や水道代の節約で、シャワー生活になりがち。毎日湯船につかると血行が促進され、睡眠の質も向上する。
・間食したくなったら水を飲む
炭酸水やハーブティー、ショウガ入りのお茶もおすすめ。
・ウォーキングを習慣に
消費カロリーが高まる「インターバル速歩(早歩き→心拍数が上がってきたらスローダウン→心拍数が戻ってきたら、また早歩き)」がおすすめ。
・ダイエットのタイミングを知る
生理後の1~2週間(排卵期)がチャンス。エストロゲンという女性ホルモンが分泌され痩せやすくなる。一般的に生理前と生理後はプロゲステロンという女性ホルモンが分泌され、脂肪や水分を蓄えようとするためダイエットに不向き。この時期は現状の体重維持に徹して。
ダイエットの理想は、あまり意識せずにふだん通りの生活をしながら、ラクに体重が落ちていくという痩せ方。「無理なく痩せる生活習慣」を味方につけて、一生ものの太りにくいカラダを手に入れましょう。
お話を伺ったのは、林博之先生
渋谷DSクリニック院長。医学的根拠のないダイエットに危機感を感じ、健康を損なわないダイエットを提唱。「リバウンドなく体型を維持してこそ、ダイエットは成功」を基本理念とし、老若男女問わず一人ひとりに合った効果的かつ効率的なダイエットの指導を行っている。
賢く痩せる方法が知りたい!