「がんをいくつかのステージに分ける大きな目的は、がんの広がり具合を評価」して、今後の経緯を判断することです、とウィスコンシン州ミルウォーキーのアセンション・コロンビア・セント・メアリーズ病院の婦人科がん専門医、アリ・マーダビさん(産科婦人科クリニック特殊医療アセンション・メディカル・グループ医長)。
image via shutterstockつまり、がんがこの先どのように進行しそうか、どんな症状が出そうか、生存率はどの程度か、予想される合併症は何かといった問題を検討するための基本情報が「ステージ分類」。一般的には、がんが早期であるほど、先行きの経過がよくなります。
がんがどのステージにあるかで、治療法も決まります。例えば、ひとつの部分だけにある早期のがんなら、手術で取り除くか、放射線治療が使えますが、ほかの部分にも広がってしまった後期のがんは、化学療法が必要になるかもしれません。
がんのステージを決めるためにいちばん多く使われている方法:TNM
image via shutterstockがんのステージを決めるための方法(病期分類システム)でもっとも広く使われているタイプは「TNM分類システム」。腫瘍(T)、リンパ節(N)、転移の程度(M)を文字と数字で表し、それぞれの評価から、がんのステージを全体的に判断します。
腫瘍
TNMのTは、腫瘍の大きさ、発生した器官からどれくらい成長しているか、ほかの組織まで広がっているかなど、腫瘍そのものの情報です。
TXは、腫瘍が測定できないという意味。 T0は、腫瘍が見つからないという意味。 Tisは、腫瘍が組織のいちばん上の層でしか成長していないという意味(これは普通、ステージ0または「上皮内がん」に当てはまります) T1〜T14は、腫瘍の大きさと、近くの組織までどの程度広がっているかを示し、Tに続く数字が大きいほど、大きな腫瘍になります。 image via shutterstockリンパ節
Nの部分は、がんがリンパ節まで広がっているかどうかを表します。
NXは、近くのリンパ節が評価できないという意味。 N0は、近くのリンパ節にがんがないという意味。 N1-N3は、近くのリンパ節にがんがある場合で、その大きさ、場所、数を表します。転移
M(転移)は、がんが身体のほかの部分に広がっているかどうかを表します。
MXは、転移が測定できないという意味。 M0は、がんが広範囲には広がっていないという意味。 M1は、がんが遠くの器官や組織まで広がっているという意味。がんのステージ0〜IV
image via shutterstockT、N、Mが決まると、医師はがんを0から4までのステージに分類します。分類方法はがんの種類によって少し違いがあり、ステージをさらにAとBに分類する場合もあります。次に各ステージを大まかに説明しましょう。
ステージ0
正直に言って、ステージ0はがんの最も初期の段階なのか、あるいは「前がん段階」なのかについては意見がわかれているのが現状です(そして、すべてのがんにステージ0があるわけではありません)。
でも、何を意味するかに関する議論を別にすれば、おおよそ次のように考えられます。
「前がん状態は虹の色の違いのように『わずかに異常な細胞』から『とても異常な状態』までさまざまな段階があります。すると、ステージ0はその違い中でいちばん端にある、最も異常な状態の前がんとなるのです」と、コロンビア大学アービング医療センターの婦人科がん専門医で産婦人科助教授のジューン・ホウさん。
image via shutterstockステージ0は、ほとんどのがんで“上皮内がん(CIS)”と呼ばれます。「ステージ0は一般的に、表層、つまり最初の壁を越えていないがん細胞があるという意味です。例えば乳がんなら、DCIS(上皮内乳管がん)というものがあります。この場合、がんは乳管から普通の乳房組織にまでは拡大していません」と、ルイジアナ州に2つの医療施設があるポンチャートレインがんセンターの創設者で腫瘍専門医のデビッド・N・ウーバーさん。
しかし、“上皮内”でもやはり危険。「いずれは浸潤性になります。ですから、がんではないということではありません。単にまだ十分に発達していないだけです」(ウーバーさん)
ステージIとII
この段階では、がんはたいてい身体のひとつの部分だけにとどまっています。普通、ステージIは小さめ、ステージIIは大きめのがんです。
ステージIII
多くの場合、この段階はがんがリンパ節まで広がっているという意味です。
ステージIV
この段階は一般的に、がんが身体全体に大きく広がっているか、転移していることを意味します。
がんのステージ分類について、よくある3つの質問
image via shutterstock01. TNMは、がんのステージと一致するの?
重要な注意。TNM分類の組み合わせは、がんのステージとは必ずしも一致しません。
「T3、N0、M0の大腸がんはステージIIになります。でも、別の種類のがんでは、T3、N0、M0でもステージIになることもあります」(ウーバーさん)
がんのステージ分類には、ほかの要素も影響します。例えば、がんの「グレード(悪性度)」は、がん細胞がどれくらい異常か(悪性か)の尺度。低グレード(low grade)のがんは正常な組織の細胞と同じように見え、増殖も遅いのですが、高グレード(high grade)のがんは急速に増殖します。また「細胞のタイプ(組織型)」も、治療法の選択に影響するため、がんのステージを判断する上で大切な要素となります。
02. がんのステージは経過とともに変わるの?
診断のときに決まったステージはその後も考慮されることがあります。最初にステージIIの乳がんと診断された場合、よくなった後に再発して骨まで広がっても、ステージIVの状態になりますが、“骨に再発したステージIIの乳がん”と呼ばれることがあるのです。
03. 例えば「ステージIIIのがん」と言えば、どのがんでも同じなの?
最終的に、さまざまな段階のあらゆるがんは、その後の経過も治療法もそれぞれ違うということを覚えておきましょう。ですから、同じステージIIIでも、がんの種類が違えば治療法も、その後の経過も同じとは限りません。
ホウさんによると、「友人や家族からがん治療の話を聞いていたり、身近な人が受けた治療を覚えていたりする患者も多くいます。私は、すべてのがんが同じように対応するわけではないと理解してもらうようにしています。それに、がんの種類によって、治療法の進歩状況も違うのです」
ですから、診断について必ず主治医とよく話し合い、それがどういうことで、どういう治療につながるのか、きちんと理解しておくことが大切です。
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訳/STELLA MEDIX Ltd.