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小麦を味わったことはありますか?

「おいしいお米」とは出会ったことがあっても、「おいしい小麦」と聞いて、何かが思い浮かぶ人は少ないのではないでしょうか。 小麦にも香りがあって、味わい深い、おいしいものがあります。

知られざる“小麦のおいしさ”

わたしが、小麦の味わいに気がついたのは数年前でした。パン職人さんが焼いてくれた、品種・産地の異なる小麦で複数のバゲットを食べ比べした経験が衝撃的だったのです。

はじめに感じる香りや噛んだときの甘み、噛み続けて感じるコクのようなものや、食感、そのすべてが違うのです。 考えてみれば、農作物=自然の恵みですから当たり前ですよね。産地や品種、収穫時期、そして育てた人によって味が違うこと。それは、小麦も同じです。

日本ではまだまだ小麦に品種があること自体が知られていませんが、その味の違いを感じ、「小麦のおいしさ」に気づけたら、パンや麺などを食べるのがもっと楽しくなりますよ!

国産小麦だから楽しい! 小麦の食べ比べ

お米なら「コシヒカリ」「ササニシキ」のように、小麦にも品種ごとに名前があります。「春よ恋」「ゆめちから」「キタノカオリ」など可愛らしい名前で、数え切れないほどの品種が存在しているそうです。

しかし、品種違いで焼かれたパンはなかなか買えないし、簡単には作れない。そこで、家でも試せるおすすめの方法が「手打ちパスタ」です。小麦の味を純粋に味わえるよう卵や塩は入れず、小麦粉と水だけでこねるのです。品種によって水の吸い方が異なるのですが、小麦粉の重量に対して42〜48%程度の水を加えてこね、ラップに包んで1時間以上休ませ、熱が通りやすい形をつくって塩水で茹でるだけ。

ソースとからめる前に、ぜひそのまま口に入れて味わってみて。舌触りや噛みしめたときの甘み、鼻に抜ける香り。こんなにも違うのかと驚くはずです。

まず、品種違いの小麦粉を何種類か手に入れていただきたいのですが、スーパーで売られている小麦粉の多くには「薄力粉」「強力粉」としか書いていないのが現状。 それらをよく見ると、原産国表示には「カナダ」「アメリカ」などと書いてあることが多いのですが、輸入される小麦粉は、現地で脱穀・製粉されており、その過程で、さまざまな畑から届いた大量の小麦を混ぜ合わせて均一にしているため、どこのどんな小麦が入っているかは、わたしたちにはわからなくなっているようです。

一方、国産の小麦は、産地(北海道など)や品種がわかるものが多いので、食べ比べにはもってこい。お菓子やパンの材料店や、それらのオンラインショップでは、1kg程度の袋から販売されていますので、ぜひ試してみてください。

小麦の食べ比べができるイベント

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最後に、小麦のおいしさに気づいてもらえるような楽しいイベントをご紹介します。わたしが主宰する「さいころ食堂」がサポートしている、小麦農家、製粉会社、流通業者、パンなどの職人が立ち上げたNPO法人・新麦コレクションによる「麦フェス2018」です。

2018年11月25日に日本橋で開催される「麦フェス2018」では、日本を代表するラーメン、ピッツァ、パンの一流店が集い、今年収穫された挽きたての香り高い小麦を使ったとっておきの逸品が提供されます。 ぜひこの貴重な機会に、「小麦の味くらべ」を体験してみてはいかがでしょうか。

【イベント概要】

日時:2018年11月25日(日)11:30〜21:00 会場:THE A.I.R BUILDING(東京都中央区日本橋本町 3-2-8) 参加費:5,000円(完全チケット制・事前チケット購入必要) 申込みはこちら: http://ptix.at/BwuJJ3 お問い合わせ:NPO法人新麦コレクション

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大皿彩子 Saiko Ohsara
Alaska zwei 店主 / 株式会社さいころ食堂代表、“おいしい企画”専門のフードプランナー。Veganカフェ「Alaska zwei」の運営のほか、食に関わるブランドプロデュース、レシピ開発、空間コーディネート、イベントのトータルコーディネート等を行う。saikolo.jp

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