『ピーブル』誌によると、有名な女優で歌手のセレーナ・ゴメス(26歳)は、数年前からメンタルヘルスの問題で苦しんでいると公表していました。

その後、神経症になり、目下、ケア施設で「弁証法的行動療法(DBT:dialectical behavior therapy)」と呼ばれる治療を受けているそう。セレーナはこの数週間に、2回も入院。どちらもループス(全身性エリテマトーデス)という自己免疫疾患(身体の免疫システムが正常な組織を攻撃してしまう病気)のせいで白血球が少なくなってしまったからでした。

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セレーナがDBTを受けていると初めて認めたのは2017年。ループスのせいで腎臓移植を行った後のこと。

私の人生はDBTで完全に変わりました」と、『ヴォーグ』誌で語っています。このインタビューによると、テネシー州のメンタルケア施設で3カ月間の治療を受け、ほかの「普通の女の子」6人と一緒に、個別セッションとグループセッションに毎日出席したそう。

「とても大変だったけど、これまでの人生でいちばんよいことをしたと思うわ」と、続けるセレーナ。治療計画についてはあまり詳しく話していませんが、DBTのセラピストと週に5日会っていたと明かしています。

神経症になった原因ははっきりしないものの、白血球が減ったという報道を見るかぎり、その結果ではないかと考えられます。アメリカの総合病院、メイヨー・クリニックによると、白血球減少の副作用として、疲労、息切れ、衰弱、めまいなどがあるそうで、このような症状はすべて不安症とうつ病の引き金になるのです。

DBTとは?

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認知行動療法の一種です。1980年代後期、ワシントン大学心理学・精神行動科学の教授で同大行動研究・治療クリニックのディレクターを務めるマーシャ・M・リネハンさんが、従来の精神療法では効果がない人たちのために作り上げました。リネハンさんは、ABPP(アメリカ専門心理士認定機関)認定心理士・博士でもあります。

DBTはそれまでの治療法とは異なっています。

患者それぞれが生活の質(QOL)をよくするための新しい方策を立てられるように、個別の精神療法と並行して、“感情と上手に付き合うためのスキルを習得するグループトレーニングのクラスに重点を置くところが違うのです。

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ワシントン大学で精神・行動科学の臨床助教授としてリネハンさんと一緒に働く博士、アダム・カーメルさんによると、リネハンさんがDBTを考案したのは、「自殺傾向のある人」や「境界性パーソナリティ障害」と診断された人のためでした。

「はじめ、DBTは従来の精神療法ではうまくゆかずに入退院を繰り返す、自殺傾向がなくならない人たちを治療するために考案されました」と、カーメルさんは語っています。

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DBTは、禅師でもあるリネハンさんが受けた禅の訓練にも基づいていて、とりわけ仏教の「受容」と「マインドフルネス」という考え方を取り入れたもの

「私たちは、患者の問題行動や問題のある思考を変えるために取り組んでいます。DBTでは、そうした取り組みと同時に、患者の現状を受け入れて、苦しんでいる理由をはっきりさせる努力もしていきます。そのように対応しつつ、苦しみと問題を解決していく方策を考えていくのです」(カーメルさん)

言い換えると、DBTは受容と変化のバランスを取ることです、とカーメルさんは説明。「自分の状態を受け入れることを学ぶと同時に、問題行動と折り合い、変えてゆくための新しい方法を学びます」

DBTはどんな治療に使われているの?

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1991年に初めてDBTに関する研究が報告された後、有効性を調べる試験が35件以上も行われてきました。DBTは自殺行動と境界性パーソナリティ障害のほかにも、さまざまな問題に効果があると証明されています。カーメルさんによると、摂食障害、物質乱用、PTSD、不安症、うつ病などです。

セレーナさんはDBTを利用した理由をはっきり言ってはいませんが、以前、不安症とうつ病の両方で苦しんでいると公表していました。

DBTではどんなことをして、どれくらい時間がかかるの?

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DBTは「外来治療としてはかなり集中度の高い治療法で、1年以上かかります」と、カーメルさん。

実際に行われるのは、毎週のグループスキルトレーニング、毎週の個別セラピー、それに電話を通じたセラピストによる指導。ケアの専門家がチームで取り組む治療法となっています。ですから、チームの専門家同士が話し合う「セラピスト相談チーム会議」もあります。

1年の間に、患者全員がDBTのスキルすべてを2回教わります。「スキルはグループ単位で教えられます。学ぶのは、厄介な感情を制御する方法、ストレスを許容する方法、事態を悪化させずに危機を乗り切る方法、人との関係で効果的にコミュニケーションをとる方法など。考えに支配されるのではなく、考えをコントロールできるように、マインドフルネスのスキルも教わります」(カーメルさん)

DBTはどこで受けられるの?

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医師がDBTの技能を身につけるにはたくさんのトレーニングが必要ではあるものの、広く普及しています

受けられるのは、地域のメンタルケアクリニック、薬物乱用治療施設など、さまざまなメンタルケアの施設で治療を受けられます。

境界性パーソナリティ障害には代表的な治療法ですから、多くの入院プログラムや部分入院プログラムで利用されています。そのため、相当に集中的な治療を受けられます」(カーメルさん)

DBTは次第に一般的な治療法になりつつあり、将来はさらに拡大する見込み、とカーメルさん。

「研究の面でも、利用しやすさの面でも、どんどん成長しています。さまざまな症状の治療に有効とわかるのにともなって、治療を受ける人が広がっていると思います。自殺行動の治療だけに終わらず、その人にとって生きる価値のある人生をつくることが目標です」

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Leah Groth/What is DBT? Selena Gomez's Therapy, Explained
訳/STELLA MEDIX Ltd.

RSS情報:https://www.mylohas.net/2018/11/179277dbt.html