アスリートにとって、質の高い睡眠はコンディションの維持に不可欠。トップアスリートほど“眠り”にこだわるといわれますが、そんな彼らの支持を集めるのが、寝具ブランド「東京西川」による寝具のパーソナルフィッティングです。
メジャーリーガーの大谷翔平選手をはじめ、1000人以上のアスリートが利用しているというこのサービス。実際にどんなものなのか、京王百貨店新宿店6Fにある快眠サロン内の「エアーコンディショニングショップ」で取材してきました。
本当にリラックスできる「素材」を選ぶ
寝具のパーソナルフィッティングでは、専門知識を持つスリープマスターが一人ひとりのネックラインや体圧を測定し、カラダにあった枕やマットレスを提案してくれます。
この日は「東京西川」の速水美智子さんにフィッティングを担当していただき、PRを担当する武井さんにぴったりの寝具を選んでいただきました。まずはオーダーピローの素材選びからスタートです。
「女性は柔らかめを好む方が多く、ウレタンフォームやポリエステルわたが人気です。男女問わず人気なのは、通気性がよく衛生的にお使いいただけるパイプ素材。柔らかくサラサラとした感触のエラストマーパイプと、硬さがあってしっかり支えてくれる備長炭パイプの2種類があります」(速水さん)
枕の素材選びで大切なのは、自分が心からリラックスできること、と速水さん。全6種類のサンプルに触れ、首元に当ててくらべてみると、その触感の違いに驚かされます。これまでずっと、少ない選択肢から“なんとなく”で選んできたことに反省しきりです。
汗をかきやすい、寝返りのときに音が気になるなど、個人の傾向によっても変わってくるという素材選び。購入後のお手入れ方法も異なるので、それぞれの特徴をしっかり確認することが大切です。
心地よい眠りのカギは「S字カーブ」
続いて速水さんが取り出したのは、「プレスシェイパー」という測定器。これで後頭部から首にかけてのカーブを測ります。
「まっすぐ自然に立ったときの姿勢を、そのまま90度横に倒した状態が理想的な寝姿勢です。横になったときも首のS字カーブをキープできるように、頭頂部から首までのカーブを測って、それを枕で補完できるようにしていきます」(速水さん)
誤解されがちですが、枕は頭だけを乗せるものではなく、首を支えるためのもの。マットレスと首の間にできる隙間を枕で埋めることで、首や肩に負担がかかりにくくするのだそう。
「低中高とおおよその目安がありますが、彼女には低めがおすすめ。枕の素材ごとに低中高のサンプルをご用意しているので、実際に当ててみましょう」(速水さん)
「私も低めのほうが好きなんです。測定結果とも合っていますね」(武井さん)
武井さんのように自分の感覚と測定結果が合致する人もいれば、ギャップがある人もいるとのこと。カーブがきちんと保たれているかどうかを見極めるためには、プロのチェックが欠かせません。
ここからさらに、調整シートを使って場所ごとの高さを調節していきます。
「今、首元だけ1cmほど高くしてみたのですが、いかがですか?」(速水さん)
「あ、このほうがしっくりきます!」(武井さん)
仰向き、横向き、寝返りが打ちやすいかどうかなど、細かく動作を確認しながらフィット感をチェック。
「仰向きになったときの顎のラインも、チェックポイントのひとつです。枕が低すぎる場合、顎のラインが上がりすぎてしまい、口が開きやすくなり、いびきの原因になります。逆に枕が高いと顎が引けてしまって、首のシワや首こりの原因になります」(速水さん)
横向き寝になったときは、背骨から頭のてっぺんまでまっすぐになるのが理想と速水さん。本人の主観的な感想と、ラインやフィット感を確認するスタッフのチェックが合わさることで、理想の枕ができるといいます。
「枕なし」だと疲れる理由
「女性だと、枕をしない方もけっこういらっしゃいます。カーブの部分に隙間があると、寝ている間も筋肉がずっと張った状態になってしまいます。その違和感で眠りが浅くなったり、朝起きたときに、首や肩が痛くなってしまうことがあります。寝返りがうまくいかなくてもぞもぞしたりするんです。
寝ている間はカラダをリラックスさせてあげるためにも、枕で隙間を埋めてあげることが大切です」(速水さん)
高さの微調整が終わったら、追加したシートに合わせて枕の素材を詰めていき、オーダーピローづくりは終了。測定は15分~30分、混雑状況にもよりますが、早ければ1時間で枕が完成し、持ち帰ることができるというスピーディーさもうれしいですね。
「寝具のパーソナルフィッティング」に学ぶ正しい寝具の選び方、後編ではマットレスの選び方についてうかがっていきます。
[東京西川]