一部の人にとって、不安は朝、目覚ましのアラームが鳴った瞬間から始まっている。
目が覚めた直後に今日やらなくてはならない全てのこと —— 通勤時の混雑と戦い、 メールの山と戦い、タスクに追われ —— を考えて突然、ベッドから出るのが嫌になる……という経験のある人は多いかもしれない。
しかしある科学者によると、こうした朝の不安は単に身体があなたに何かを伝えようとしているだけの可能性がある。
神経科学者で『How Emotions Are Made(感情はいかにして作られるか)』の著者リサ・フェルドマン・バレット氏は、感情は基本的にわたしたちの脳が何かを推測するための方法だと言う。
「惨めだと感じるのは、身体的感覚のせいで不快な効果を経験しているからです」と、バレット氏は2017年のTEDトークで語った。
「あなたの脳はこうした感覚の原因を予想しようとします。より多くの概念を知り、より多くの事例を思い浮かべることで、自身の感情をコントロールし、行動を規制するために、より効果的に(これらの感覚を)分類することができるのです」
つまり朝、ひどい気分で、不安を感じ始めても、大きな問題があるとは限らないということだと、バレット氏は言う。わたしたちの脳を惑わせるあらゆるタイプの身体的な原因があるかもしれないのだ。
「あなたの脳はこうした感覚の原因を説明しようとするので、どう対処すればいいかわかるのです。ただ、こうした感覚はあなたの人生に何か間違ったことが起きていると示しているとは限りません」とバレット氏は言う。
「純粋に身体的な原因があるのかもしれません。疲れているのかもしれないし、よく眠れなかったのかもしれない。おなかがすいているのかもしれないし、のどが渇いているのかもしれません」
「今度、ひどい苦痛を感じたときは、自分自身に『これには純粋に身体的な理由があるのではないか? 』と尋ねてみましょう」
感情を認識し、コントロールする能力を科学者は「感情的知性」と呼び、これは仕事や人間関係での成功の手助けになる。感情的知性を向上させるのは簡単ではないが、バレット氏は練習を積めば可能だと言う。
「想像以上に、わたしたちには自分の感情をコントロールする力があります」と、バレット氏は語った。
「異なる経験の積み方を学ぶことで、苦しい感情と、それが人生にもたらす影響を抑える能力が手に入るのです」
自分の脳と向き合おう
「軽い運動でも記憶力アップ」と科学者。何の運動を、どのくらい?
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