「クローン病」を聞いたことはありますか?
クローン病とは、消化管に炎症を引き起こす慢性の腸疾患。一般的には腸で炎症が起こり、特徴的な症状は腹痛と下痢です。[1]
医師によると、クローン病の原因ははっきりとわかっていません。しかし、免疫系が正常ではない働きをするために起こることがあると知られています。
アメリカでは、50万人以上がクローン病を患っており、その人数は上昇。20代でも多く見られるというクローン病について、知っておきましょう。
クローン病の基礎知識、種類、原因は、こちらの記事で。
クローン病の症状は?
これらはクローン病の種類によっても異なりますが、最も一般的なクローン病の症状は、腹痛、不快感、下痢、体重減少です。 [8]
次のような症状がほかにも見られます。[5] [8]
貧血 便秘 下痢 疲労 生理不順 関節痛 食欲不振 吐き気 寝汗 直腸出血 胃の不快感 体重減少クローン病はどのように診断されるの?
ひとつの検査だけでは、クローン病を患っているのかどうかを判断できません。[10] 大腸炎、憩室炎、がんを含めた他の病気が、クローン病と共通した炎症や症状を引き起こしている可能性もあるためです。[11]
クローン病を診断するために、医師は通常、標準的な健康診断、病歴と症状について問診します。[10] さらに、白血球の増加、炎症の徴候、またその他の症状を除外するための血液検査、便検査、X線検査を行うこともあります。[11]
これらの検査とは別に、医師は消化器官の内部を見るために他の検査を設定するかもしれません。更なる分析のため、生検(組織サンプル)、CTスキャンを含むその他の検査も必要になる可能性もあります。[11]
たくさんのように聞こえますが、多くの場合、クローン病を診断するためにこれらの検査をすべて実施するわけではありません。
クローン病はどのように治療されるの?
残念ながらクローン病を治癒させる方法はありません。しかし、症状を軽減または緩和するための治療法は多くあります。一度の治療には、数週間から数か月を要します。[12]
次のような治療法が、選択肢として考えられます。
特定の食物を避ける食事療法
特定の食品が、クローン病の症状を引き起こしたり、悪化させたりする可能性があると知られています。辛い食品、食物繊維が多い食品、炭酸飲料、乳製品などです。ですから、医師はこうした食品を避けるように指導しています。
少量で頻繁に食べたり、脂肪が高かったり、塩分が高かったりする食べ物を避けることも大切(ただし、これらの食品を食べても、クローン病のリスク増加につながるわけではないことをつけ加えます)。
薬物治療
医師は、1種類または複数の異なる薬を処方することがあります。抗炎症薬、抗生物質、下痢止め薬、免疫系の働きをおさえる薬などです。
腸の安静
腸の炎症や免疫系の働きを抑えるため、食べることを休む必要があることもあります。この場合、固形食品を避けて、特別な栄養飲料のみを飲むように医師から指導されることになります。
静脈内または胃や腸に直接挿入したチューブから栄養を入れることもあります。腸管を安静に保っている間は、病院に入院することもありますし、自宅で治療を受けられる場合もあります。
手術
クローン病患者の中で手術が必要となるのは、最大75%と推定されます。問題の見られる消化管の一部を取り除くのです。内出血やクローン病に伴うほかの合併症を治療するための手術があります。
腸内細菌の移植
この治療法では、健康な人の便のほか、健康な腸内細菌をクローン病患者の大腸に移植します。最近の研究によると、医療現場で行われた場合、便移植は一時的にクローン病の症状を和らげることが判明しています。 [12][13][14][15][16][17]
クローン病の合併症
image via shutterstockクローン病は深刻な合併症を引き起こします。そのうちいくつかは手術が必要です。
閉塞
クローン病は、腸壁が傷ついたりせばまったりして、結果として、閉塞を引き起こすことがあります。[18] こうしたときには手術が必要になります。
瘻孔(ろうこう)
一般的には、瘻孔とは、2つの臓器の間、または臓器と体内の他の器官や皮膚との間が異常な結合を引き起こす状態を言います。
クローン病の場合、瘻孔は通常肛門の周囲に起こります。クローン病患者のうち、瘻孔を経験したことのある人は最大35%とされます。[19]
膿瘍(のうよう)
膿瘍は、体内に(時には臓器の壁に)膿がたまってしまう状態です。クローン病患者のうち膿瘍を発症するのは最大30%とされており、治療として通常手術が行われます。[20]
潰瘍(かいよう)
慢性炎症の結果として潰瘍ができます。のど、胃、腸、消化管周囲の他の部位で起こることがあります。
肛門裂傷(こうもんれっしょう)
肛門裂傷は、肛門の内側または周囲に痛みを伴う小さな切れ目ができる状態です。腸の異常な動きが原因になります。
大腸がん
クローン病により大腸に炎症が起きている場合、大腸がんのリスクが高まる可能性があります。医師は遅くとも50歳には大腸がんの検査を受けるよう勧める可能性があるでしょう。[18]
クローン病を予防するには?
image via shutterstock繰り返しになりますが、喫煙をしていたり、食物繊維の摂取量が少なすぎると、クローン病のリスクが高まります。喫煙をしている場合は禁煙すること。また、1日少なくとも24gの食物繊維を摂るようにします。
研究によれば、これだけの量を摂取すると、クローン病のリスクが最大40%減ると分かっています。[21] (実際、食物繊維が多い食事療法は、幅広い効果を示してくれ、病気の予防につながります[22])
このほかクローン病から自分を守るためにできることは多くはありません。根本的な原因が解明されておらず、さまざまな遺伝的要因、生物学的要因、環境要因があいまって病気の発症に関係している可能性があるとされています。[7]
[1]Medline Plus [2]NCBI [3]NIH [4]CDC [5]CROHNS&COLITIS [6]Cleveland Clinic [7]CROHNS&COLITIS [8]NIH [9]NCBL [10]CROHNS&COLITIS [11]NIH [12]CROHNS&COLITIS [13]NIH [14]NIH [15]Cleveland Clinic [16]CROHNS&COLITIS [17]GASTROENTEROLOGY&HEPATOLOGY [18]MAYOCLINIC [19]NCBI [20]NCBI [21]AGA Journal [22]MAYOCLINIC
腸内を整えるには?
Markham Heid/Crohn's Disease: Everything to Know About the Digestive Tract Disorder That's on the Rise
訳/STELLA MEDIX Ltd.