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自分でどうにかしなくていい。精神科医に聞いた、つらい気持ちの拭い方
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自分でどうにかしなくていい。精神科医に聞いた、つらい気持ちの拭い方

2019-05-28 16:30
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自己肯定感の難しいところは、高いほうが幸せだとわかっていても、自分ではなかなかコントロールできないところ……。

前編では自己肯定感の成り立ちをじっくり分析してくださった精神科医の星野概念先生。後編では、つらい気持ちをラクにするためのヒントを伺います。

心の居場所を探してみよう

今、つらい気持ちを抱えているならば、無理に自己肯定感を高めようと頑張らないほうがいい気がします。 それよりも、まずは心の居場所を見つけられたらいいな、と思うんです。

例えば、自分だけで楽しめるものも居場所のひとつ。パッチワークみたいに手を動かすことでもいいし、ぬか漬けを作るのなんかもよさそうです。毎朝、ぬか床をかき回してお世話をして、おいしいぬか漬けが毎日食べられたら、きっと達成感につながるはず。

そうした小さな成功体験で、挫折感を少しずつ削っていくんです。その積み重ねによって、結果的に自己肯定感が高い状態に近づくんじゃないかな、と思います。

ほかにも趣味のサークルに行ってみるのでもいいし、スナックでお酒を飲みながらグチるのでもいいし、信頼できる友人とのおしゃべりでもいい。それは本当に人それぞれだと思います。

僕の場合は、寄席。落語って、うまくいってない人たちばかりが出てくるんですよね。だからおもしろいし、共感できるし、なんだかホッとするんです。僕自身、もともと卑屈で自己否定しやすいタイプ。すぐに「あの人は絶対、俺のことが嫌いなんだ! もういい、やめてやる!」とかって思っちゃう(笑)。そういうとき、寄席に行くとすごくストレスが消えるし、自己否定的な考えからも解放されやすくなります。

心の居場所となるのは、ラクな気持ちでいられる人や場所。心地よさや、頑張らなくてもいいと感じられるものがあったら、即メモ! だと思います。

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欠点自慢大会なんて、どう?

居場所を見つけたとしても、やっぱり日常で「ダメな自分」に直面してしまうと、どうしても自己肯定感が低くなってしまう。そんな声もあるかもしれません。

僕たちは失敗もするし、挫折も経験する。人それぞれにコンプレックスも抱えているし、気になる欠点だってあって当然。そういう自分を丸ごと受け入れるって、かなりレベルが高いことです。

これができるようになるころに、おじさん、おばさんと呼ばれるようになるんじゃないか、って気がします。おじさんって「話が長い」とか言われても「だからどうした!」って返せたりして、強いじゃないですか。若い世代にはなかなか至れない境地です。

でも、確かに欠点もその人の持ち味のひとつではあると思います。自分にはどれだけ欠点があるのか、書き出してみたりするのはどうだろう?

自分の欠点を発表するだけの欠点自慢大会、とか。「なんだ、みんなもすごい欠点あるじゃん」って思えて、ちょっと楽しくなるかもしれません。

もちろん欠点を直すことに全力で取り組むのもアリです。全力で欠点と向き合ううちに、今まで気がつかなかった自分のよさやおもしろさに出会うこともあるかもしれません。

欠点を克服できたらそれは大きな成功体験になるし、全力で直そうとしてもやっぱり直らないとなったら、それも「これだけやっても直らないなら無理なんだ」と納得できる体験になるでしょう。もう欠点のままでいいや、と思えたら、それは一周回って、欠点を含めた自分を認める自己肯定感にもつながっていきそうです。

愛してると言うかわりに「話を聞く」。カウンセリングに学ぶ傾聴力

自分でどうにかしようと思わない

自己肯定感が低くて不安や孤独に陥りやすいとき、そこから脱するひとつの方法に「認知再構成」といわれるものがあります。

不安やイライラが引き起こされたきっかけは何だったのか。 そのときどう考えたから不安が出てきたのか。 不安に飲み込まれたあと、どんなことを考えたか。どんな行動をとったか。 それに対して返ってきた相手の反応は?

こうしたことをこまかく解剖していくだけで、冷静になってきます。フラットな気持ちで接してみると、気にするようなことは何もなかった、ということも少なくありません。

ただ、自分の心をメンテナンスするのって、精神科医の僕でも苦労することです。全部セルフでできるようになったら、その人はセラピストになれると言っても過言ではないのかも。

だから、「自分の問題だから自分で解決しなきゃ」と考えないでほしいな、と思います。僕たちみたいな精神科医やカウンセラーのところでカウンセリングを受けるのでもいいし、自分がラクになれる居場所を見つけるのでもいい。ひとりでどうにかするのは難しい、ということを前提にするだけでも、少しラクになるかもしれません。

自己肯定感って、高めようと思っても高められるものじゃなさそうです。 回り道かもしれませんが、助けてくれる人、場所、コトをたくさん見つけて、ストレスや挫折感を削っていくことで、いつのまにか高まっていくものなんじゃないかな、と思います。

インタビュー前編はこちら

精神科医が教える自己肯定感のあり方。自分を認めるって実は難しい

いとうせいこうさん、星野概念先生が出演。書店初のフェスイベント「青山多問多答フェス」

出演:いとうせいこう、星野概念、トミヤマユキコ、松本ハウス(二部のみ)
開催日時:2019年6月23日(日)13:00〜21:30(前半:13:00〜17:30/後半:18:00〜21:30)
内容:多問多答(ゆるいお悩み相談)/生活情報の提供/モグモグタイムほか。※500円までのおやつをご持参ください。途中、おやつの時間(モグモグタイム)があります。こぼれにくいものをご持参ください。申し込み・詳細はこちら

星野概念(ほしの がいねん)先生
病院勤務の精神科医。執筆や音楽活動も行う。雑誌やWebでの連載のほか、寄稿も多数。音楽活動はさまざま。著書に、いとうせいこう氏との共著 『ラブという薬』がある。

取材・文/浦上藍子、企画・構成/寺田佳織(マイロハス編集部)、image via shutterstock

RSSブログ情報:https://www.mylohas.net/2019/05/191145sp_mental_hoshinogainen02.html
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すがる者から金巻き上げるまではいいとして
クレーム言うと蹴落とし見捨て自己責任等々言って追い打ち
クレームさえ言えず、堕ちた者の気持ちを踏みにじって得る金で生活は楽しいよね

No.1 65ヶ月前
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