「信頼は、人間関係の基盤」。もうそのフレーズは聞き飽きた……と思われるかもしれませんが、実に本質を突いていると言えます。
「信頼関係がなければ、そこには何も存在しないのと同じです。土台となるものがないのは、それはまるで、もろく崩れる波打ち際の砂と同じなのです」と、心理学者で、オリベットナザレン大学ヘルシー・リレーションシップ・センターの共同創設者でもあるレス・パロットさん。
つまり、一度でも信頼関係が壊れると、再びそれを取り戻すのは、そう簡単なことではないのです。それどころか信頼を失うと、関係そのものを続けることができるのかどうかも分からなくなります。
「もし相手を信頼していないのならば、相手との関係そのものが存在するのかどうか、今一度見直すべきかもしれません」と言うのは、デラウェアを拠点とするリレーションシップ・セラピスト、認定性教育者でヒューマン・セクシュアリティ博士号(DHS)を持つデボラ・ライーノさん。
信頼関係が壊れた原因は、はっきりしている?
image via shutterstock「信頼関係を壊す原因はいくらでもありますが、あからさまではない“暗黙的”な原因か、はっきりした“明示的”な原因に分類されます。明示的な原因には、浮気などが挙げられます。テクノロジーが進み、出会いの場が広がり、いまどきの恋愛形態は様々になっているのです」 とライーノさん。
あからさまではない、暗黙的な原因としては「たわいのない嘘や、約束の時間にいつも遅刻するなどがある」と、ライーノさんは説明します。パロットさんいわく、そのほかにも、本人に聞かれるとまずいような陰口を言ったり、消費癖や借金を隠したりすることが原因で、信頼関係が壊れることがあるのだそう。
「結局のところ、言う事とやる事が違ってしまうと信頼関係は壊れるのです」と、カップルカウンセラーで『Breaking Up & Bouncing Back』の著者であるサマンサ・バーンズさん。
しかし、もしもあなたかパートナーのどちらかが原因で、信頼関係が壊れてしまったとしても、一度失われた信頼を取り戻し、より良好な関係を築くことは必ずしも不可能なことではありません。現に多くのカップルが、信頼関係が壊れた後でも、それに向き合い対処することで、実際はさらによい関係を築けています。「苦境を乗り越えたカップルの絆は、以前にもまして強くなります」とパロットさん。
なので、もしあなたとパートナーの信頼関係が壊れているのであれば、これから教える方法を試し、信頼関係を取り戻して、ふたりの関係を以前よりよくなるようにしてみるとよいかもしれません。
Step 1:すべてをさらけ出してみる
まずは、信頼関係を壊してしまう原因となったことに関して、全てさらけ出します。
「壊れてしまった信頼関係を克服する唯一の方法は、それがなんであれ、正直に相手に全てをさらけ出すことです。そうすることでお互いに何が問題なのかわかります」とパロットさん。
信頼を裏切った側の人にとって、相手に包み隠さず伝えることは難しいかもしれません。しかしパロットさんは、「そういった行為は、さらに事態を悪くするだけだ」と説明します。「それはかならず自分に返ってきますよ」
ここのステップでは、信頼を取り戻すのにふたりでよく話し合います。「特定の行為が相手にどんな思いをさせているか、お互いによく話し合うのです」とライーノさん。「これは片方だけの努力で解決できる問題ではありません。ふたりの問題なのです。なので、ふたりによる努力が必要です」
Step 2:信頼関係を壊した側がまず謝る
そして、心から謝るのです。「信頼を裏切った側は、それを深く反省していなければなりません」と心理学者で『Finding Peace When Your Heart is in Pieces』の著者であるポール・コールマンさん。
信頼を壊した行為に対し、しっかりとした当事者意識をもって、アカウンタビリティ(結果に対する説明責任)を果たします。
「誠実な態度で事情を説明し、きちんと謝罪してこそ信頼は取り戻せます。なので、それがたとえ相手をさらに傷つけるような事実を認めることになるとしても、とにかく誠意をしめすように心掛けるのです」とマンハッタンに本拠を置く認定臨床心理学者のジョセフ・シロナさん。「アカウンタビリティを果たすフリや、反省をいくら装っても、それは短期的には効果があるかもしれませんが、もし本当の理由が隠されたままであれば、その関係が長く続くことはまずないでしょう」
とにかく、パートナーのどんな問いからも逃げない姿勢で謝ります。「テーブルの向かい側に座っている相手が知りたいと思うことに、つつみ隠さず答えることが大事です」とパロットさん。
しかし、もしあなたが信頼を裏切られた側であれば、パートナーがあなたの質問に対し、全て答えを持っているわけではないことも知っておきたいところです。「どうしてそのようなことが起こったのか理解する努力をしつつも、しかし、相手がそれに対する答えを全て持っているわけでは決してないことも忘れないでください」とコールマンさん。
Step 3:「自分のことをよく分かってくれている」とパートナーが思えるようにする
謝罪、説明責任、約束は、決して簡単なことではない信頼の修復への足がかり、最初の一歩となるものです。お互い相手がどう思っているのか、よく分かりあっていなければならないのです。
パロットさんによると「どうしても自己保身に走りそうになります。しかしお互いが自分の立場を守ろうとするよりも、そのような考え方はやめて、相手の立場になってみること。つまりは、相手への共感が大切なのです」
夕食など食事をとりながら話せばいい場合や、あるいはセラピストに数週間、あるいは数か月通う必要がある場合など、事態の深刻さによって違います。しかし、いずれの場合でも大切なのは、ふたりがお互いの立場を理解しあうことです。裏切られた側は、なぜ相手はそのようなことをしてしまったのか、それを分かってあげようとすることです。
「裏切り行為に抱く感情はそれこそ人それぞれ。同じ状況にあっても相手があなたと同じように感じているとは限らないのです」 とシロナさん。「じっくり話し合いを持つことで信頼を再び得ることは、まず何が必要であるか、これからどういった形で、どの方向を目指していけばよいのかをはっきりとさせるだけでなく、その裏切りによって相手を傷付つけてしまったという事実をきちんと認めることにもなります」
もしあなたが裏切られた側の人ならば、「相手への共感」の気持ちをもつとよいかもしれません。「人を裏切る人は、その人自身がなにかしら心の傷を負っている場合がほとんどです」とパロットさん。「なので相手のことを悪人と決めつけずに、相手がなぜそのような行為をとってしまうのか、どのような心の傷を負っているのかを理解してあげようとすれば、あなた自身も納得できるでしょう。その場ですぐに理解しようとするのは無理かもしれません。まずは少しずつ、信頼をまた積み上げていくことです」
Step 4:信頼関係を壊してしまうような行動を見直す
image via shutterstockこれは、状況と経緯にもよります。ライーノさんによると、例えば、あなたが約束の時間に現れずに信頼を壊したとしたら、30分ほど早めに目覚ましをセットするとよいかもしれません。あるいは浮気をしてしまったのなら、自分の家では自分の携帯をテーブルに置いたままにする、相手がソーシャルメディアをチェックできる状態にするといった行為かもしれません。
コールマンさんの説明では、普段何気なくやっていることでも、もしそれによって相手が裏切られたと感じることがあればそれは直ちに止め、旅行へ行くなどといったことも、しばらくは控えるべきとのこと。「一度信頼を失った場合、それによって傷ついた側は、相手から誠実な態度を示されなければ安心できないので、そのような努力はとても重要です」
「しかしだからといって、裏切られた側は、常に相手を監視するようなことは控えなければなりません」とコールマンさんは説明します。「信頼するということは、“知らないでいる”ことができ、疑わしきは罰せずのスタンスが取れることをいうのです。なので傷ついた側は、不安な“知らないでいる”状況に耐えられるよう努力しなければなりません。それで、相手から“安心”を常に求めようとしなくなるでしょう」
信頼を取り戻すには時間がかかります。つまり、相手が常に前向きな姿勢を取るようにならなければ、信頼は取り戻せません。「言動と行動が伴ってこそ、それが現状を大きく変え、信頼を取り戻すことができます。一度だけではなんの変化も起こりません。時間をかけて、何度も何度も繰り返してこそ現状を変えることができるのです」とバーンズさん。
Step 5:その他にも、なにか改善できないかよく考えてみる
image via shutterstockよい関係を長く続けていくには、ひとつの失敗にこだわるのではなく、できるだけ全体像でとらえることが大切です。「健全な関係でいられるかどうかはつまり、あなた自身やパートナーがどれだけ健全な状態であるかしだいなのです」とパロットさんは指摘します。
一緒に過ごす時間を意識的に作っているか? 不公平と感じることがあり、その話し合いが必要か? 毎回同じことで喧嘩になっていないか? と、ふたりの関係をいま一度見直してみることをコールマンさんは勧めています。「絆の強まりを実感できれば、相手の信頼性、誠実性、忠実性を信じることができるでしょう。関係が全体的にうまく行かなければ、信頼を完全に取り戻すことはできません」
それでも、うまくいかないときはどうする?
厳しい現実かもしれませんが、すべての信頼関係が修復できるわけではありません。「場合によっては、信頼は完全に壊れてしまい、修復することが不可能です」とシロナさん。「信頼を取り戻すのに時間がかかり過ぎ、それ以上続けるのがむずかしくなる場合もあります」
ライーノさんによると、信頼関係の修復にかかる時間は、その状況やあなたやパートナーの性格によって異なりますが、だいたい6か月から2年くらいとのこと。しかし、ある程度何年かやってみても進捗がみられなければ、それには諦めをつけるべきでしょう。相手が同じ過ちを犯したりした場合には、とくに。
セラピストなど外部に助けを求めることは、なにも恥じるべきことではなく、それどころかメリットしかありません、とライーノさん。「より前へ進むために手助けを必要とするのは、よくあることです。信頼は取り戻せます。ただ少し、努力が必要なだけです」
パートナーとの関係を考える
もう離れた方がいい? パートナーとの危機を乗り越えるための8つのこと
Brielle Gregory/How to Rebuild Trust in a Broken Relationship, According to Therapists
訳/STELLA MEDIX Ltd.
リスクマネジメント
信頼を失った時点で終わりやろ。まずそうならないようにしろよと
これってほんと、小学で教えることなんだよね。大人にこれを教えて真面目に実行させようとしても、小学生に退行するレベルで叩きのめされた人か、さもなきゃもともと素直で適正な教育をうけなかった人にしか届かないと思う(無意味なテキストとは言わないけど)。人格の後天的コントロールはそれくらい難しい
6か月~2年もの間、関係修復に付き合ってくれる裏切られた側の人って、存在するの?
もしいるとして、優しいとか忍耐強いとかの、生半可な表現では表しきれないくらいの善人、もしくは鈍感な人だよね。
信頼が損なわれてるレベルになった時点で謝ってどうにかなる段階は既に過ぎてる。
手が付けられなくなってからどうにかしようとしたって、それに気づくほど深刻になってる時点で手遅れなんだよ。
そもそも信頼関係損なうやつは何度もやるやろ。
ぶっ壊しておいて復縁してくれってのは流石に何様と思うなあ。
注意なのは、初めから人なんて信用できないと思っている人。
過去にいじめにあったとか、虐待を受けた等、いろいろ理由はあるし本人に悪気は無いんだろうが、
そういった人は、信頼関係を壊してしまうような行動に結構無頓着だったりする。
(最初からぶっ壊れているので、他の優良な友達や上司に対しても気配りが出来なくなる)
結果、いじめの当事者以外からの信頼も失い、自身の立ち位置が危うくなる・・・という負のスパイラルに陥ってしまう
そもそも、原因追求もお互いに行わない事の方が多いし、ここまでして信用を取り戻すべき対象も居ない事の方が多くないだろうか?
こっぴどく嫌われて、思い当たる節は何百とあるけどどれなんかなあ、でもまあ、そんだけ嫌われる事してるんだから仕方ないよね、数年間一緒に遊んでくれてありがとね、ばいばい。
ってなるのが普通じゃない?
まあ、恋人ともなるとまた別なのかも知れないけど……。
信頼を失った相手にそれをわからせて近づかなくなる方法が知りたいです