その出来事に対するネガティブなこだわりを受容して、手放していく。まるで釣り人が釣った魚を手にしてから、優しく川に返してあげるような、「キャッチ・アンド・リリース」のイメージです。
どうやって手放すかというと、「そういうこともあったな」と受容するだけ。そうすると、自然に手放せるのです。
あるいは、「事実」と「感情」を切り分けて考える方法もあります。
これは書き出して整理する方法で、起きた出来事と、そのときに感じた自分の心の反応についてひとつひとつ書いていくというもの。そうすると自分の中で消化していくことができ、「トラウマ記憶」から「エピソード記憶」という、正常な記憶に変えていくことができるのです。
※ただし、PTSD(外傷後ストレス障害)などトラウマによる症状が心の病気のレベルにまで至っている人のケースでは、医師や心理士など専門家のサポートのもと進めることが大切です。
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川野泰周(かわの たいしゅう)先生
臨済宗建長寺派林香寺住職/RESM新横浜睡眠・呼吸メディカルケアクリニック副院長。2005年慶応義塾大学医学部医学科卒業。臨床研修修了後、慶應義塾大学病院精神神経科、国立病院機構久里浜医療センターなどで精神科医として診療に従事。2011年より大本山建長寺専門道場にて3年半にわたる禅修行を行った。現在は寺務の傍ら精神科診療にあたり、マインドフルネスや禅の瞑想を積極的に取り入れた治療を行う。著書に『ずぼら瞑想』(幻冬舎)、『会社では教えてもらえない 集中力がある人のストレス管理のキホン』(すばる舎)などがある。精神保健指定医・日本精神神経学会認定専門医・医師会認定産業医。
嫌なことがあったときは……
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取材・文/島田ゆかり、image via shutterstock