がんと診断されたとき、その現実を受け入れるのはとても難しいこと。
特に、子どもにはどのように伝えればよいのでしょうか。悩みは深まり、悲しみは増します。しかし、そんな難しい状況でも、少しでもうまく伝える方法はあるはず。
そこで、がん患者とその家族のケアが専門のセラピストと、母親であり二度のがんを経験した女性に、この難しい状況への対処の仕方を聞きました。彼女たちいわく、一番大事なことは、家族が(もちろんあなたも!)大きな愛情で支えられていると感じること。
それから、自分に厳しくなりすぎないこと。自分のがんの伝え方に、正しいとか間違っているとかいうことはないのです。ここでは、自分ががんになったときのベストな伝え方をご紹介します。
1. まずリラックスして、ゆっくり考える時間をとる
「何よりもまず、自分自身をケアできていなければ、親のがんを受け止める子どものサポートはできません」と臨床心理士(LCSW)でアッカーマン家族療法研究所のメンバーでもあるネル・シャナハンさん。
「自分のがんを子どもに伝える前に、まず親が、自身のがんに対する情緒的な反応をよく把握して、それに対処することが重要です」と、マウントサイナイ病院Tischがん研究所のデュビン胸部センターで、がん患者家族のカウンセリングを行っているマリリア・G・ネべスさん(心理学博士)は説明します。
「そうすることで、親は自分のがんに対する恐怖心や不安感をまずコントロールすることができ、子どもに伝えるときに、自分の恐怖感を子どもに気付かれないようにできます」
2. ウソをつかない
image via shutterstockネべスさんいわく「子どもがうまく受け止められるようにするには、自分のがんを素直に包み隠さず伝えること最も重要であると、研究でも判明しています」。
つまり言いかえれば、あなたが、子宮がんを患っているにもかかわらず、子どもに「ママはただひどい風邪を引いただけよ」とウソを言ってはいけません。
無理のないレベルで、素直に包み隠さず伝えるのが、家族全員のためです。
3. 子どもがいる場所へ行く
「子どもにその話を伝える場を、どこで、どのように設けるかは、その子の年齢や情動的な成熟度で大きく異なります。また恐怖感を抱かせる話や、精神的に疲れる話を、その子がどの程度受け止められるかにもよります」とシャナハンさんは説明します。
「就学前や学齢期の子どもには、単刀直入に短く簡潔に説明するのが効果的です。またごく近い将来のことを話すのがベストでしょう」
思春期の子どもには、まずどれだけ知りたいかを確認してみるとよいかもしれません。「思春期の子どもは、全てを知りたがる場合と、そうでない場合に分かれます。親は子どもの気持ちを尊重し、どんな場合であっても自分たちがいつも支えてあげることを、子どもによく伝えます」(ネべスさん)
4. 説明し過ぎない
シャナハンさんがすすめるのは「皮肉なことですが、説明し過ぎないことが、子どもの気持ちを落ち着かせます。自分は聞く側に徹し、いろいろな意味で、子ども自身にリードさせるのです。子どもは、パパやママの病気がどのくらい続くのか、どのくらいでよくなるのか、この病気を克服できるのかを受け止める心構えがまだできていないかもしれません」
「同じことを何度も繰り返すようですが、とにかくゆっくりと、子どもの様子を観察しながら話します。自分の子どものことは、誰よりもあなたが一番よく分かっているはず。だから、自分の直感を信じ、我が子にベストと思う方法で伝えるようにしてください」とシャナハンさんは付け加えます。
5. 前向きな姿勢で
弁護士で、二度の子宮頸がんを克服し、ふたりの子を持つクリス・フェハーさんも、このシャナハンさんの意見に賛成します。
「私たち夫婦は、不必要に子どもたちを怖がらせず、効果的に伝えることができたと思います。私のがんは治療可能であり、ちゃんと治療計画があるとしっかり伝え、常に前向きな姿勢を心がけました。子どもが怖いと感じるか、うまく対処ができる状況かを見極めて、その場面に応じて適切な言葉を選ぶと、より効果的です」
次回に続きます。
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Daisy Melamed Sanders/How to Talk to Your Kids About Your Cancer Diagnosis/STELLA MEDIX Ltd.(翻訳)