最近は、いろいろな名前のトレーニングが溢れています。HIIT(高強度インターバルトレーニング)やLISS(低強度一定負荷有酸素運動)、EMOM(Every Minute On the Minute:1分ごとに運動を変える、インターバルトレーニングの一種)など。
そんな中、MetCon(メトコン/メタボリックコンディショニング/新陳代謝コンディショニング)が今話題です。ナイキのマスタートレーナー、ホリー・ライリンガーさんに、メトコンについて詳しく聞きました。
代謝を上げるコンディショニング
image via shutterstock簡単に言うと、体に備わっている3つのエネルギー供給システム(リン酸化合物系、糖分解系、酸化系)の効率を上げる運動なら、なんでもメトコンと言えますとライリンガーさんは説明します。そして、もっと力がつくようにとか、もっと速く走れるようになど、個人の体力レベルと目標に合わせて運動を調整していきます。
メトコンは、多くのアスリートにとってはスポーツの成績を上げるためのトレーニング法ですが、代謝を活発にして体重を減らす優れた方法でもあります。なぜならば、メトコンにはHIITの要素も含まれるので、短時間でカロリー燃焼を最大化させることができます。
運動強度が高いと新陳代謝があがり、体がクールダウンするまで時間がかかります。その結果、EPOC(運動後の過剰な酸素消費がおこる現象)が起きて、トレーニング後も長い間、体がカロリーを燃やし続けるというメリットが生まれるのです。
3つのエネルギー供給システムって?
image via shutterstock体の3つのエネルギー供給システムとは、リン酸化合物系、糖分解系、酸化系(有酸素系)です。
1. リン酸化合物系
アメリカ運動評議会(ACE)によると、リン酸化合物系はATP(アデノシン三リン酸)という化学物質(基本的には、食べた物を変換して作られるエネルギー物質)を使って、体にすぐにエネルギーを供給します。
オリンピック競技の重量挙げや短距離走など「収縮の速い筋線維」を動かす素早い高強度の運動をすると、まずこのリン酸化合物系が作動するのですが、ほかの2つのエネルギー供給システムと違って、リン酸化合物系はすぐに疲れてしまいます。
2. 糖分解系
しかし、リン酸化合物系が疲れると、糖分解系が作動。「この糖分解系も、運動するためのエネルギー源であるATPを供給します。ウエイトトレーニングや最大限まではいかない筋力を使う、もう少し長めの運動などで、継続時間が数分以内のケースです」と、ライリンガーさん。
3. 酸化系(有酸素系)
そして、次が酸化系(「有酸素系」とも呼ばれます)。これは基本的に、マラソンやトライアスロンなどの持久運動のためのエンジンです。
でも、3つのエネルギー供給システムがそれぞれ独立してはたらくわけではない点が重要。「どのシステムも、すべての仕事をするわけではありません。実際のところ、いつでも3つ全てがはたらいています。その時々で、どれかがほかの2つよりたくさん仕事をしているだけです」(ライリンガーさん)
次回の『Prevention』でメトコンの具体的なやり方を説明します。
効果的にトレーニングをしたい
Tiffany Ayuda/Metabolic Conditioning Is the Best Way to Design a Workout for Your Fitness Goals/STELLA MEDIX Ltd.(翻訳)