若い人に多く発症するお腹の病気、クローン病

クローン病にかかると、症状悪化のときはまるで地獄のよう。下痢、吐き気、嘔吐、腹部のけいれんが数週間から数か月も……。ただ、体内で実際に起こっていることを考えると、ひどい症状も納得いくはず。

米国マーシー医療センター(メリーランド州ボルチモア)炎症性腸疾患センターの専門医、マチルダ・N・ハーガン医師によると、症状が悪化している間、体の免疫のために腸の内壁には炎症細胞が送り込まれて、腸を損傷させてしまいます。「このことは食物に対応する耐久力のほか、消化能力、ときには吸収能力にも影響を及ぼしてしまう」と、ハーガン医師。

クローン病にかかったことがある人なら、食事だけでは症状の悪化を予防したり、鎮めたりすることができないことを知っているでしょう。でも、ヘルスケアの専門家によると、特定の食事制限を行えば、症状の悪化を防ぐことができるかも。ここでは、試してみるべき6つのポイントを紹介します。

1. ゆっくり食べる

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症状が悪化しているときには、食べ物をすぐに飲み込んでしまうのは避けます。

消化管疾患を専門とするニューヨークシティー在住の栄養士、ケリー・クリケリーさん(登録栄養士、認定栄養士)は、消化は食べ物が口に入ったところから始まると説明。「食べ物をそのまま咀嚼せずに飲み込んでしまうと、体が消化のために酷使されてしまいます。食べ物をよく噛むことで食べ物をうまく処理することができて、体の耐性を高めて、障害のリスクを減らせます

2. 水分補給をする

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不快感があるほか、下痢や悪化したときの症状のために脱水症状を引き起こすこともあり、水分をたくさん摂取することが欠かせません。

「水を飲むのはよいのですが、下痢がひどい人は経口補水液と呼ばれるものを飲むとよいでしょう」とクリケリーさん。特におすすめされるのは、スポーツドリンク2杯に水2杯と塩小さじ1/2を混ぜたもの。

ニューヨークのプレスビテリアン病院ワイルコーネルの外来で栄養指導をしている臨床栄養士、シラ・スジーさん(理系修士、登録栄養士、認定栄養士)によると、水分を補給するためにココナッツ水を試すこともできるそう。

3. 食事の量を減らして、回数を増やす

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きっちりと3回の食事を取るのではなく、1日を通してすこしずつ食事を摂るようにするのです。「2、3時間ごとに食事を摂ることを目標にします」とクリケリーさん。

「少量の方が体にとっての負担が小さいばかりではなく、全体的な食べ物の摂取量が増えて、カロリーやタンパク質の必要量を満たせるようになります」。これらはクローン病になった人が苦労する2つの点なのです。

4. 症状につながる食べ物を避ける

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まだ症状を見せていないならば、「探偵」になってみるのです。「どの食べ物で症状が悪化してしまうのかを特定するため、症状が悪化しているときには食べたものを日記につけるのはいいアイデア」と、登録栄養士のリズ・マクマホンさん。

何が自分にとっての刺激になるのか理解しながら、クローン病の人に問題になりやすい食べ物を整理します。それは次のような食べ物となります。

乳糖:乳糖は避けること。「すべての乳製品が引き金になっていると感じる患者さんもいますが、食事が制限されすぎないように、まず乳糖を含まない製品を試してみることをお勧めします。」とマクマホンは言います。 アルコールとカフェイン:マクマホン氏によると、どちらも胃を刺激する食べ物。 脂っこいもの、脂肪分の多いもの、香辛料のきいたもの、揚げ物:こうした消化されづらい食品(スパイシーなカレー、クリームソース、チーズバーガー、フライドポテト)は、多くの場合、症状の悪化、ガスの発生、下痢、けいれんなどを引き起こす刺激物です。 生野菜:体にはよいのですが、食物繊維が分解されにくいため、ガスや膨満感の原因になるのです。この代わりに調理された野菜を食べるようにします(食物繊維に富んだ皮を避ける)。

結論的には、「腸の動きを促したり、ガスや膨満感を増したりする食べ物を避けるのが賢明です」と、ハーガン医師は説明します。

5. 噛みごたえのある食べ物を避けます

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クローン病の症状が強まっているときには、全粒粉の穀物(考えたいのは、玄米とキノア)、豆類、ナッツ類などの食物繊維の多い食品は避けるようにします。スジーさんは、「こうした食品は腸にストレスをかけます。噛みごたえのある食べ物は一般的に消化されづらいのです」

こうした点は動物性タンパク質にも当てはまるそう。「ステーキやポークチョップなど、硬くて噛みごたえのあるお肉はおすすめできません」(クリケリーさん)

6. タンパク質をたっぷり摂る

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症状が悪化している最中は、食事することも簡単ではないですが、単に空腹であるばかりではないと気がつく人も多くいます。「さらに悪いことには、症状が悪化しているときには、カロリーとタンパク質の必要量が増え、体重を保つためには普段より多く食べる必要があるのです」とクリケリーさん。

クリケリーさんは、毎食、間食にタンパク質を摂るよう勧めています。消化しやすいのは、なめらかなナッツバター、豆腐、鶏肉、魚、卵、ギリシャヨーグルトなど。「乳製品に関して言えば、牛乳やアイスクリームよりギリシャヨーグルトの方が乳糖は少ないのです。ギリシャヨーグルトの方が体にやさしいといえます」とクリケリーさんは指摘しています。

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Madeleine Burry/Here's How to Tweak Your Diet During a Crohn’s Flare/STELLA MEDIX Ltd.(翻訳)

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