第3回のテーマは「身体の不調」。つらい貧血と風邪の症状改善を、栄養素でサポートしていきましょう。
体の悩みを栄養で解決! 疲れがとれないときに食べたいものは?
シーン5:貧血になりがちです。鉄が足りないのでしょうか?
摂りたい栄養素
タンパク質……血液の材料。鉄の吸収を高める ビタミンB6……タンパク質の分解や生合成に役立つ 鉄……酸素を全身に供給し貧血を予防 ビタミンC……鉄の吸収率を高める 銅……赤血球のヘモグロビンの合成や鉄の吸収を促す 葉酸、ビタミンB12……赤血球を作るおすすめの食材
赤身の肉、魚、卵、大豆、アサリ、しじみ……タンパク質、鉄(動物性に含まれるヘム鉄のほうが、植物性食品に含まれる非ヘム鉄より吸収率が高い)、ビタミンB6、ビタミンB12 緑黄色野菜、海藻、きくらげ……鉄、葉酸 干しエビ、ココア、ホタルイカ、ごま、カシューナッツ……銅 いちご、レモン、キウイフルーツ、柑橘類、赤・黄ピーマン、パセリ……葉酸、ビタミンC栄養を摂るべきタイミング
カルシウムを含む乳製品、タンニンを含む紅茶、緑茶、コーヒーは、食事ではなく間食として別の時間帯に摂るなど工夫して、鉄の吸収を妨げないようにしてください。
避けたい食事
カルシウム、ポリフェノール類、食物繊維、フィチン酸(玄米)は、植物性食品に含まれる非ヘム鉄の吸収を阻害します。サプリメントをよく飲む人は、鉄・カルシウム・食物繊維を同時に摂取しないようにしないようにしましょう。
ヘム鉄の多い動物性食品もバランスよく食べ、タンパク質・ビタミンCなど鉄の吸収を高める食品と合わせて摂りましょう。
中村さん :
貧血の解消には鉄だけでなく、血液の材料になるタンパク質が必要です。
ダイエットや不規則な食生活で、食事量が減ったり栄養の偏りがあると貧血になりやすくなります。鉄の多い食材を積極的に取り入れ、バランスよく食べるようにしましょう。
シーン6:風邪気味、のどが痛い、鼻水、頭痛...体調が悪いときに摂りたい栄養は?
摂りたい栄養素
ビタミンC……身体の回復力を高める、のどや鼻の粘膜を強くする ビタミンA・βカロテン……免疫力を高める。粘膜を正常に保つ カリウム…… 細胞の浸透圧の維持や、水分の保持に必要。汗で失われやすい 水分……体内の水分バランスを整え、発熱による脱水症状を防ぐおすすめの食材
小松菜、白菜、れんこん、かぶ、みかん、いちご……ビタミンC にんじん、かぼちゃ、トマト……βカロテン 大根、かぶ……でんぷんを分解し消化を促す酵素や、炎症を抑える辛み成分を含む。すりおろして生で食べるとよい りんご、バナナ……カリウム、糖質 れんこん、はちみつ……炎症を抑える。せき、痰、のどの痛みに ネギ……体を温め、殺菌効果もある。発熱、頭痛に しょうが……血行を促進し体を温める。せき、痰に。解毒作用もある シナモン……血行を促進し体を温める 梅干し……せき、痰、のどの痛みに。解毒作用もある。梅干し番茶もおすすめ栄養を摂るべきタイミング
ビタミンC、カリウム、水分はこまめに補給しましょう。
避けたい食事
消化に負担のかかる脂質の多い食品や、唐辛子や乾燥した食品など弱った粘膜を刺激するものはNG。シナモン、しょうがなどの体を温めるスパイスも摂りすぎは禁物です。
中村さん :
血流をよくし代謝を促すこと、のどや鼻の粘膜の修復を促すことが対処の基本。温かい料理や飲み物がよいですが、熱すぎると粘膜を痛めるので注意してください。
発熱しているときは、水分が多く熱を下げる豆腐や果物を。食欲があれば野菜入りのうどんや雑炊など消化のよいメニューで、糖質、タンパク質やビタミン、ミネラルをとり回復を促しましょう。
管理栄養士の中村美穂さんに聞く「悩み別・摂りたい栄養素」、次回は 「きれいをつくる栄養素」 をテーマに、美肌・美髪・筋肉づくりに役立つ栄養素をレクチャーします。
第1回:体の悩みを栄養で解決! 疲れがとれないときに食べたいものは?
第2回:ダイエットと体脂肪を減らすのに役立つ栄養素は? 管理栄養士がアンサー
不調対策に役立つのは?
バナナを皮ごと加熱する「温バナナ」。秋の不調に役立つ理由は?
中村美穂(なかむら みほ)さん
管理栄養士・フードコーディネーター。料理好きから管理栄養士となり、おいしく楽しく身体にやさしい料理やお菓子を探求。商品開発や、保育園栄養士としての給食作り・食育活動・食事相談等の経験を活かし、料理教室「おいしい楽しい食時間」を開催。書籍・雑誌へのレシピ提供も多数担当している。
取材・文/田邉愛理、企画・構成/寺田佳織(マイロハス編集部)、image via shutterstock