そこで調味料の専門家である青木敦子さんに、おいしくて体にも優しい、素材にこだわった調味料を6つ教えていただきました。
ひと振りでOK。身近にある“体にいい”調味料
調味料の魔力に取りつかれ、集めた調味料の数は優に300を超えるという青木さん。
「身近な存在のなかにも、“じつは体にいい”調味料が隠れています。使い道を限定せずに、いろいろな組み合わせを試してみてください。きっと新しい発見がありますよ!」と青木さん。
今回は青木さんご自身の定番アイテムを、体に優しい理由とともに6つピックアップしてくれました。
1.七味唐辛子
八幡屋礒五郎「七味唐からし」14g 400円(税込)七味は、いわば“食べられる漢方薬”。もともと漢方薬だったものを混ぜ合わせて作ったと言われており、まさしく体によい調味料です。
中に入っている7種類や配合はそれぞれ違いますが、たとえば陳皮は、食欲不振や吐き気予防に。山椒は健胃・利尿・消炎作用、ゴマは滋養強壮・解毒・便秘解消・消炎作用、紫蘇は食欲増進・利尿作用、青のりは血栓予防、しょうがは健胃・頭痛にいいと言われます。
「八幡屋礒五郎」は、江戸時代から長野県・善光寺の門前に店を構える老舗。原料をできるだけ地元産にすることにこだわっていて、唐辛子をはじめ紫蘇や山椒、ゴマなども自社の畑で育てています。
ゴマの香りが強く風味が豊かで、缶のデザインが洒落ているところもお気に入りです。
<おすすめの使い方>
イタリアでは料理に辛みを加えるとき、タバスコではなく唐辛子をオリーブオイルにつけたものを使います。七味はその代用としてぴったり。トマトソースのピザやパスタと相性抜群です。
2.黒酢
画像左から/坂元醸造「坂元のくろず 薩摩」150ml 864円(税込)、坂元醸造「坂元のくろず 天寿」200ml 1,620円(税込)黒酢は穀物酢などと比べると、酸味がやわらかくまろやか。脂肪燃焼アミノ酸として知られるリジン・プロリン・アラニン・アルギニンなどが含まれています。
また、食欲増進に加え、酸味を加えることで塩味をより強く感じるので、減塩効果も期待できると言われています。
鹿児島県の「坂元醸造」は、黒酢メーカーの先駆的存在。壺づくりという江戸時代後期から続く醸造技法を頑なに守り続ける、信頼できるブランドです。
原料は銘水として知られる霧島山麓の地下水と、蒸し米、米麹の3つだけ。熟成期間によって味わいが変わってくるので、ふだん使いには2年以上熟成させた「薩摩」、料理に振りかけたり、夜に飲むドリンクには3年以上熟成させた「天寿」と使い分けています。
<おすすめの使い方>
煮詰めてとろみをつけて唐揚げのソースにしてもいいし、ポテトサラダなどマヨネーズを使った料理にもよく合います。デミグラスソースやトマトソースに加えると、よりアッサリ食べられますよ。
また、“お酢ドリンク”にして運動する30分前に飲むのもおすすめ。牛乳に黒酢とはちみつを混ぜるとヨーグルトドリンク風になり、とてもおいしくいただけます。
3.ケチャップ
明宝レディース「明宝トマトケチャップ」300g 648円 (税込)トマトに含まれるリコピンは抗酸化作用に優れ、β-カロテンの2倍以上、ビタミンEの100倍以上の抗酸化力があると言われています。
リコピンは熱に強く、トマトが濃縮されたケチャップだと、大さじ2杯で大きなトマト1個分に匹敵するリコピンを摂取できると言われています。
また、β-カロテン、ビタミンE自体も豊富ですし、クエン酸も摂れます。クエン酸は胃の働きを活発にするとともに、疲労物質の乳酸を代謝分解して筋肉への蓄積を防止するので、疲労回復が期待できると言われています。
「 明宝レディース」のケチャップは、岐阜県内産トマト果汁100%で、保存料や着色料などの添加物をいっさい使用していないため、トマトの風味がそのまま感じられます。上品な甘さでコクがあり、濃厚なのにマイルド。
旨味が強く酸味がやわらかいので、とても食べやすいと思います。トマトを洗うところからビン詰めまで、一貫して地元の女性たちの手作業で作られている純粋なトマトケチャップです。
<おすすめの使い方>
しょうゆとの相性がよく、すき焼き、きんぴら、切り干し大根などに加えると新鮮な味わいに。カレーに加えるとハヤシライス風、意外なところではそばつゆにも合います。
4.ハチミツ
画像左から/HACCI 「カナダ産ブルーベリー」95g 1,404円(税込) HACCI「イタリア産シトラス」95g 1,620円(税込)ハチミツの成分であるグルコン酸は有機酸の中で唯一大腸に到達し、ビフィズス菌を増やすと言われています。ヨーグルトなどと組み合わせると、より便秘改善が期待できると言われています。
ハチミツは砂糖に比べてカロリーは2/3で、ビタミン、ミネラルをバランスよく含んでいるため、砂糖代わりに使用するのもおすすめ。消化に時間がかからないので、脂肪になりにくいとも言われています。
私がよく購入しているのは、「HACCI」のテーブルハニー。「カナダ産 ブルーベリー」は濃厚なコクがあり、ヨーグルトなどによく合います。
「イタリア産シトラス」は、ほのかな酸味のあるさっぱりした味わい。「HACCI」のハチミツは非加熱で、瓶詰めも職人の手による手充填でひとつひとつ丁寧に作業されています。生産者・生産地・薬剤使用・品質検査等の履歴管理も徹底されているので安心です。
<おすすめの使い方>
ハチミツは体温付近で甘味をいちばん強く感じ、高すぎても低すぎても甘味を感じにくくなります。少量で甘みを楽しみたいときは、体温程度に温めて使用するのがおすすめ。電子レンジでチンすると簡単です。
5.オリーブオイル
東洋オリーブ「小豆島産エキストラバージンオリーブオイル[手摘み] 」182g 4,320円(税込)オリーブオイルは悪玉コレステロール値を低下させ、善玉コレステロール値を正常に保つ働きがあると言われています。
ビタミンDやKも含まれているので、カルシウムの吸収をよくして骨への沈着を促したり、骨からのカルシウムの流出を押さえたりする働きが期待できると言われています。
腸の蠕動運動を活発にしてくれるので、便秘改善にも。抗酸化作用に優れたビタミンEやクロロフィル、β-カロテン、ポリフェノールも豊富。ポリフェノールの1種であるオレオカンタールには抗炎症作用があります。
私がよく使うのは、手摘みした香川県・小豆島産のオリーブを100%使用した「東洋オリーブ」のエキストラバージンオリーブオイル。
収穫後すぐに自社工場で採油されるため、フルーティで風味豊かな深みのある味わいで、とてもおいしく、和・洋・中どの料理にも使える優れものです。
<おすすめの使い方>
オリーブオイルは高温でも酸化しにくいので、生で使うだけではなく炒め物にもおすすめ。脂溶性のリコピンはオリーブオイルと一緒に摂ると吸収率が高まるため、トマトジュースや野菜ジュースに振りかけるのもおすすめです。
ナッツにひと振りすれば、ダブルの整腸作用で便秘を改善。ヨーグルトに混ぜればカルシウムの吸収率がアップします。
6.味噌
浅利佐助商店「秋田みそ 百年蔵」500g 788円(税込)大豆に含まれているタンパク質は発酵によって分解・水溶化され、アミノ酸やペプチド類になり、消化吸収されやすくなっていますし、必須アミノ酸がすべて含まれています。
原料の大豆にはサポニン・レシチン・イソフラボンなどが豊富。イソフラボンには女性ホルモンのエストロゲンに似た成分が含まれており、更年期障害の予防や改善に役立つと言われています。
サポニンには脂肪代謝の向上や血糖値の上昇を抑える働きがあると言われているので、肥満予防やダイエットにも。
「浅利佐助商店」の百年蔵みそは、あきたこまち米、秋田県産大豆、八幡平山麓の清らかな伏流水で仕込まれた、無添加の生味噌です。
秋田県産の大豆はタンパク質の含有率が高く、旨味がとくに強いとのこと。味わいは少し甘口で、まろやかですっきりしています。味噌汁などでも飲みこんで鼻に抜ける瞬間に香り立つ、風味豊かなお味噌です。
<おすすめの使い方>
味噌は発酵食品なので、できれば50℃以下で使用すると善玉菌を生きたままで摂取できます。
はちみつ、チーズ、オリーブオイルと相性がよく、はちみつとオリーブオイルを合わせた味噌ドレッシングは我が家の定番。卵かけごはんや納豆にちょい足しするのもおすすめです。
「調味料の使い方は固定観念を持ちがちですが、それぞれの特性がわかってくると、意外な味のマッチングが楽しめます。新鮮な味と香りを楽しむためにも、しまいこまずに頻繁に使ってあげてくださいね」と青木さん。
健康パワーをアップする組み合わせをおぼえて、ぜひ毎日の食卓で活用してみてください。
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青木敦子(あおき あつこ)さん
食物栄養学修士・料理研究家・栄養士。「All About」調味料ガイド。イタリアを中心に50回以上渡欧して各地で料理を学び、料理本や雑誌、テレビなどで料理の紹介をしたり、講演やオリーブオイルソムリエとしてセミナー講師をするなど、幅広く活動中。
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