毎月やってくる生理とうまくつきあっていくにはどうすればいいのでしょう。後編では、気になる生理についての疑問について伺いました。
Q1 .生理周期が短くなってきたけど、大丈夫?
A. これから子どもを産みたい人は、婦人科に相談を。
排卵を促すホルモン「エストロゲン」と妊娠を継続させるホルモン「プロゲステロン」は、20歳から35歳前後をピークとして、その後だんだん減っていきます。生理周期が短くなるということは、プロゲステロンの出る期間が短くなっているということ。
40代半ばで周期が短くなるのは自然の流れですが、これから妊娠を希望している人にとって、プロゲステロンが出る期間が短くなるのは見逃せない問題です。排卵後にプロゲステロンだけを足すという治療もありますから、まずは基礎体温をきちんと記録した上で、婦人科に相談しましょう。
Q2 .痛み止めの薬をいつも飲んでいると、そのうち効かなくなる?
A .そんなことはありません。
痛み止めのなかで、麻薬だけは一定量で効かなくなったら量を増やす必要がありますが、病院で処方される痛み止めの薬や市販されているものに麻薬はありません。飲み続けると耐性ができてそのうち効かなくなるかも……という心配は不要です。
薬が効かなくなったと感じている人は、飲むタイミングが遅いのかもしれません。痛みの原因は、子宮を握りつぶすときにつくられる「プロスタグランジン」。プロスタグランジンは生産されてしまうと、その後いくら薬を飲んでも痛いので、出来上がる前にブロックしないといけません。毎月生理痛がひどい人は、痛くなってから飲むのではなく、出血がはじまったらすぐ飲むようにしてください。
Q 3.基礎体温って、朝起きてすぐが一番低いの?
A .体温が一番低くなるのは、目を覚ます2時間前。
妊娠を希望している人にとって、排卵日がいつかを知ることはとても重要です。
排卵後にプロゲステロンが出ると、体温が0.3~0.6℃上がります。たった0.3~0.6℃しか上がらないから小数点第一位まで測れる一般の体温計でなく、小数点第二位まで測れる婦人体温計を使わないと、その差はわかりません。
私たちの体温は、目を覚ます2時間前が一番低いのですが、眠っている間は測れないので目を覚ましたらすぐに測りましょう。より厳密に身体の中枢の体温を測りたいので、脇の下でなく、ベロの下(舌下)で測ってください。
Q4 .前回の生理は重かったのに、今回軽いのはなぜ?
A .女性ホルモンは、アップダウンを繰り返しながら減っていくから。
40歳を過ぎると女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンの分泌は、徐々に減っていきます。
だからといって、きれいに下降線を描くわけでなく、アップダウンを繰り返しながらだんだん少なくなっていくのです。そのため、生理の量もサイクルも不安定になるわけです。
また、生理周期が28日だった人が、24日になったからといって、そのままどんどん21日、20日と短くなるケースは多くありません。バラつきながら、いずれ閉経を迎えるということも知っておいてください。
Q5 .生理の予定日をコントロールするには、どうすればいい?
A .ひとつ前の生理を、ピルで調整しましょう。
生理の予定日はピルを飲むことによって、コントロールできます。ただし、普段ピルを飲んでいない人が、そのときだけ生理期間をずらすには、ホルモン剤が多めに入っている中用量ピルでないと確実にずらせません。
中用量ピルは飲むと気持ち悪くなることもあるので、おすすめしているのは、旅行や試合の直前ではなく、ひとつ前の生理期間をずらすこと。
予定日をコントロールしたいという人は、生理周期が安定している人が多いので、ひとつ前の生理をずらしておけば、次の生理は自然にずれていきます。
Q6. ダイエットに適した時期は?
A. ベストなのは、生理が終わってから次の排卵日まで。
排卵後のいわゆる生理前の時期は、プロゲステロンが水をためこむので、体がむくみます。生理中も出血によってむくんでしまうので、ダイエットや運動にベストなタイミングは生理が終わってから次の排卵日までの期間です。
また、生理がはじまる直前と生理が終わった直後の体重は、一番差の大きい人で2kg前後も違います。女性にとって2kg程度の体重の変動は簡単におこりうること。
生理期間中の体重の増減はあまり気にせず、生理が終わる頃からしっかり体を動かすのがおすすめです。
Q7. ヨガで生理痛は治る?
A .冷えやコリ、ダル重さには効果的。
生理痛自体をヨガで改善することはできませんが、血管が収縮することによって起こる冷えやコリ、身体のダル重さには効果があります。
ヨガやストレッチで骨盤周りや肩、首などを意図的に動かすようにすれば、血流が落ちているところに血流が集められることで、コリやダル重さを軽減できるのです。
とくにヨガは呼吸とともに行うので、メンタルにも効果的です。
生理の悩みは人それぞれ。でもたいていのことは婦人科で相談すれば、解決の糸口が見つかります。ひとりで悩まず、信頼できるお医者さんに相談して、快適な生理ライフを過ごしましょう!
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生理の疑問
高尾美穂(たかお・みほ)先生
女性のための総合ヘルスクリニック、イーク表参道副院長。医学博士、産婦人科専門医、スポーツドクター。東京慈恵会医科大学大学院修了。同大学付属病院産婦人科助教を経て現職。産婦人科外来に携わるほか、女性アスリートのメディカルサポートなどを行う。大学病院では婦人科がん(特に卵巣がん)専門。文部科学省・国立スポーツ科学センター 女性アスリート育成・支援プロジェクトメンバー、株式会社ドーム(アンダーアーマー)のアドバイザリードクターとしても活動。ヨガを長年愛好し、アンチエイジング医学、漢方、栄養学、スポーツ医学を多角的に用い、女性の心身をさまざまな角度からサポートしている。高尾美穂先生のサイト イーク表参道
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