「最近、肌の調子がいい!」と気分上々だったのに、数日後にはイライラが止まらない。そしてある日を境に、憑き物がとれたかのように怒りが消え、穏やかな気持ちを取り戻す……。月ごとに繰り返されるリズムに、女性の心と体は大きく左右されます。

この周期を作り出しているのが、女性ホルモン。艶やかな肌や髪などを作り出すエストロゲン、子宮内膜をやわらかくし受精卵が着床しやすいようにするプロゲステロンのふたつのホルモンが、日々バランスをとっています。

なくてはならない大切なホルモンだからこそ、バランスが崩れないよう、良好な状態をキープしておきたいところですが、そんな女性ホルモンの材料がコレステロールであることは、あまり知られていません。

コレステロールは身体にとって必要な「材料」

脂の一種でもあるコレステロール。女性ホルモンや男性ホルモン、成長ホルモン、そしてストレスと闘う抗ストレスホルモンの材料となります。細胞膜の材料でもあり、特に脳や神経系の細胞に多く存在しています。

さらに免疫やメンタルの安定に欠かせないビタミンDや、アンチエイジングに関わる栄養素コエンザイムQ10を体内で作るための材料になったり。食事で摂った脂を乳化して吸収しやすくする、胆汁酸の材料としても必須です。

ホルモンの材料が足りなくなってくれば、当然これらの仕事がしにくくなります。毎月の生理にも影を落とすことに……。

さらに見逃したくないのが、女性ホルモンと抗ストレスホルモンは同じ材料からできているということ。 体内でホルモンを作るには優先順位があり、材料のコレステロールは、命に関わるところから順に回されていきます。

順位が高いのは、女性ホルモンではなく抗ストレスホルモン。人間にとってストレスとは、それほどまでに大きな脅威であることがわかります。 これはストレスが多いほど、女性ホルモンが作られるチャンスは減る、ということを意味します。「仕事でストレスが多い時期ほど生理にまつわるトラブルは増える」という経験を持つ人も、少なくないかもしれません。

見過ごされがちな「コレステロール不足」

コレステロールは脂ですが、体内をスムーズに移動できるよう、タンパク質に包まれています。そこでポイントとなるのがタンパク質もセットで摂ること。そういう意味でも、やはり卵は理想的な食品と言えます。そして、タンパク源として魚や大豆製品もいいですが、肉もぜひ食べてほしいところです。

ネガティブなイメージのせいか、コレステロールの摂りすぎを心配する声が多いのですが、そもそも体内にあるコレステロールの8割は、自前で、肝臓で作られているのです。食べ物によって補給される量はたったの2割。しかも、食べ物から供給されるコレステロールの量が増えたら、自前で作る量を減らしコントロールしてくれます。

確かに多すぎるのもよくありませんが、さまざまな方のお話をうかがっていると、コレステロールが不足しているのでは、と感じることも少なくありません。

コレステロールを極端にカットする行為は、ホルモンのバランスを乱すことにも繋がります。大切なものであることを知ってもらえたらと思います。  

今回が連載最後の記事となります。これまで読んでくださったみなさん、ありがとうございました。またどこかでお伝えできることを楽しみにしています。

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