MYLOHAS読者の、ニッチな美容のお悩みを解決する「ビューティ駆け込み寺」連載。今回は、「自分にあったスキンケアを見つけるにはどうしたらいい?」というお悩みです。

現代は情報化過多で、何を信じて選べばいいのか迷ってしまう人も多いはず。選ぶときは何を基準にしたらいいの? 化粧品メーカーでの美容コンサルタントとして多方面で活躍する、ビューティサイエンティストの岡部美代治さんに伺いました。

まずは基本に忠実に

自分に合ったスキンケアを探すにあたって、まず重要視しなければならないのはどんなことでしょうか。

「まずは肌タイプや季節など、基本的な条件を確認してみましょう。乾燥肌なのかゆらぎ肌なのか、夏なのか冬なのか

メーカーごとに、その条件にあったラインを用意していますから、まずはそこに忠実に使ってみる。アイテムを省略したり、複数のブランドを組み合わせたりというのは、その後にカスタマイズしていくほうが確実です」(岡部さん)

多くのメーカーは、夏は美白ライン、冬は高保湿ラインを用意していたりします。また、通年で使えるものもあります。

季節をヒントにするのは選びやすそうですが、自分の肌タイプはどう見極めればいいのでしょう。思い込みだったりすることもあるのでは?

「そのためにも、一度化粧品カウンターに足を運ぶのが理想ですね。肌の水分・油分チェックをする機器を置いているところもありますし、自分の肌についてのお悩みを相談して、客観的な意見をもらうのは有効だと思います。

カウンターにはサンプルやトライアルサイズも揃っているはずなので、これらを有効活用しましょう」(岡部さん)

成分だけを見てもわかることは少ない

化粧品の効果を生むための重要な要素が、使い方。これについては、メーカーが推奨する内容をよく理解する必要がある、と岡部さんは言います。

「ブランドが用意したパンフレットや商品情報をしっかりと読みこなし、忠実に使うことが大切です。どんな目的で作られたものなのか、どんなテクスチャーなのか、使う量はどれくらいか

ここを自己判断で読み飛ばしてしまうと、せっかくの効果が半減する場合もあるんです」(岡部さん)

逆に、成分表示にこだわりすぎることは本末転倒になることもあるのだそう。

「よく、成分情報を分析してこの化粧品はいい、悪いを判断する考え方がありますよね。しかしそれ、実はナンセンスです。

化粧品には配合されている全成分の表示が義務付けられていますから、どんな成分が入っているかはわかります。ただそれがどんな品質のものかや、どんな製法で作られているのかという部分までは見えません。

化粧品は料理と同じで、同じ成分名でも産地や製法で違ったものになります。また同じ成分の組み合わせでも配合量や製造方法で違ってきます

料理でも食材の使用量や、炒めたのか茹でたのかという調理法だったり、素材の切り方、混ぜ方、混ぜるタイミング、火を入れる時間などによって、いかようにもなるのは想像していただけると思います」(岡部さん)

唯一気をつけなければならないのは、アレルギーを持っている人の場合。

「特定の成分にアレルギーがあるなら、それは避けなければなりません。むしろそういうことのために全成分表示が義務付けられているんです」(岡部さん)

「肌に悪い成分」ってあるの?

では「肌によくないと言われる成分」についてはどうなのでしょう? シリコンや界面活性剤、合成保存料に合成着色料……これを配合していません! とうたう化粧品をよく見かけますが……。

「今の時代、化粧品に配合されている成分で人体によくない影響を及ぼすものはまずないと考えていいです。

たとえば界面活性剤。原液を大量に肌へ塗布すればよくないでしょうが、影響しないレベルの配合量や使用方法が守られていますのでご安心ください」(岡部さん)

「オーガニックだから肌にやさしい」「無添加だから安心」は信じてOK?

「オーガニックであることや無添加であることと、肌にいいかどうかということに因果関係はありません。他社の商品の誹謗中傷をするような謳い文句は疑ってかかったほうがいいですよ。

わかりやすいところでは石油由来の成分はよく嫌われています。でも、石油由来でもミネラルオイルや白色ワセリンは医療でも使用されていますし、人体に安全です。

いかにイメージと現実が違うかよく解って欲しいです。」(岡部さん)

これからの時代は、キャッチーな情報を鵜呑みにせず、自分で冷静にリサーチし、正しい知識を持つことが問われます。

「すべてを鵜呑みにするのではなく、これって本当なの? と疑い、自分で判断するクセを身につけておくといいですよ」(岡部さん)

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