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「座りすぎ」が引き起こす4つの健康リスクと対策
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「座りすぎ」が引き起こす4つの健康リスクと対策

2019-12-01 05:30
    ──ライフハッカー[日本版]より転載

    多くの人が、仕事で一日中同じ姿勢を強いられています。立ち上がるのは、昼休み、小休憩、トイレぐらいなもので、あとはただ座っているだけ。座りっぱなしの原因は仕事だけでなく、中毒性のあるゲームも考えられます。座りっぱなしのライフスタイルが健康に悪いことは誰でも知っていると思います。

    では、具体的にどんな悪影響があるのでしょうか。座りすぎの副作用は? 意識的に動くためには、どんな工夫が考えられるでしょうか。

    運動不足はさまざまな病気の源となる?

    世界保健機関(WHO)の報告によると、世界の死因の6%は運動不足です。一見少ないように聞こえますが、実際は死因トップ4に位置しています。さらに、運動不足は乳がんおよび結腸がんの主要因の25%、糖尿病の27%、心疾患の30%を占めています。

    もちろん、一部の研究は観察のみに基づいているため、因果関係ではなく相関関係を見ているかもしれません。それでも、座りすぎや寝たきりが原因で毎年約7万人のイギリス人が死亡しているのは事実です。

    「座りすぎ」の何が健康に良くないのか

    理由は明確に思えます。実際にこれまでに多くの研究が行われており、その多くが「運動不足が健康に良くない」と想定したものです。

    しかし、座りすぎが健康に悪い理由はほかにも考えられます。たとえば、テレビを見ながらお菓子を食べると体重が増え、運動によってそれを消費することができません。座っているときのエネルギー消費は1分に1カロリー程度。これは、軽いウォーキング時の3分の1に過ぎません。

    筋肉の電気的活動が低下すると、血液中で脂肪細胞を攻撃する脂質とトリグリセリドを作る酵素の生成も減少します。つまり、代謝も大きな役割を果たしているのです。

    体調不良に陥ると、寝ている時間や座っている時間が長くなるため、悪循環が生じます。座っていると動こうというモチベーションが減り、さらに長時間座ることになります。

    1日6時間座っていると酸素消費量が減り、単純な運動でさえきつく感じられるようになります。

    とはいえ、そのような悪循環に対抗する方法はあります。たとえばワークアウトジェネレーターを使って運動するとか、もっとシンプルに、エレベーターではなく階段を意識的に使うだとか。「動くのが面倒」という意識が、多くの問題を引き起こすのです。

    「座りすぎ」が原因で起きる深刻な健康リスク4つ

    座りすぎによる健康リスクの例はたくさんありますが、そのうちの4つを紹介しましょう。

    1. 糖尿病

    インスリンは、糖分や炭水化物を燃やしてエネルギーに変えるのを助けるホルモンです。運動不足はホルモンレベルに影響し、ひいては免疫システムにも影響を及ぼします。

    通常考えられませんが、24時間座り続けると、インスリンの効果が24%下がると言われています。もちろん、そこまで長時間でなくても、身体への影響はあります。

    たとえば、オフィスや自宅でのテレビ、ゲーム、PC作業で1日に6時間座っているとします。これを2週間続けていると、身体がインスリンの増加に抵抗するようになります。これに伴い、体重が増加します。さらに、目には見えませんが、血糖値が高くなり、2型糖尿病へとつながります。

    逆もまたしかりです。2016年に発行されたDiabetes Careによると、30分座るたびに3分動くことで、血中のグルコースレベルが改善するそうです。

    2. 血栓

    不活性が原因でなることが多い血栓は、静脈を圧迫し、変形を生じさせます。表面的な隆起は静脈瘤と呼ばれ、皮膚にクモの巣状に現れます。

    症状としては手足の痛みや重みがありますが、一般的に深刻なものではありません。しかし、静脈血栓塞栓症(VTE)は深刻です。VTEは、血栓によって血流が悪くなることを指します。

    もっとも一般的なものは、腕などの四肢に関係する深部静脈血栓症(DVT)でしょう。長時間のフライトが原因でなることがあるので、旅行がらみでDVTの名前を耳にしたことがあるかもしれません。

    まれに血栓が肺に到達し、肺血栓塞栓症(PE)を発症するケースもあります。これは、命にかかわる病気です。

    これに関し、2016年の熊本地震後の日本で、驚くべき例が注目を集めました。避難住民の多くが車中で長い時間を過ごした結果、51人の入院患者のうち82%に血栓がありました。そのうち35人は、PEも発症していたそうです。

    3. 心疾患

    血液に影響するのですから、当然心臓にも影響を及ぼします。糖尿病は悪玉コレステロールを増加させ、その結果、心疾患のリスクを高めます

    いっぽうで、血糖値に関係なく、長時間座っていること自体も心臓への悪影響が考えられます。たった2時間座っているだけで、血液中の善玉コレステロールが20%も低下するのです。毎日3時間以上テレビを見る人は、心疾患による死亡率が64%高まります

    1日中座っていることと早期死亡の関係は、1950年代から指摘されています。ロンドンのバスドライバーは車掌の2倍の確率で心疾患にかかることがわかったのです。これは、いまでも大きな問題となっています。

    米国では、年間約70万人が冠動脈心疾患で死亡しており、同国トップの死因となっています。さらに、それらの死の35%は、座りっぱなしのライフスタイルが原因推定されています

    心疾患患者は、抑うつにも苦しめられます。つまり、運動不足が自殺につながりうるというのもあながち間違っていません。アメリカ自殺予防財団のPaula Clayton医学博士はこう述べています

    自殺者の90%以上が、死の前段階で精神疾患を抱えています。60%が大鬱です。

    4. 骨粗しょう症

    身体に合わない椅子を使い続けると、慢性的な腰や首の痛みが生じます。その多くは、椎間板が柔軟性を失った結果、脊椎の骨にズレが生じたことが原因です。

    人間工学に基づく椅子に変更しても、ダメージを減らすことはできるものの、動かないことによる筋肉と脊椎への影響を完全に消すことはできません

    このように、1日中座っていると、骨格へも影響します。ゆくゆくは、これが骨粗しょう症につながる場合があります。

    骨は常に破壊吸収と形成を繰り返しています。しかし、加齢とともに、骨密度の低下が回復を上回るようになります。平均的な人だと、20代前半に骨形成のピークを迎えたのち、毎年1%のペースで骨密度が低下します。さらに、動かないでいると酸素消費量が低下し、骨密度の減少が加速します。

    骨は、実に心拍出量の10%を受け取り、血液中の酸素を使って修復と交換を行っているのです。つまり、「使うか、失うか」。今は効果を実感できなくても、歳をとればわかるようになるでしょう。

    「座りすぎ」による悪影響への対策は?

    残念な結果がたくさん出ていますが、明るいニュースもあります。

    ミネソタのMayo Clinicで研究に携わるLevine医師は、非運動性熱産生(NEAT)という概念を提唱しました。これにより、座りっぱなしのライフスタイルに対して、毎日少しの活動でも十分な対策になりうることが証明されました。

    研究によると、30分おきに動くことで、不活性による早期死亡のリスクが劇的に減少するそうです。といっても、わざわざ走りに行く必要はなく、早歩きなどの「中度の運動」で構いません。キッチンの掃除など、家事はいい運動です。トイレ休憩や、冷水器に水を飲みに行くだけでも十分です。

    悪い姿勢から来る痛みに対処するためのアプリを使うなどして、30分に1回は立ち上がって動くように心がけてください。

    米国保健福祉省は、1日1万歩歩くことを勧めています。これを達成するには、Fitbitなどの健康サービスを利用するといいでしょう。1万歩をなかなか達成できない場合、歩幅を小さくして歩数を稼ぐのもひとつの方法です。職場まで歩く、毎週ガーデニングに1時間かける、メールではなく会いに行くなど、さまざまな方法で歩数を増やす工夫をしてください。

    ところで、旅行中はどうでしょう?

    運転中は定期的に休憩を取ってください。フライト中は意識して通路を歩くようにしましょう。脱水は血栓につながりうるので、水を多めに飲むのも忘れずに。サポートソックスも効果的ですが、とにかく考えうるあらゆる方法で動くことを心がけること。かかとを定期的に回すだけでも効果があります。

    より健康的なライフスタイルへ

    The American Journal of Epidemiologyに掲載された論文では、米国に住む12万7000人の成人を対象に、21年超にわたる分析を行いました。その結果、1日中座っていることで、数々の厄介な病気になりうることがわかりました。がん、脳卒中、腎臓、肺、肝臓の疾患、パーキンソン病、アルツハイマー病などです。

    とても恐ろしく聞こえますが、だからといって健康的なライフスタイルへの移行を、難しいことだと思わないでください。

    身体に悪いプロセスに、短い中断を挟むだけでいいのです。健康的なライフスタイルは心地良いだけでなく、達成するとギフトカードなどの報酬をもらえるアプリも存在しますよ。

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    [ライフハッカー[日本版]]

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