ランニングを始めたばかり。でも、いつかフルマラソンに挑戦したい! そんな女性のために、青学駅伝部トレーナーの中野ジェームズ修一さんが「走れる体」の作り方を伝授。
全身のコンディションを高める食事術をうかがった第1回に続き、走力アップにつながる自宅でのトレーニング方法を教えていただきます。
自宅で“走れる体”を作るレイヤートレーニングとは?
「走ることは嫌いじゃないけど、マラソンは無理」――ランニング初心者の半数は、そんなふうに思っているのではないでしょうか。
42.195kmを走り抜くためには、4〜5時間のハードな拍動に耐える強い心臓と、下半身の筋肉の持久力が不可欠。しかも、ほかの競技と違いマラソンには一定の休憩時間がないため、疲労がたまってくるなかで走り続けなければなりません。
中野ジェームズ修一 :
長距離、長時間のランニングに耐える体を作るためには、基本的には走るしかありません。走って心拍数を上げる練習をすること、走り込みで筋持久力を鍛えることがトレーニングになります。
しかし、じつは“走らずに走れる脚をつくる”方法があるんです。それが「レイヤートレーニング」。この方法なら雨の日でもトレーニングができるし、週1~2回で持久力を上げる効果が期待できます。走ること自体が苦手な人や、仕事をしながらマラソンにチャレンジする人には、とてもおすすめの方法です。
レイヤートレーニングで下半身を強化
レイヤートレーニングとは、低負荷・高回数のトレーニングを何種類か続ける、つまりレイヤー(階層)を積み重ねることで、疲れに負けない持久力のある筋肉をつくるというトレーニング方法。
中野さんが担当している多くのプロランナーも、このレイヤートレーニングを実践しています。ひとつひとつのトレーニングは簡単かつ単純なので、一度覚えれば家でも一人で続けられると中野さん。
中野ジェームズ修一 :
今回はA、B、C、D、Eの5つのスクワットを積み重ね、長時間走れる脚力を作るレイヤートレーニングをお教えします。まずはスタート地点となる、次のスクワットをマスターしてください。
A「両手を膝の上で組んだワンレッグ・スクワット」
1.右脚を後ろに下げ、両手を左脚の膝の上で組む。左脚の膝は床に対して垂直にし、膝がつま先より前に出ないように注意する。
2.そのまま上体を持ち上げる。左脚に体重を乗せたまま、背中で天井を押すようなイメージで。
3.左脚の位置をずらさないように注意しながら、1の姿勢に戻る。1~3の動作を続けて20回行い、20秒休息する。そのまま反対側の脚も同じように行う。
Aのスクワットが左右両脚で簡単にできるようになったら、1セット目はクリア!
次回は別のスクワットを学び、「A+B」2種類のスクワットを続けて行うレイヤートレーニングの初歩にトライします。
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中野ジェームズ修一さん
スポーツモチベーションCLUB100最高技術責任者、PTI認定プロフェッショナルフィジカルトレーナー、米国スポーツ医学会認定 運動生理学士(ACSM/EP-C)フィジカルを強化することで競技力向上や怪我予防、ロコモ・生活習慣病対策などを実現する「フィジカルトレーナー」の第一人者。「理論的かつ結果を出すトレーナー」として、卓球の福原愛選手やバドミントンのフジカキペアなど、多くのアスリートから絶大な支持を得ている。2008年の伊達公子選手現役復帰にも貢献した。2014年からは、青山学院大学駅伝チームのフィジカル強化指導も担当。早くから「モチベーション」の大切さに着目し、日本では数少ないメンタルとフィジカルの両面を指導できるトレーナーとしても活躍を続けている。自身が技術責任者を務める東京神楽坂の会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB 100」は、「楽しく継続できる運動指導と高いホスピタリティ」が評価され活況を呈している。主な著書に『世界一伸びるストレッチ』(サンマーク出版)、『青トレ』(徳間書店)などベストセラー多数。
撮影/中山実華