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肝臓専門医が伝授。二日酔い予防のためにできる6つのこと
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肝臓専門医が伝授。二日酔い予防のためにできる6つのこと

2019-12-10 20:00
    『肝臓専門医が教える病気になる飲み方、ならない飲み方』の著者であり慶応義塾大学医療看護学部の加藤眞三教授にうかがう「二日酔い対策のイロハ」。

    二日酔いについての誤解を取り上げた前編に続き、後編では二日酔いを予防する方法や、なってしまったときの対症療法について教えていただきます。

    「牛乳を飲んでおくと酔いにくい」はウソ

    「今夜は飲み会」というとき、二日酔い予防策としてどんなことをしていますか? 「結局、二日酔いを予防するために一番大切なのは、自分の限界を知り飲みすぎないこと」という加藤先生。

    よくある「お酒を飲む前に牛乳を飲めば、胃の粘膜が牛乳でコーティングされるから酔いにくい」といった方法は、真っ赤なウソだと話します。

    加藤先生 :

    酒(アルコール)の成分であるエタノールの特徴は、脂溶性であ、かつ水溶性の物質であることです。つまり、水にも油にも溶けやすいのです。しかも分子量が小さいので、身体の細胞の膜を自由に通過し、どの臓器にも速やかに浸透してしまいます。

    牛乳を飲んだくらいで粘膜に膜ができ、吸収が抑えられるということは考えられませんし、このようなことを実験で示しをした科学論文は見つけることができません。

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    二日酔い予防策、6つの基本

    残念ながら「〇〇をすれば二日酔いにならない」という解決策はありませんが、次の6つのポイントに気を付けることで、悪酔いをある程度防ぐことは可能です。

    1.飲酒の前後に食べること

    胃内のアルコール濃度を低く保ち、アルコールの吸収を遅くし、代謝を速めることができます。

    2.飲む酒の種類に注意する。複数の酒を混ぜて飲まないこと

    日本酒、ワイン、紹興酒などの醸造酒や、濃い色の蒸留酒(ウイスキーやブランディーなど)は、夾雑物(きょうざつぶつ)いわゆる不純物が多く、症状をきたしやすくなります。いろいろなアルコールを飲むと、自分の酒量がわかりにくくなるのも問題。

    限界量として男性ではエタノール量60g(目安としてビール500ml×3杯≒日本酒3合≒アルコール7%缶酎ハイ3缶≒ワインボトル3/4くらい)は超えないようにしてください。女性では、その3分の2、すなわちエタノール量40g以下が目安になります。

    3.水分を十分に摂ること

    水分を摂ることで脱水症状を防ぎ、飲酒量を減らすことにも役立ちます。胃内のアルコール濃度も低下します。ただし水分も過剰には摂りすぎないこと。

    4.ゆっくり飲むこと

    一気飲みをせずに、ゆっくり飲むことで適量にとどめられます

    5.なるべくストレートではなく割って飲むこと。

    ストレートでチェイサーを挟むよりも、割って飲むことでアルコールが濃い濃度で血中に入ることを防ぎ、悪酔いしにくくなります。また、濃いアルコールは食道を傷つけ食道がんの原因になることも。

    6.睡眠不足のとき、生理のとき、風邪薬を飲んでいるときは飲酒を控える

    二日酔いの症状は体の弱っている部分に出やすいため、体調が悪いときは避けたほうが安全。疲労がたまっているとき、精神的に不安定なときの飲酒も控えましょう。

    二日酔いに「ビタミンC」は正しい?

    上記のように予防しても、二日酔いになってしまったらどうすればいいのでしょうか? 「二日酔いになってしまった場合」の対症療法はこちらです。

    1.水やフルーツジュースを飲むこと……脱水症状を軽減します。向かい酒は気分が悪くなるだけであり、しかもアルコール依存症への道を早めてしまいます。

    2.軽食を食べること……おにぎり、お茶漬け、ソーメン、トースト、クラッカーなど消化のよい食べ物は、血糖値を高めると同時に、胃症状を和らげます。

    3.鎮痛剤を服用すること……市販の鎮痛剤は頭痛を緩和します。ただし、アスピリンやロキソニンなど消炎鎮痛剤(NSAIDS)は胃を刺激し、胃痛や胃炎を悪化させる可能性があります。また、アセトアミノフェン(カロナールなど)は胃には優しく安全ですが、アルコールを長期間大量に飲んでいた人では、通常用量でも重度の肝臓障害を引き起こすことがあります。

    4.ベッドで寝ること……睡眠不足があれば、睡眠をとることで二日酔い症状は軽減します。

    また、二日酔いのとき、ビタミンCや柑橘類がよいという話を聞いたことがある方がいるかもしれません。しかし、二日酔い対策にビタミン剤が効くというエビデンスはないと加藤先生。

    加藤先生 :

    大酒飲みの人にみられる「ウエルニッケ脳症」という病態ではビタミン剤の静脈内投与でかなり回復します。しかし、これは一般的な二日酔いとは別のケース

    二日酔いになってしまった場合は、上記のような対症療法をしたうえで、時間の経過を待つしかありません。サプリでとるよりは、果物でビタミンCはとりましょう。

    加藤先生いわく、アルコールによる健康被害を防ぐためには、皆で「お酒を無理強いしない」雰囲気をつくることも大切とのこと。

    加藤先生 :

    自分で「今日は何杯くらいでやめる」と決め、それを守ることを目標にしてください。自衛手段として、お酒を断りたいときの受け答えを準備しておくのもいいですね。

    「飲めない体質で……」とか、「最近、医者に飲むなと注意されていて……」とか、予め言っておくと無理にすすめられることもなくなると思います。

    二日酔いが頻繁に起こるような飲み方をしていると、将来的に肝機能障害につながることもあります。安易な「二日酔いを防ぐ〇〇」に騙されずに、「飲みすぎない」という基本を守ってほしいとアドバイスをいただきました。

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    加藤眞三(かとう しんぞう)さん
    1980年、慶應義塾大学医学部卒業。1985年、同大学大学院医学研究科修了、医学博士。1985~88年、米国ニューヨーク市立大学マウントサイナイ医学部研究員。その後、都立広尾病院内科医長、慶應義塾大学医学部内科専任講師(消化器内科)を経て、現在、慶應義塾大学看護医療学部教授(慢性病態学、終末期病態学担当)。著書に、『肝臓病教室のすすめ』(メディカルレビュー社)、『患者の生き方』『患者の力 患者学で見つけた医療の新しい姿』(春秋社)、『おかずレパートリー脂肪肝・非アルコール性脂肪肝炎・アルコール性肝炎』(女子栄養大学出版部)『肝臓専門医が教える病気になる飲み方、ならない飲み方』(ビジネス社)など。東洋経済オンラインにて、医療コラムを連載中。

    image via shutterstock

    RSSブログ情報:https://www.mylohas.net/2019/12/203484sp_eat_too_much_mechanism02.html
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