しないに越したことはない。それはわかっているんです。でもおつきあいで断れないお酒もあれば、疲れや寝不足がたたって少量でも酔いがまわってしまうこともあります。

前編では「二日酔い」の朝に摂るべき3つを教えてくれた肝臓専門医の浅部伸一先生に、今度は「二日酔いでやってはいけないNG行動」について伺いました。

よかれと思っていたことが、意外な落とし穴だったことに気づくかもしれません。忘新年会が続くこれからの時季、ぜひ参考にしてみてください。

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サウナは? 迎え酒は? お酒好き医師が指南

体調も悪いし、記憶もおぼつかない……。そんな最悪な状況下でも、日常は同じようにやってきます。一刻も早くお酒を抜きたい気持ちはわかりますが、間違った行動が病気の原因になるどころか、場合によって命の危険につながることもあるのです。

NG行動 その1:サウナでお酒は抜けません!

アルコールの利尿作用で、身体は脱水状態に。そこへ意図的に汗をかくのは「自殺行為」と浅部先生。

浅部先生 :

二日酔いの原因のひとつは、アルコールや肝臓がアルコールを分解する過程でできたアセトアルデヒドの影響が残ってしまうから。
そこに汗をかいて脱水が進めば、分解はさらに悪くなります。サウナで「酒を抜きに来た」って話してるおじさんと隣り合わせになると、本気で叱ろうかと思う(笑)。そのぐらい危険です。

最近は若い人でも心筋梗塞や脳梗塞を起こす人が増えています。脱水状態であるうえに、熱いお風呂やサウナでさらに血液がドロドロになれば、血栓ができるリスクは高まって当然です。

まずはしっかりと水やお茶を飲むこと。シャワーは許容範囲ですが、上がったら水分補給をお忘れなく。

NG行動 その2:運動は症状緩和を遅らせるだけ

サウナや熱いお風呂と同様に、おすすめできないのが「激しい運動」です。「気分転換にランニングでも」なんてもってのほか。

浅部先生 :

肝臓がアルコールを分解するために大量の血液が必要となりますが、運動をしてしまうと血液が筋肉に流れてしまいます。汗をかくので脱水も進み、アルコールの分解も妨げ、症状緩和を遅らせるだけ。いいことはひとつもありません。

理想をいえば、横になってゴロゴロしているのが一番。でもそうはいかないなら、通勤時には満員電車を避け、階段ではなくエスカレーターを使いましょう。酔っぱらっているときは血圧が下がりやすいので、倒れたり立ちくらみが起こったりしかねません。高いヒールの靴もやめておいたほうがよさそうです。

NG行動 その3:依存症のリスクを高める迎え酒

「迎え酒」が本当に効果的なら、呑兵衛には朗報かもしれませんが……。

浅部先生 :

まったくおすすめできません。たしかに症状が緩和されるという人はいますが、それは一時的で、症状を先延ばしにしているだけ。むしろアルコール依存症のリスクが高まります。

アルコールは脳に作用する一種の麻酔薬。不快感をマスクしてくれるので、頭痛や吐き気が一時的に感じにくくなることがあるのだそうです。お酒が切れると調子が悪くなり、迎え酒で緩和されてまた飲んで……を繰り返すのは、アルコール依存症の典型的な状態とのこと。迎え酒、やめましょう。

NG行動 その4:二日酔いを助長する食べ物は?

二日酔いの朝に限って、お腹がペコペコだったりしませんか? それは血糖値が下がっているサインかもしれません。

浅部先生 :

かといって、一気にたくさん食べればよけいに気持ちが悪くなるだけです。ふらふらするなら糖質を少し補うといいですね。
甘いものやスポーツ飲料を少し摂ってもいいですし、おかゆやうどんを少しずつこまめに食べるのもいいと思います。

二日酔いの代表的な症状に「頭痛」がありますが、片頭痛持ちの人はチョコレートが頭痛の誘発因子になることもあります。また、ただでさえダメージを受けている胃にコーヒーは“泣きっ面にハチ”です。

ただ、一方で、コーヒーが頭痛に効く人もいますし、二日酔いの症状はその人によって違いますから、「私はこれがいい、これがダメ」というものを見つけていけるといいですね。

いかがでしたか? でも「対策はバッチリ。もう二日酔いは怖くない!」なんて言わないでくださいね。

二日酔いは少なからず身体にダメージを与えている」と浅部先生。浅部先生の監修書やマイロハスの特集には二日酔いの予防法がたくさん紹介されていますので、参考にしていただきつつ、お酒のある時間を楽しみましょう。

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浅部伸一(あさべ・しんいち)先生
1965年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業後、東京大学附属病院、虎の門病院、国立がんセンター研究所、自治医科大学などでの勤務を経て、米スクリプス研究所に留学。帰国後、自治医科大学附属さいたま医療センターで消化器内科に勤務。現在は米系製薬会社で新薬開発業務を行っている。監修書に『酒好き医師が教える最高の飲み方』(日経BP社)。

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