新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、手洗いの重要性が叫ばれています。その一方で、手洗いの回数が増えてから手荒れが気になるようになったという方も少なくないのでは? 今回は、皮膚科医がすすめる手荒れを防ぐ手洗い方法ハンドケアのポイントについてご紹介します。

間違った手洗い方法とは?

皮膚科医の野村有子先生によれば、手荒れを引き起こす原因のひとつとして挙げられるのが「間違った手洗い方法」。

人間の皮膚の最も外側にある皮脂膜には、皮膚の水分を逃さないように守る役割があります。ところが手洗いの回数が必要以上に多くなったり、熱いお湯で手を洗ったりすると、皮脂が奪われてバリア機能が崩れてしまいます。

こうして皮膚の水分が奪われて乾燥が進んでいくと、外部からの刺激などによってひびやあかぎれなどの手荒れが起こりやすくなるのです。

手荒れ箇所には異物がつきやすい

また、野村先生とユースキン製薬が共同で行った検証実験では、痛みをともなうひび・あかぎれの亀裂があるモニターの手には、さまざまな場所に同時多発的に細かい亀裂があることがわかりました。マイクロスコープで観察すると、亀裂には細かいゴミや糸くずなどが付着していたそうです。

野村先生は、「手荒れをしていると、亀裂からいろいろな異物が入る可能性も考えられます」と指摘します。ウイルスや細菌は非常に小さく、指の亀裂から入り込む可能性も考えられるため、日ごろからしっかりとケアしておきたいところです。

手荒れを防ぐ、手洗いの4つのポイント

手荒れを防ぐために、日頃の手洗いで気をつけたいポイントは以下の4つ。

1.ぬるま湯を使い、こすりすぎない

最も気をつけたいのが水の温度です。皮脂の奪い過ぎは乾燥をまねくため、熱いお湯ではなくぬるま湯を使って、こすりすぎないように丁寧に洗うことが重要です。

2.爪のまわりや指の間なども忘れず丁寧に

爪のまわりや指の間などの細かい部分も忘れずに。石けんを使って丁寧に洗いましょう。

3.ハンドドライヤーは使わない

野村先生によれば、手洗い後の拭き方も意識することで手荒れの重症化を予防できるといいます。ハンドドライヤーは一見便利ですが、指先を乾燥させすぎてしまう傾向にあるため、避けた方が賢明です。

4.髪や服で手を拭かない

手を洗ったあとは髪や服で拭かず、清潔なタオルやハンカチですみやかに水気を拭き取りましょう。

手荒れ防止にはハンドクリームも有効

手肌のかさつきは放置していると皮膚が固くなり、表面に亀裂が生じやすくなります。野村先生は、「重症化を防ぐためには、早めに正しいケアを行いましょう。ポイントは、手荒れの症状に合ったハンドクリームを選び、塗る量と塗り方をしっかりと意識することです」と語っています。

手荒れや冷えが気になる方には、ビタミンE配合のハンドクリームがおすすめ。水分や油分を補給する保湿効果に優れ、血行改善効果が期待できます。ハンドクリームの量は“人差し指の第一関節ひとつ分”を目安に、ハンドマッサージを併用すれば塗りムラ防止や冷え予防にもつながります。

手洗いの回数が増える今の時期は、正しい手洗いとハンドクリーム(保湿)をセットにしてこまめにケアしていきましょう。日中の使用が難しいという方は、就寝前の集中ケアを意識してみてくださいね。

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野村有子(のむら・ゆうこ)先生
医学博士。慶応義塾大学医学部卒。同大学医学部皮膚科助手を経て、神奈川県警友会けいゆう病院皮膚科勤務。日本皮膚科学会会員。神奈川県皮膚科医会幹事。1998年より横浜市に野村皮膚科医院を開業。アトピー性皮膚炎患者専用治療室の設置や最新の肌診断機械の導入などが評判になる。わかりやすい丁寧な指導が評判の関東屈指の人気皮膚科医。アトピー性皮膚炎や乾燥性湿疹を中心に、男女を問わず幅広い年代の皮膚疾患の診断、治療を行っている。

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